薬剤師の働き方改革…理想のワークライフバランスをかなえる派遣という選択


薬剤師は、女性にとって働きやすく、高収入でありながらワークライフバランスもとりやすいというイメージがあります。
しかし、実際は仕事に追われて理想とはほど遠いと感じている方も多いのではないでしょうか。
ここでは、薬剤師がワークライフバランスで悩む状況を整理しながら、その解決策のひとつとして派遣薬剤師という働き方を紹介します。
派遣薬剤師のしくみからメリット・デメリット、福利厚生などを解説し、理想の働き方を見つけるためのヒントをお届けします。
薬剤師はワークライフバランスがとりやすいって本当?
薬剤師は「女性が多い職業で働きやすい」「仕事の内容が一定で、家庭との両立がしやすい」といったイメージを持たれています。
しかし、実際に現場で働く薬剤師からは、「仕事量が多くて毎日クタクタ」「子育てと仕事の両立が難しい」「もっと自分の時間を確保したい」といった悩みの声が数多く聞かれます。
薬剤師は本当にワークライフバランスを取りやすい職業なのでしょうか。
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薬剤師がワークライフバランスで悩むとき

まず、薬剤師が仕事と生活の間で感じている不満についてみていきましょう。
1.仕事量が多すぎる
薬剤師が働く調剤薬局や病院、ドラッグストアでは、慢性的に人手不足の状態にあります。
主な収入が診療報酬となる調剤薬局や病院では、人件費に回せる金額にも限りがあるため、仕事量が多くてもなかなか人を増やしてもらえません。
また、対物から対人へという流れのなかで、薬剤師一人ひとりにかかる業務負担も年々増加しています。
処方箋にもとづく調剤、服薬指導、薬歴記録、在庫管理、加えて在宅訪問やOTC販売まで担うこともあり、常に時間に追われる状況です。
残業が慢性化している職場では、プライベートの時間を確保することは難しくなります。
2.子どもが産まれて仕事と家庭の両立が大変
女性薬剤師にとって大きな転機となるのが出産・育児です。
育休・産休制度は整っているものの、現実問題として、復帰後にフルタイムで働くのは難しいケースも多くあります。
制度はあっても、職場に理解のある人がいなかったり、ワンオペで急な発熱で呼び出されることが続いたりすると、ワークライフバランスどころではなくなってしまいます。
3.シフト制で勤務時間が不規則
営業時間の長いドラッグストアはシフト制が基本です。また、夜勤や当直のある病院もあります。
そのような職場で正社員として働いていると、パートさんが入りたがらない遅い時間のシフトに入らなければならないこともあるでしょう。
シフト制で不規則な勤務が続くと、生活リズムが乱れて体調を崩す人もいます。
家族や友達とプライベートの予定を合わせにくいことにストレスを感じることがあるかもしれません。
4.フルタイムが体力的に厳しい
患者さんと接することが多い薬剤師は、立ち仕事が基本です。
患者さんの健康に直接関係する医薬品を扱うので、肉体的な負担だけでなく、精神的な負担も積み重なっていきます。
体力的な厳しさを感じて、フルタイム勤務ではなく、自分に合った仕事量に調整したいと思っても、正社員として普通に働いていると、実現することは難しいでしょう。
5.仕事以外にやりたいことがある
資格取得のために勉強したい、副業にトライしたい、趣味にもっと時間を使いたい、家族との時間を確保したい。
仕事にやりがいを感じていたとしても、そんな思いを抱くのは当然のことです。
仕事以外に取り組みたいことがあっても、仕事をしているとなかなか時間が確保できない。
やりたいことがたくさんある人ほど、このジレンマに悩まされることになります。
6.負担の少ない仕事に転職して収入が減るのが不安
時間的にも肉体的にもつらいので、フルタイムからパートタイムに変わりたいと思っても、実際に働き方を変えるのは難しいものです。
パートになれば時間の余裕は生まれますが、そのぶん収入は減少します。
薬剤師の給与は高いだけに、経済的な不安からなかなか踏み切れない人もいるでしょう。
ワークライフバランスを改善する!派遣薬剤師という選択

このような悩みを解決できる働き方に、派遣薬剤師があります。
しかし、派遣という働き方についてよく知らないという人も多いのではないでしょうか。
ここからは、派遣薬剤師について紹介します。
ワークライフバランスを優先するには働き方が大切
薬剤師は働きやすく、女性向きの仕事というイメージがあります。
しかし、正社員として働く限り、1日8時間は拘束されますし、仕事が終わらなければ残業しなければなりません。
自分の希望よりも、雇用する側の都合が優先されることになります。
正社員でいる限り、自分の希望するワークライフバランスの実現は難しいのが実情です。
それでも自分の理想のワークライフバランスを実現したい、そう思う人におすすめなのが、派遣薬剤師です。
派遣薬剤師はなぜおすすめ?
派遣薬剤師の勤務時間は、正社員のように固定されているものではありません。
勤務日数や1日の勤務時間、そして勤務する場所を、自分の都合に合わせて調整することができます。
また、短時間勤務になると心配なのが収入面ですが、派遣薬剤師は、パート薬剤師よりも時給が高めに設定されています。
派遣薬剤師の平均時給は約3000〜3500円となっています。へき地だったり、極端に人手不足だったりする場合は、もっと高時給の求人もみられます。
パート薬剤師の平均時給は約2000円ですので、派遣薬剤師の時給は、パート薬剤師の約1.5倍ということになります。
派遣薬剤師は、ワークライフバランスを大切にしながら、希望の収入もキープできる、魅力的な働き方なのです。
派遣薬剤師とは

派遣は時間的にも収入面でもメリットがあるらしい。
でも、パートとどう違うのかわからずなんとなく不安という人もいるのではないでしょうか。
ここからは、派遣薬剤師のしくみや、どう始めればいいかを解説します。
派遣薬剤師のしくみ
派遣薬剤師は、派遣会社に登録し、紹介された薬局やドラッグストアで一定の期間働く、という働き方になります。
パートと似ているように見えますが、その雇用形態には大きな違いがあります。
パートの場合は、雇用主は働いている薬局やドラッグストア、病院ですが、派遣の場合、雇用契約は派遣会社に対して結びます。
給与の支払いは派遣先ではなく派遣会社から行われ、福利厚生なども派遣会社のものが適用されます。
実際の仕事は派遣先の職場の指示のもとに行うことになります。
派遣期間は数カ月が一般的で、長期勤務の場合は契約を更新していくことになります。
ただ、同じ職場で働けるのは最長で3年と法律で定められています。
派遣薬剤師の始め方
派遣として働くためのステップは、次のようになります。
- 派遣会社に登録する
- 担当者に希望条件を伝える(勤務日数・時間・勤務地・時給など)
- 条件に合う求人を紹介してもらう
- 面談を経て勤務開始
実際に雇用契約が発生するのは、求人の紹介を受けて、それを受諾したときになります。
上記のステップの1〜3の間に発生することはないので、とりあえず登録して、仕事について相談しても、料金が必要だったり、契約に縛られたりすることはありません。
このように、派遣を始めるにあたって特別な手続きは不要で、薬剤師免許と一定の実務経験があれば誰でも始めることができます。
派遣薬剤師として働くメリット

派遣薬剤師として働くことにはどのようなメリットがあるのか、確認してみましょう。
働く時間の自由度が高い
派遣であれば、週3日勤務や午前のみ勤務など、希望に合わせて働けます。
また、勤務時間に関しては、派遣会社と派遣先の企業との間の取り決めになるので、原則として残業が発生することはありません。
残業されると追加の金額が発生して派遣先も困るという状況になるので、気兼ねなく終業時間には仕事を終えることができます。
パートに比べて時給が高い
先ほど解説したように、派遣薬剤師の平均時給はパートと比べると高水準に設定されています。
薬キャリエージェント調べによると、派遣薬剤師の平均時給は3341円となっています。
パート薬剤師の平均時給は、病院で2052円、調剤薬局で2072円(同調べ)です。
派遣薬剤師がこのように高時給なのは、急に人が辞めてしまったり、慢性的に忙しい職場だったりする人手不足の職場で即戦力として必要とされるためです。
採用のコストをかけずに人を補充するために、時給が高くなっています。
転職活動の手間がない
パートとして働く場合は、自分で転職先を探して応募しなければなりません。時給や勤務時間についても、自分がパート先と交渉して決めることになります。
派遣薬剤師の場合は、派遣会社に希望条件を伝えておけば、条件に合う職場を探してもらえます。
派遣先の仕事の契約期間が終わった場合も、派遣会社が次の派遣先を紹介してくれるので、自分で求人情報を探す必要はありません。
また、勤務時間や時給についても、派遣会社が派遣先と交渉してくれます。
転職活動で自分が動くことが少ないのは、派遣のメリットといえるでしょう。
副業や趣味との両立が可能
ここまでみてきたように、派遣は自由な勤務スタイルを選べるため、家庭や趣味などとの両立がしやすくなっています。
時給が高いため、家事や育児で忙しい人も、ワークライフバランスのとれた生活を送ることができます。
また、フルタイムで集中して短期間にまとまった金額を稼いで、派遣と派遣の間は海外旅行に長期間出かける、といったライフスタイルをとっている人もいます。
派遣の場合は副業禁止といった規制もないので、派遣以外の仕事も自由に行うことができます。
やってみたい仕事があったり、起業したりするときに、派遣でベースとなるお金を確保しながら副業にチャレンジする、といった働き方も可能です。
全国どこででも働ける
薬剤師は全国どこでも働ける仕事ですが、派遣の求人も全国に出ています。
結婚したり、家族の都合で引っ越したりしても、全国どこでも働くことができます。
派遣会社のなかには、全国にネットワークを持つところもあるので、そのような派遣会社に登録しておけば安心です。
また、人手不足の地方やへき地に転居して働いて、短期間でがっつり稼ぐことも可能です。
住居付き派遣薬剤師については、次の記事を参考にしてください。
人間関係の悩みが少ない
派遣薬剤師は期間限定の契約なので、たとえ派遣先に人間関係の問題があったとしても、派遣期間が終わるまでと割り切って働くことができます。
職場の人間関係に巻き込まれにくく、人間関係のストレスを回避できるのは、派遣の隠れたメリットといえるでしょう。
派遣薬剤師として働くデメリット

ここまでみてきたように、派遣薬剤師にはさまざまなメリットがあります。
ただ、裏を返せばそれがデメリットとなることもあり、派遣という働き方には向き、不向きがあるといえるでしょう。
ここからは派遣薬剤師のデメリットについて解説します。
自分が派遣薬剤師に向いているかを考える参考にしてください。
即戦力が求められる
派遣薬剤師は、忙しい職場に入ってすぐに条件を把握して対応することが求められます。
そのため、基本的な調剤スキルは必須だと考えておきましょう。
長期間働くことが前提の正社員やパートならば、働きながらその職場で必要なスタッフとして育ててもらうことができます。
しかし、期間限定の派遣薬剤師に関しては、基本的にそのような教育はありません。
派遣の仕事は投薬が中心となります。
調剤をするためには、まず棚の位置を覚えなければなりません。
薬のピッキングは、失敗の許されない重要な仕事です。調剤はその職場の薬剤師が行い、投薬は派遣薬剤師が行うのが効率的だといえるでしょう。
忙しい職場に期間限定で入る派遣薬剤師は、どの薬局でも基本的な流れが同じでミスが起こりにくい投薬がメインになるのです。
気に入った職場でも長期勤務できないことがある
いろいろな職場で派遣として働くなかで、仕事の内容や人間関係などが良好で、ここでずっと働きたいと思うことがあるかもしれません。
しかし、派遣は期間限定の契約なので、たとえ気に入った職場があってもそのまま働き続けることはできません。
派遣には、一定期間後に派遣先の企業に直接雇用されることを前提として、お試しのようなかたちで派遣として働く、紹介予定派遣という形態もあります。
よいところがあればそこに就職したいという気持ちがある場合は、紹介予定派遣を選ぶのもよいでしょう。
収入が安定しない可能性
派遣の時給は、最低賃金近くのような極端に低い金額になることはありません。
しかし、次の派遣先がすぐに見つからず、無収入の期間が発生するリスクがあります。
また、景気が悪化した際に真っ先に減らされるのが派遣です。派遣切りのリスクがあることも知っておかなければなりません。
もし継続して収入が必要ならば、パート勤務をするほうが確実でしょう。
適応力が必要
派遣は数カ月から1年程度のスパンで派遣先が変わります。
派遣先が変わるたびに、新しい環境に慣れる必要があります。職場のしくみを理解して、人間関係にも対応していかなければなりません。
新しい経験をしたい、いろいろな人に会うのが好きという人におすすめの働き方だといえます。
【パターン別】ワークライフバランスを実現した派遣薬剤師

ここからは、派遣薬剤師として実現できる、ワークライフバランスを重視した働き方について紹介します。
【ケース1】子育てと仕事を無理なく両立
子育ては時間のやりくりが大変ですが、期間限定であることも事実です。
子どもが小さい間は、「週3日、9時から15時まで勤務」という子どものお迎えに間に合う働き方を選択。
これでも、時給3000円とすると1日5時間勤務で1万5000円。月給にすると18万円となります。
薬剤師としてのスキルをキープしながら、まとまった金額を稼げる。薬剤師ママだからこそできる魅力的な働き方ではないでしょうか。
子どもの手が離れてから本格的に職場復帰するときも、ブランクがないので臆することなく転職活動に臨むことができます。
【ケース2】仕事と趣味を両立して人生を楽しむ
本業の合間に趣味を楽しむのではなく、きちんと趣味に時間をあてるために「週4日8時間勤務+週3日は自分の時間」にあてるケースを考えてみます。
1日2万4000円、月給では38万4000円となります。
これだけあれば、生活費に加えて趣味のお金も捻出できますね。
【ケース3】理想の職場を見つけるステップとして活用
薬剤師の仕事はどこで働いても同じように見えますが、実際は薬局や病院とドラッグストアの違いだけでなく、職場の規模や扱う診療科によっても違いがあります。
しかし、どの職場が自分に向いているかを見極めることはなかなか難しいことです。
派遣薬剤師をしていれば、複数の職場を無理なく経験することができます。
そのなかで、「自分は調剤薬局よりドラッグストアが実は合っていた」「さまざまな処方箋に触れることができる大規模病院の門前薬局にやりがいを感じる」というように、自分の向き、不向きが見えてきます。
派遣薬剤師の経験を、その後のキャリア形成に役立てることができるでしょう。
派遣薬剤師の福利厚生は大丈夫?

派遣薬剤師はメリットが多いように見えるけれど、実はどこかに落とし穴があるのではないか。正社員のように福利厚生がないのでは、と感じている人もいるのではないでしょうか。
ここからは、気になる派遣の福利厚生についてみていきます。
派遣薬剤師の福利厚生事情
福利厚生のなかには、雇用主が雇用者に対して設けなければならないと法律で定められているものがあります。そのような福利厚生は、派遣会社によってすべて提供されます。
具体的には以下のようのものです。それぞれに適用されるための条件があります。
- 社会保険(健康保険・厚生年金)
- 雇用保険
- 労災保険
- 有給休暇
- 健康診断
- 産休・育休制度
また、それ以外に、派遣会社独自の福利厚生を設けている会社もあります。
薬剤師賠償責任保険や研修制度、レジャー施設の割引サービスなど、さまざまな福利厚生がみられます。
「派遣は福利厚生がない」というイメージは古いものだといえるでしょう。
派遣薬剤師としてワークライフバランスを向上させるポイント

派遣薬剤師として理想のワークライフバランスを実現するにはどうすればいいでしょうか。
ここからは、ワークライフバランスを実現するうえでの注意点について確認します。
1.自分の理想像を明確にする
まず、自分の理想とするワークライフバランスのとれた生活はどのようなものかを明確にします。
「収入よりも家庭を優先する」「週休3日で趣味に時間を使いたい」というように、まずは制限をつけずに自分の理想の生活について考えてみましょう。
2.必要な条件を洗い出す
次に、その理想の生活を実現するために必要な条件を整理します。
勤務時間はどのくらいか、勤務する場所はどこがいいか、仕事の内容はどのようなものがいいかなどを具体的に考えていきましょう。
3.優先順位を決める
実際には、すべての希望条件を満たすのは難しいものです。
洗い出した条件を並べて、そのなかでどうしても譲れないものと譲歩してもいいものを整理して、優先順位をつけていきます。
4.派遣会社との密なコミュニケーション
このようにして考えた希望条件を、派遣会社の担当者に伝えます。
希望条件とともに優先順位、そしてその理由をきちんと伝えておけば、担当者も求人を探しやすくなります。また、派遣先に対してより希望に合った契約になるように交渉してもらえます。
派遣会社の担当者と密にコミュニケーションをとることは、ミスマッチを防ぎ、理想の働き方に近づくうえで大切です。
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まとめ

薬剤師は国家資格を持つ専門職であり、給与が高く、働き方の選択肢が多い点ではワークライフバランスを整えやすい職業です。
しかし正社員だと仕事に費やす時間が長く、理想通りの働き方を実現するのは難しくなっています。
この記事で紹介した派遣薬剤師という働き方は、自由度の高さと高時給を兼ね備えた選択肢だといえます。
もちろんデメリットもありますが、自分のライフスタイルに合わせた働き方を選べる点は大きな魅力といえるでしょう。
「仕事も家庭も大切にしたい」「もっと自分の時間を持ちたい」と感じている薬剤師は、派遣薬剤師という柔軟な働き方を検討してみてはいかがでしょうか。
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