薬剤師の盲点!?「半錠」にできる薬とできない薬

更新日: 2026年4月3日 児島 悠史

「シナール配合錠」、半錠にできる?できない?~アスコルビン酸とパントテン酸Caの性質と影響

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☞この記事でわかること
  • 「シナール配合錠」の“粉砕”が不可の理由
  • 「シナール配合錠」を“半錠”にした場合に考えられる影響

「シナール配合錠」を“粉砕”してはいけない2つの理由

「シナール配合錠」は、「アスコルビン酸(ビタミンC)」と「パントテン酸カルシウム」という2つの成分を配合した製剤です。「アスコルビン酸」投与時に「パントテン酸Ca」を併用すると、「アスコルビン酸」の吸収効率が向上するとともに、皮膚機能への効果が増強されることもわかっています1)が、シナール配合錠はこの2つの成分をまとめて摂取できる薬といえます。

ところが、このシナール配合錠は、添付文書上は “粉砕”は不可とされています1)。これには、アスコルビン酸とパントテン酸カルシウムそれぞれの性質が大きく関わっています。

理由①「アスコルビン酸」は、湿度の影響を受けると酸化分解しやすくなる

まず、アスコルビン酸は結晶状態であれば安定な物質ですが、湿気を吸収すると不安定になり、酸化分解されやすくなる性質があります1,2,3)。そのため、錠剤を“粉砕”して粉末状にすると、湿気の影響はより受けやすくなり、効果が失われてしまうリスクは高くなります。

粉砕してすぐにアスコルビン酸の効力が失われてしまうわけではありませんが、湿気によって“べたつく”ような状態になってくると、速やかに大規模な分解が始まってしまう4)と考えるのが妥当です。

理由②「パントテン酸カルシウム」は、「アスコルビン酸」と混ざると効力が低下する

また、アルカリ性であるパントテン酸カルシウムと酸性であるアスコルビン酸が混ざると、配合変化を起こす恐れがあります1)。この配合変化は、極端に乾燥した環境下ではあまり問題になりませんが、わずかに湿気があるだけでパントテン酸カルシウムの効力は約3割程度にまで低下してしまうことがわかっています5)

つまり、シナール配合錠を“粉砕”すると、湿気によってアスコルビン酸は酸化分解される、パントテン酸カルシウムはアスコルビン酸によって効力低下してしまう、といった2つの現象が起こることになります。

添付文書でも“粉砕”が禁止されているのは、こうした影響を避けるのが目的です。

「シナール配合錠」の“半錠”は可能か?半錠にした際に考えられる影響

では「シナール配合錠」の“粉砕”ではなく“半錠”であれば可能か、を考えるには、どういったことを考えれば良いでしょうか。

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児島 悠史
こじま ゆうし

薬剤師 / 薬学修士 / 日本薬剤師会JPALS CL6。
2011年に京都薬科大学大学院を修了後、薬局薬剤師として活動。
「誤解や偏見から生まれる悲劇を、正しい情報提供と教育によって防ぎたい」という理念のもと、ブログ「お薬Q&A~Fizz Drug Information」やTwitter「@Fizz_DI」を使って科学的根拠に基づいた医療情報の発信・共有を行うほか、大学や薬剤師会の研修会の講演、メディア出演・監修、雑誌の連載などにも携わる。
主な著書「薬局ですぐに役立つ薬の比較と使い分け100(羊土社)」、「OTC医薬品の比較と使い分け(羊土社)」。

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