薬剤師専門コンサルが伝授!「薬剤師の働き方」の今

更新日: 2020年6月27日

薬剤師の「働き方改革」どこまで進んでいる?

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薬剤師専任コンサルタントは、年間を通じてさまざまな薬剤師と接します。これまで、多くの薬剤師のキャリアに関する悩みや不安に寄り添ってきたベテランコンサルタントだからこそ見えてくる、働く薬剤師のためのヒントをご紹介します。

コンサルタント紹介

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薬剤師キャリア事業部
人材紹介グループ 小川和晃さん

2010年エムスリーキャリア株式会社入社。薬剤師専任コンサルタントとして、これまで1,200人以上の薬剤師のキャリアをサポートしてきた。

薬剤師の残業時間は減っているのか?

残業の多さを理由に転職する人は、多いのでしょうか?

そうですね。残業時間の長さは、主な転職理由のひとつです
薬剤師の業務は基本的に一日中立ち仕事。患者さんへの服薬指導をはじめ調剤業務に関しても細かな神経を使います。そんな中で残業時間が多いと、体力的にも精神的にも疲弊して、転職を決意する薬剤師は多いと思います。

「働き方改革」によって薬剤師の残業時間は減ってきているのでしょうか?

各社、業務オペレーションを改善して、残業時間を削減しようと努力しています。事業規模で比較すると、大手の薬局やドラッグストアのほうが、中小規模の企業よりも残業削減の成果が出ている印象ですね。

なぜ大手企業のほうが、残業が減っているのでしょうか?

大手のほうが電子薬歴をはじめ、業務の電子化・機械化が進んでいるためです。薬剤師の業務負担が軽減されるため、残業も減っています。ただし、大手企業でも全店舗に調剤機を導入できているとは限らないため、店舗ごとに状況は異なります。店舗ごとの状況はぜひ転職エージェントのコンサルタントなどに聞いてみてください。

働き方改革を実践!薬局の事例を紹介

業務効率化を実践している薬局の事例を教えてください。

たとえば、薬歴の入力をする際に「音声入力」機器を導入している薬局があります。薬剤師が読み上げると、モニターに文字が出力されるため、手で入力する必要はありません。ほかにも、軟膏や水剤の調剤、一包化などさまざまな業務を機械化している薬局があります。

機械化以外に、業務効率化の事例はありますか?

「効率化」とは異なりますが、“非薬剤師”へのタスクシフティングによって、業務を効率化する薬局も増えています。

2019年4月、厚生労働省からの通知により、ピッキングなど一部の業務は薬剤師以外の職員が行ってもよいことが明示されました。こうした補助業務を薬剤師以外のスタッフが代行することで薬剤師の負担が減るため、薬剤師は調剤業務や対人業務に専念できます。

在宅医療の厳しい現実

業務の効率化やタスクシフティングが進む一方で、薬剤師にはこれまで以上に「対人業務」や「地域医療」への貢献が求められています。そのひとつが「在宅医療」ですが、在宅訪問をしている薬局と在宅訪問をしていない薬局では、残業時間に違いはあるのでしょうか?

在宅訪問をしている、していないというよりも、在宅訪問による人員体制の見直しをしている薬局と、そうでない薬局で残業時間に違いがある、という状況です。在宅で療養する患者さんへの服薬指導やその他の業務が発生しますので、これまでと同じ人員体制で運営している薬局などは、在宅訪問をしつつ残業時間を減らすのは、なかなか難しいようです。しかし、訪問担当と、調剤や準備担当とで、薬剤師の役割分担を決めたり、うまくシフト制を組み込んだりして、残業などの負担を減らし地域医療に貢献している薬局もたくさんあります。

なるほど。成功している薬局の事例があれば教えてください。

在宅医療に創業時から取り組んでいる「きらり薬局」は、自動分包機を導入して薬剤師の業務効率を進めていますし、配達スケジュールや調剤のスケジュールを見直して、薬剤師の負担軽減を進めています。(きらり薬局の在宅医療への取り組みはこちらの記事をご覧ください。「在宅医療で薬剤師は何ができるのか?」)

業界でも、ICT化による業務効率化はますます進むでしょう。たとえば、在宅患者の服薬データを一元管理し、医療・介護の垣根を越えて多職種がアクセスできるクラウドのようなものができれば、情報共有にかける時間はぐっと短くなり、薬剤師の負担を減らしながら在宅に取り組む薬局はもっと増えると思います。

どうなる?今後の薬剤師の働き方

今後、薬剤師の働き方はどのように変化していくと思われますか?

電子処方箋やオンライン服薬指導が普及し、時間や場所に囚われない服薬指導がますます進むでしょう。薬剤師の業務は、「機械」に任せられる領域と、「人」が携わる領域に住み分けられていくのではないでしょうか。機械による効率化はあくまで薬剤師の仕事を補助するもの。「患者さんの悩みに共感する」や「不安を取り除く」といったことは人である薬剤師にしかできません。調剤業務は効率化されたとしても、患者さんと向き合い「薬の専門家」として健康をサポートする、という薬剤師の本分はなくならないと思います。


まとめ

薬剤師の働き方は、現行の業務から一人ひとりの患者に対してパーソナライズされた提案をしていく、より専門性を生かした業務へとシフトしていくことが求められています。これからのキャリアプランに迷ったときは、薬剤師専任コンサルタントに是非相談してみてください。



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