薬剤師専門コンサルが伝授!「薬剤師の働き方」の今

更新日: 2020年7月31日

2020年の薬剤師転職市場ってどうなるの?

2020年の薬剤転職市場ってどうなるの?の画像1

薬剤師専任コンサルタントは、年間を通じてさまざまな薬剤師と接します。これまで、多くの薬剤師のキャリアに関する悩みや不安に寄り添ってきたベテランコンサルタントだからこそ見えてくる、働く薬剤師のためのヒントをご紹介します。

コンサルタント紹介

2020年の薬剤転職市場ってどうなるの?の画像2

薬剤師キャリア事業部
人材紹介グループ 小川和晃さん

2010年エムスリーキャリア株式会社入社。薬剤師専任コンサルタントとして、これまで1,200人以上の薬剤師のキャリアをサポートしてきた。現在は薬剤師キャリア事業部紹介グループのリーダーを務める。

転職は売り手市場から買い手市場に?

この10年で、薬剤師の転職市場はどのように変化してきたのでしょうか?

転職市場におけるこの10年の変化を端的に申し上げると、「売り手市場から買い手市場へ近づいている」ということです。

極端な言い方をすると、10年前は面接に行けば内定が出るという時代でした。そのため、ひとり1社受けるだけで就職先が決まっていました。今は、複数社の面接を受けるのは当たり前の時代です。

売り手市場のため比較的転職しやすいですが、10年前と比べると内定は出にくくなっていることは間違いありません。

事業規模に応じた調剤薬局・ドラッグストア・病院の求人状況について教えてください。

調剤薬局・ドラッグストアともに大手は近年、新卒採用に力を入れていますね。店舗数が多いため、中途採用もありますが、自社でしっかり研修を積ませて、「対人業務ができる薬剤師の育成をしよう」という意図が見えます。

個人経営の薬局は、厳しい診療報酬改定によって経営が厳しいところも多く、求人が少なくなっているように見受けられます。先ほど申し上げたように、こうした求人状況のため転職の「買い手市場化」が進んでいるのです。

病院も、薬剤師の雇用人数が限られているため、中途採用の枠は決して大きくありません。特に人気のある高度急性期病院などは、新卒採用がほとんどで中途採用をしないという施設も珍しくないです。

迫る超高齢化社会 2025年問題

国民の4人に1人が後期高齢者となる「2025年問題」まで、あと5年に迫っています。今後の薬剤師業界はどのようになっていくと思われますか?

医療需要の高い高齢者が増えていくため、言うまでもなく患者さんの数は増えていきます。しかし、「患者さんが増えるから、来た処方箋をさばいていれば安泰」というわけではありません。

地域包括ケアシステムのなかで、在宅医療・かかりつけ機能・健康サポート機能などを発揮できない薬局・ドラッグストアは淘汰されていくでしょう。

いかに患者さんや他の医療・介護職から信頼される医療機関・薬剤師になれるかがポイントです。

「信頼される薬剤師」には何が求められるのでしょうか?

「対人業務」「かかりつけ機能」などの役割を果たせなくてはいけません。そのため、1つの科目しか経験のない薬剤師は、正直厳しいと思います。いろんな科目の処方経験があり、精通している薬剤師は、転職市場でも高く評価されます。

薬剤師のスキルは、実務を通じて培われていきます。もしいまの職場が「決まった薬の処方箋しかこない」ような環境ならば、いろんな科目を経験できる職場に移ることを検討することをおすすめします。

薬局、病院、ドラッグストア それぞれの転職理由は?

一般企業に比べると、薬剤師は転職の多い職種です。薬局、病院、ドラッグストア それぞれの転職理由にはどのようなものがあるのでしょうか?

共通の理由として「人間関係の悩み」「年収アップ」「転居や育児・介護など、ライフステージの変化」「スキルアップ」などあります。

薬局の転職理由で多いのは、「残業時間の長さ」。病院の転職理由は、「給与の不満」や「当直による不規則な生活」をあげる方が多いです。ドラッグストアの転職理由については、「頻繁な店舗異動」をあげる方が多いですね。

市場価値の高い薬剤師とは?

どのような経歴の薬剤師が転職市場では価値が高いのでしょうか?

新卒で大手企業に入社。その後何年後かに転職する人材については、非常に価値が高いです。どこも欲しがります。

それはなぜですか?

患者対応、薬歴の書き方、監査など一連の仕事のやり方を、新人の頃から徹底的に教えられているためです。そのような即戦力になれる若い人材は、非常に企業側のニーズが高いです。大手は定期的に店舗異動があり、いろいろな店舗で仕事をしているので、科目の偏りが少なく、経験の幅が広いという点も魅力ですね。

大手での経験がない、また、30代以降で転職を決意する薬剤師はどのようにしたらいいのでしょうか?

ひとつは対応できる処方科目を増やすことです。また、お薬手帳や薬歴記入など、「相手に伝える技術」の精度が高いことも武器になります。ほかにも、いわゆる「報・連・相」など、社会人としての基本的なマナーやスキルも大切です。薬剤師のなかには、意外とこうした基礎的なことができていない人も多いので、社会人として当たり前のふるまいができること自体が強みになるケースも少なくありません。


まとめ

薬剤師の転職市場は徐々に厳しさを増しています。こうしたなか、薬剤師が市場価値を高めていくためには、多種多様な経験を積むことが大切。もしいまの職場で学べることがなくなってきたと感じているならば、新しい環境で研さんを積むのもいいでしょう。

現在の自分のスキルや、今後のキャリアプランにお悩むの方は、ぜひ一度コンサルタントへご相談ください。

現職への不満についてコンサルタントに相談してみる 薬剤師転職に関する記事をもっと読む

すべてのコラムを読むにはm3.com に会員登録(無料)が必要です

こちらもおすすめ

キーワード一覧

薬剤師専門コンサルが伝授!「薬剤師の働き方」の今

この記事の関連記事

アクセス数ランキング

新着一覧

26万人以上の薬剤師が登録する日本最大級の医療従事者専用サイト。会員登録は【無料】です。

薬剤師がm3.comに登録するメリットの画像

m3.com会員としてログインする

m3.comすべてのサービス・機能をご利用いただくには、m3.com会員登録が必要です。

注目のキーワード

キャリア 医薬品情報・DI 調剤報酬改定 薬物療法・作用機序 服薬指導 年収・待遇 OTC医薬品 医療クイズ 診療報酬改定 転職