術前患者に「バイアスピリン錠」が処方された、ヒヤリハット事例
手術の予定があるという80歳代の患者に「バイアスピリン錠」が処方された事例を紹介。継続している薬剤をいつも通りに処方されたことで起きたヒヤリハットですが、何が問題だったのでしょうか? 同様の薬剤に関するヒヤリハット対策案も提案します。
「バイアスピリン錠」の事例
対象の薬 | バイアスピリン錠100mg |
---|---|
医師の指示 | バイアスピリン錠100mg 30日分 |
「バイアスピリン錠」事例の詳細
80歳代の患者に、バイアスピリン錠100mgが他の薬剤と一緒に30日分処方された。
薬剤交付時に患者から、手術の予定があること、手術を行う医師より手術予定日の7日前からバイアスピリン錠100mgの服用を中止するよう指示されたことを聴取した。
処方医に疑義照会を行ったところ、 バイアスピリン錠100mgの処方日数は23日分に変更になった。
薬剤師の対応
Point 1
80歳代の患者に、バイアスピリン錠100mgが30日分処方された。
Point 2
患者から、手術の予定があること、手術を行う医師より手術予定日の7日前からバイアスピリン錠100mgの服用を中止するよう指示されたことを聴取。
Point 3
処方医に疑義照会を行い、バイアスピリン錠100mgの処方日数が23日分に変更になった。
「バイアスピリン錠」の知識
バイアスピリンなどの抗凝固・抗血小板剤の投薬において、手術や抜歯などの観血的医療行為(出血を伴う処置)を行う場合、予定日より前に投薬を休薬する場合があります。
これは出血量の増加や止血までの時間の延長、再出血などのリスクを軽減するためです。バイアスピリンの他にも休薬に注意すべき抗凝固・抗血小板薬を以下に記載します。
【術前中止薬の例;抗凝固・抗血小板薬】
ワーファリン(ワルファリンカリウム)、プラザキサ(ダビガトランエテキシラート)、イグザレルト(リバーロキサバン)、エリキュース(アピキサバン)、リクシアナ(エドキサバン)、バイアスピリン・タケルダ(アスピリン)、パナルジン(チクロピジン塩酸塩)、プラビックス(クロピドグレル硫酸塩)、エパデール(イコサペント酸エチル)、ロトリガ(オメガ3脂肪酸エチル)など
〜日本赤十字社古河赤十字病院 令和5年6月 参照〜