薬剤師のためのヒヤリハット事例集

更新日: 2024年9月17日 薬剤師コラム編集部

透析患者に処方された「沈降炭酸カルシウム錠(制酸剤)」のヒヤリハット事例

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今回は、薬剤を「一般処方名」で選択する際に、名称の確認不足で起きたヒヤリハット事例を紹介します。薬剤師に薬剤の効能効果の知識があったことはもとより、患者への丁寧なヒアリングが疑義へとつながり、ミスに気付いた背景があります。参考にしましょう。

「沈降炭酸カルシウム錠」の事例

対象の薬 【般】沈降炭酸カルシウム錠500mg
医師の指示 【般】沈降炭酸カルシウム錠500mg(制酸剤)1回1錠1日2回朝夕食直後

「沈降炭酸カルシウム錠」の事例の詳細

透析患者に処方された「沈降炭酸カルシウム錠(制酸剤)」のヒヤリハット事例の画像

普段から当薬局を利用している透析患者に、人工透析内科より【般】沈降炭酸カルシウム錠500mg (制酸剤)1回1錠1日2回朝夕食直後が処方された。

沈降炭酸カルシウム錠には、制酸剤の炭カル錠と高リン血症治療剤のカルタン錠などがある。今回は高リン血症の治療目的で処方された可能性が高いと考え、 患者に確認したところ、リンの検査値が高くなったため薬剤が処方されたことがわかった。

処方医に疑義照会をした結果、【般】沈降炭酸カルシウム錠500mg(高リン血症用)へ変更になった。

薬剤師の対応

Point 1
普段から当薬局を利用している透析患者に、人工透析内科より【般】沈降炭酸カルシウム錠500mg (制酸剤)1回1錠1日2回朝夕食直後が処方された。


Point 2
患者に確認したところ、リンの検査値が高くなったため薬剤が処方されたことがわかった。


Point 3
処方医に疑義照会をした結果、【般】沈降炭酸カルシウム錠500mg(高リン血症用)へ変更になった。

「沈降炭酸カルシウム錠」の知識

沈降炭酸カルシウム錠は、不溶性カルシウムの 1 種で制酸作用を呈し、また吸着作用も現すので当初、胃潰瘍及び胃酸過多症に制酸薬として用いられていました。また、高リン血症の治療薬としても使用されており、1999 年に透析患者の高リン血症治療薬として正式に認可されました。(沈降炭酸カルシウム錠250mg/500mg「三和」医薬品インタビューフォーム2023 年 3 月改訂[第 9 版]より)

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