透析患者に処方された「沈降炭酸カルシウム錠(制酸剤)」のヒヤリハット事例
今回は、薬剤を「一般処方名」で選択する際に、名称の確認不足で起きたヒヤリハット事例を紹介します。薬剤師に薬剤の効能効果の知識があったことはもとより、患者への丁寧なヒアリングが疑義へとつながり、ミスに気付いた背景があります。参考にしましょう。
「沈降炭酸カルシウム錠」の事例
対象の薬 | 【般】沈降炭酸カルシウム錠500mg |
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医師の指示 | 【般】沈降炭酸カルシウム錠500mg(制酸剤)1回1錠1日2回朝夕食直後 |
「沈降炭酸カルシウム錠」の事例の詳細
普段から当薬局を利用している透析患者に、人工透析内科より【般】沈降炭酸カルシウム錠500mg (制酸剤)1回1錠1日2回朝夕食直後が処方された。
沈降炭酸カルシウム錠には、制酸剤の炭カル錠と高リン血症治療剤のカルタン錠などがある。今回は高リン血症の治療目的で処方された可能性が高いと考え、 患者に確認したところ、リンの検査値が高くなったため薬剤が処方されたことがわかった。
処方医に疑義照会をした結果、【般】沈降炭酸カルシウム錠500mg(高リン血症用)へ変更になった。
薬剤師の対応
Point 1
普段から当薬局を利用している透析患者に、人工透析内科より【般】沈降炭酸カルシウム錠500mg (制酸剤)1回1錠1日2回朝夕食直後が処方された。
Point 2
患者に確認したところ、リンの検査値が高くなったため薬剤が処方されたことがわかった。
Point 3
処方医に疑義照会をした結果、【般】沈降炭酸カルシウム錠500mg(高リン血症用)へ変更になった。
「沈降炭酸カルシウム錠」の知識
沈降炭酸カルシウム錠は、不溶性カルシウムの 1 種で制酸作用を呈し、また吸着作用も現すので当初、胃潰瘍及び胃酸過多症に制酸薬として用いられていました。また、高リン血症の治療薬としても使用されており、1999 年に透析患者の高リン血症治療薬として正式に認可されました。(沈降炭酸カルシウム錠250mg/500mg「三和」医薬品インタビューフォーム2023 年 3 月改訂[第 9 版]より)