なぜバンコマイシン散が静注された?薬局のヒヤリハット事例と対策
- バンコマイシン塩酸塩散 / バンコマイシン塩酸塩点滴静注用 / 経口用エンドキサン原末 / レスピア静注・経口液 / アセチルシステイン内用液 / トロンビン経口・外用用 / 膵外分泌機能検査用PFD内服液
点滴静注用の処方に経口用バンコマイシン散が交付されたヒヤリハット事例
| 対象の薬 | バンコマイシン塩酸塩散0.5g「明治」 |
|---|---|
| 医師の指示 | バンコマイシン塩酸塩点滴静注用0.5g「明治」 |
事例の詳細|バンコマイシン散が静注されるまでの経緯
高熱が出ている施設入所者の尿からMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)が検出された。
医師は「バンコマイシン塩酸塩点滴静注用0.5g『明治』」を処方した。処方箋を応需した薬局の発注担当者は、医薬品卸業者に電話で薬剤の発注を行った。
医薬品卸業者では在庫が不足しており、当日は一部の薬剤が納品された。薬剤師Aは納品された薬剤を十分に確認しないまま施設へ届けた。
翌日、不足していた薬剤が納品された際に、バンコマイシン塩酸塩点滴静注用0.5g「明治」ではなく、内服薬の「バンコマイシン塩酸塩散0.5g『明治』」が納品されていたことに薬剤師Bが気づいた。
すぐに施設へ連絡し、薬剤を誤って交付したことを伝えた。前日に施設へ届けたバンコマイシン塩酸塩散0.5g「明治」はすでに患者に静脈注射されていた。
薬剤師の対応|発注・納品・交付のどこで見落としたか
Point 1
「バンコマイシン塩酸塩点滴静注用0.5g『明治』」と記載された処方箋を応需した薬局で、発注担当者の薬剤師Aは、医薬品卸業者に電話で薬剤の発注を行った。医薬品卸業者では在庫が不足しており、当日は一部の薬剤が納品された。薬剤師Aは納品された薬剤を十分に確認しないまま施設へ届けた。
Point 2
翌日、不足していた薬剤が納品された際に、バンコマイシン塩酸塩点滴静注用0.5g「明治」ではなく、内服薬の「バンコマイシン塩酸塩散0.5g『明治』」が納品されていたことに薬剤師Bが気づいた。
Point 3
すぐに施設へ連絡し、薬剤を誤って交付したことを伝えた。前日に施設へ届けたバンコマイシン塩酸塩散0.5g「明治」はすでに患者に静脈注射されていた。
経口用バンコマイシン散の適応と「禁注射」表示|バイアル入り散剤の注意点
「バンコマイシン塩酸塩」は、細菌の細胞壁合成を阻害することにより抗菌作用を示すグリコペプチド系の抗生物質です。
内服薬のバンコマイシン塩酸塩散は、通常、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)やクロストリジウム・ディフィシルによる感染性腸炎(偽膜性大腸炎を含む)の治療や、骨髄移植時の消化管内殺菌に用いられます。
製品の形態は注射薬と同様にバイアル製剤(無菌)ですが、経口用と認識できるよう、薬瓶ラベルに「経口剤」および赤地に白文字で「禁注射」と表記されています。
添付文書に記載されている「適用上の注意」は、以下のとおりです。
14. 適用上の注意
14.1 薬剤調製時の注意
〈骨髄移植時の消化管内殺菌〉
本剤はバイアル入りの散剤(無菌)である。注射器を用い5~10mLの溶解液(注射用水等)で溶解する。用時溶解液は無菌のものを用いること。
14.1.1
〈効能共通〉
薬剤溶液をそのまま服用しにくい場合には、単シロップ等で矯味してもよい。
14.1.2
14.2 薬剤投与時の注意
〈骨髄移植時の消化管内殺菌〉
溶解後は直ちに服用すること。また、服用にあたっては口腔内殺菌のために薬剤溶液で十分含嗽した後、飲用することが望ましい。