病院薬剤師が年収1000万円稼ぐことは可能？年収アップ方法も解説

「高年収」というとどのくらいを思い浮かべるでしょうか。一般的には年収1000万円を超えると高年収というイメージがあります。医師も高年収として知られています。
では、同じ病院で働いている薬剤師はどうなのでしょうか？

薬剤師も一般的には高年収というイメージがありますが、年収1000万円稼いでいる薬剤師はいるのでしょうか。
ここでは、薬剤師が年収1000万円をねらえるのかについて解説します。

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病院薬剤師の平均年収

国家試験に合格して就職したときは高い給与だと思っていたけれど、働いているうちに、ひょっとして薬剤師の給料は低いのでは、そう感じるようになる薬剤師は少なくありません。
病院で働いている薬剤師の年収はどのくらいなのでしょうか。

ほかの医療従事者の年収との比較

薬キャリエージェントの調査によると、病院で勤務する薬剤師の平均年収は、474万円となっています。

では、同じ病院で働いている他の医療従事者と比べて、薬剤師の年収はどのくらいの水準にあるのかをみていきましょう。

※厚生労働省「賃金構造基本統計調査/ 令和４年賃金構造基本統計調査」の、「きまって支給する現金給与額」12か月分に、「年間賞与その他特別給与額」を足した金額を平均年収として算出

医師の年収は、男性も女性も1000万円を超えています。男性と女性の間には約350万円の差がありますが、どちらも高年収であることには変わりはありません。これは平均値ですので、実際にはもっと高年収の医師もたくさんいるということです。

同じように大学に6年間通って難関と言われる国家試験を受ける医師と薬剤師ですが、その年収差は大きいといえます。

また、看護師の年収に比べても、病院薬剤師の年収は高いとはいえません。
世間の人が思っているほど病院薬剤師の年収は高くないのかもしれません。

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病院薬剤師で年収1000万円が難しい理由

病院薬剤師の平均年収は、年収1000万円にはほど遠いことがわかりました。
では、なぜ病院薬剤師の年収が低めなのかについてみていきます。

新卒に人気があり、給与水準が低い

薬科大学を卒業して、国家試験に合格した新卒の薬剤師がまず就職先として考えるのが病院です。自分が通っていた大学の附属病院に就職する人も少なくありません。
大学で学んだことを臨床の現場で実践したい、より深く学びたいと思う新卒の薬剤師にとって、病院はとても魅力的な職場です。

このように病院は新卒に安定して人気があるので、採用に困りません。
給与には需要と供給の法則がはたらき、人手不足の職場では人を採用するために給与が高くなりますが、病院ではわざわざ高くする必要がないといえます。

また、病院は給与が低いので、何年か働いたあとにより給与の高い職場に転職するケースが多くなっています。人が辞めたとしても、新卒が入るので病院としては困りません。
結果として若手の割合が高くなるので、病院薬剤師全体の給与水準が低く抑えられてしまうのです。

管理職のポストが少なく昇進が難しい

一般企業では、働いてキャリアを積みながら係長、課長、部長というように管理職になり、それに伴って給与もアップしていきます。ひとつの会社のなかにも複数の部署があったり、支社があったりするので、管理職のポストも多くなります。

それに対して、病院の規模にもよりますが、薬剤師の管理職のポストは多くありません。病院によっては、薬局長以外はみんなヒラ薬剤師ということもあるでしょう。

一般企業に比べても初任給は高い薬剤師ですが、その後の昇給幅は大きくはないので、昇進して管理職手当がつかなければ大幅に給与アップすることはできません。普通に働いているだけでは年収1000万円など夢のまた夢、ということになってしまうのです。

薬剤師で年収1000万円可能な職場はある？

それでは、病院以外で働けば年収1000万円に到達する可能性はあるのでしょうか。
薬剤師が年収1000万円を稼げる可能性がある職場についてみていきましょう。

ドラッグストア

薬剤師の職場のなかでも比較的給与が高いのがドラッグストアです。
ドラッグストアは、医薬品も売っていますが、日用品や化粧品、食品を多く扱っており、スーパーなどの小売店のような立ち位置になっています。
全国に店舗のある大手ドラッグストアで出世すれば、一般の大手スーパーなどと同じように高給を得ることができるでしょう。

製薬会社

大手の製薬会社で新薬の開発を行う研究職に就けば、年収1000万円に到達することができます。薬剤師のなかでも花形の仕事という印象があります。
また、営業職であるMRや、薬の治験を支えるCRA（臨床開発モニター）も、働き方によっては年収1000万円に達する可能性があります。

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病院薬剤師が給与アップするポイント

給与が低いと言われる病院薬剤師ですが、病院で働きながら給与アップするにはどうすればいいのでしょうか。

資格をとる

薬剤師には、認定薬剤師と専門薬剤師関係の資格があります。実務経験を重ねながら、指定の研修を受けたり学会に参加したりすることによって資格をとることができます。
たとえばがんに関するものだけでも複数の資格があり、資格のために勉強することが直接実際の仕事に役立つでしょう。
資格手当のある病院であれば、資格を取ることが毎月の給与アップにつながります。

管理薬剤師などに昇進する

病院薬剤師が給与アップする基本は、やはり管理薬剤師などに昇進することです。
管理薬剤師になるには、5年以上の経験があり、認定薬剤師の資格を持っていることが推奨されています。
管理薬剤師には、調剤のスキルだけでなく、部下に対するマネジメント能力や、病院内でのコミュニケーション能力も必要とされます。管理職として年収も大幅にアップするでしょう。

残業や夜勤を増やす

給与をアップする確実な方法は、残業や夜勤を増やしてそれに対する手当をもらうことです。
残業や夜勤はできればしたくないという同僚も多いのではないでしょうか。もし積極的に残業や夜勤をすれば、周囲からの評価を得ながら収入もアップさせることができます。
ただ、家族との時間が少なくなったり、体調を崩してしまったりするおそれもあるので、負担にならない範囲で行うことが大切です。

給与アップを交渉する

個人病院や小規模な病院の場合、給与や昇給の制度が整っていないところもあります。
もし自分の働きが評価されていないと感じるときは、給与アップについて交渉することを考えてもよいでしょう。その場合は、客観的なデータを用意して、病院側にも不利にならないように話を始めることが大切です。
病院側の反応をみることで、給与アップの余地があるかどうかを判断できるでしょう。

副業する

本業で給与アップが期待できない場合は、副業することで収入を増やすことができます。
勤務が休みの日に別の薬局で働いたり、派遣で働いたりしている薬剤師もいます。また、空いた時間にメディカルライターや、医薬品関係の翻訳を行うという方法もあります。

ただ、副業をすると休みの時間が減り、いろいろと気を遣うことも増えるので、身体への負担が大きくなります。副業は無理のない範囲で行いましょう。
また、管理薬剤師は副業が認められていないことには注意が必要です。

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年収1000万円をめざすには転職も

医師と違って、よほどの大病院で出世しないかぎり、病院で働く薬剤師が年収1000万円に到達することは難しいといえます。
年収1000万円をめざすには、給与の高い仕事に転職することが現実的な手段となるでしょう。

高年収の職場に転職する

薬剤師の場合、転職する人も多く、給与アップを伴う転職をすること自体はそれほど難しくはありません。
ただ、一般のサラリーマンであれば、年収1000万円を得られる仕事は、さまざまな業界のなかにさまざまな職種がありますが、薬剤師の業界の中では限られてしまいます。年収1000万円を実現するには、高年収の仕事をピンポイントでねらっていく必要があります。

なお、自分ひとりの力で年収1000万円の転職先をみつけようとしてもなかなか難しいものがあります。
転職する際には、薬剤師専門の転職エージェントに登録することがおすすめです。経験豊富なコンサルタントが、年収をアップするにはどういうルートがいいかを一緒に考えてくれます。また、条件のよい非公開求人を紹介してもらうこともできます。

では、年収1000万円をねらえる転職先についてみていきましょう。

ドラッグストア・調剤薬局の管理職

求人数などからみてまず候補になるのが、大手ドラッグストアや調剤薬局の管理職でしょう。全国チェーンの大手ドラッグストアや調剤薬局となると、店舗数も多く、昇進のポストも比較的多くなっています。店長からエリアマネージャー、そして本部の管理職となれば、年収1000万円も可能になってくるでしょう。

ドラッグストアの場合、OTCのみの店舗より、調剤とOTCを併設したドラッグストアのほうが平均年収が高い傾向にあるので、調剤併設の店舗で働きながら昇進をねらうのがおすすめです。また、店長や店長候補としての求人もあるので、キャリアのある病院薬剤師ならば、そのような求人に応募することもできます。

製薬会社のMR

製薬会社の営業職であるMRは高年収で知られています。MRは営業の結果を出せば、インセンティブによって給与が上がるため、自分の実力で年収1000万円を稼ぐことができます。
努力が給与に反映されるという面で、営業スキルの高い人にはおすすめの仕事です。

ただ、製薬会社の数が少なく、都会にあることが多いので、応募することそのものが難しくなっています。MRの中途採用は、経験者が優遇されるので、未経験の場合はハードルが高いのが現実です。

CRO業界でCRA職

製薬会社や医療機器メーカーなどから委託を受け、臨床試験や研究開発関連業務を代行するCRO（開発業務受託機関）で働くCRA（臨床開発モニター）も年収1000万円をねらえる仕事です。
ただ、CROも都市部に多く、CRAの求人も限られています。転職を考える場合はきちんと準備することが必要です。

地方やへき地で働く

離島などのへき地や、人口の少ない地方から、高給与の求人が出されているのを見たことはないでしょうか。薬剤師の数が少ない地方では、薬剤師を採用するために給与を高くせざるをえなくなっています。なかには「年収1000万円も可」という求人もあるので、そのような求人に応募すると年収1000万円を実現することができます。

地方やへき地の求人には、住居を用意してくれたり、引っ越し費用を負担してくれたりするものもあるので、高年収を得ながら支出を抑えることもできます。

独立開業する

普通に薬剤師として勤務しているだけでは、なかなか年収1000万円に到達することは難しいでしょう。
しかし、自分で薬局を開業して経営者となれば、年収1000万円を稼ぐことも夢ではありません。

また、自分で新規開業するほかに、跡継ぎのいない個人薬局で働いて、ゆくゆくは事業承継するというケースもあります。後継者のいない不安を抱えた薬局のオーナーと独立希望を持つ薬剤師をつなぐサービスもあり、最近注目されています。

独立開業すると、経営がうまくいかなかったときのリスクをすべて背負うことになります。しかし、チャレンジ精神があり、マネジメント能力の高い薬剤師にとっては、自分がやったことがそのまま収入に結びつく、可能性にあふれた道だともいえます。
もし独立開業を考える場合は、しっかり準備して臨むようにしましょう。

まとめ

世間で思われている「薬剤師＝高年収」というイメージと違って、病院薬剤師が年収1000万円を実現するのは難しい面があります。
しかし、病院薬剤師は高いスキルを持っているので、より高年収の職場へ転職することは難しいことではありません。
この記事を参考に、自分が求める年収を実現するにはどうすればよいかを考えてみてはいかがでしょうか。