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病院薬剤師の転職・年収コラム

更新日: 2024年8月1日 薬剤師コラム編集部

20代の病院薬剤師の年収はどのくらい?年収アップ法やキャリアプランも解説

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大学を卒業して国家試験に合格した20代の薬剤師の就職先として人気なのが病院勤務です。
しかし、「病院薬剤師の年収は低い」と聞いたことがあり、志望するのに躊躇している方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では、20代の病院薬剤師の年収を紹介するとともに、薬剤師として悔いのないキャリアプランを描くためにはどうすればいいかについて解説します。

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20代の薬剤師の平均年収

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まず、厚生労働省のデータをもとに、20代薬剤師の平均年収について、20代前半と後半に分けてみてみましょう。

20〜24歳の薬剤師の平均年収

20〜24歳の薬剤師の平均年収は、以下のようになっています。

男女計
20~24歳 381万円 406万円 372万円

※平均年収は、厚生労働省「賃金構造基本統計調査/ 令和4年賃金構造基本統計調査」の、「きまって支給する現金給与額」12か月分に、「年間賞与その他特別給与額」を足した金額を平均年収として算出

薬剤師は6年制の大学を出て就職するので、就職するのは最短でも24歳です。そのため、この金額は実質的にほぼ初任給を反映した金額だといえます。

一方、令和元年度のデータになりますが、大学卒の新入社員全体の平均年収は約315万円です。それに比べると、381万円という薬剤師の年収は高いことがわかります。

「令和元年賃金構造基本統計調査結果(初任給)の概況:1 学歴別にみた初任給」から、賞与を3カ月分として計算

25〜29歳の薬剤師の平均年収

次に、25〜29歳の薬剤師の平均年収をみてみましょう。

男女計
25~29歳 465万円 501万円 442万円

20〜24歳のときと比べて、全体の平均で約80万円アップしており、年収500万円に近づいています。20代で年収500万円が期待できるというのは、薬剤師の年収はやはり一般よりは高いといえるでしょう。

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病院薬剤師の平均年収

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それでは、続いて病院で働いている薬剤師の年収についてみてみましょう。病院薬剤師の給与は低いというのは本当なのでしょうか。

病院薬剤師の平均年収

薬キャリエージェントの調査によると、病院薬剤師全体の平均年収は474万円となっています。これは、20代だけでなく、すべての年代を含めた数値です。
400万円台後半という金額は、20代後半の薬剤師全体の平均と同程度なので、やはり病院薬剤師の年収は低くなっています。

これには、病院薬剤師には新卒から働いている若い薬剤師の割合が高いことも原因のひとつとなっています。新卒で病院に就職して、しばらく働いたあとに調剤薬局やドラッグストアに転職するというケースが多いのです。その辞めたあとにまた新卒が入るというサイクルができているため、結果的に病院薬剤師の年収が低めになってしまうという面はあります。

薬剤師のほかの職種との比較

それでは、ほかの職場で働く薬剤師の年収はどのくらいなのでしょうか。

男女計
ドラッグストア(OTC・調剤併設) 528万円
ドラッグストア(OTCのみ) 500万円
ドラッグストア一律 514万円
調剤薬局 517万円
病院 474万円

この表を見ると、平均年収のトップはOTC・調剤を併設したドラッグストアで、次いで調剤薬局となっています。ドラッグストアと調剤薬局の平均年収が500万円を越えているのに対して、病院の年収はやはり低いという印象です。

若いうちはそれほど差がなくても、働き続けるうちに年収差が開いていく傾向にあるといえるでしょう。

ほかの医療従事者との比較

では、同じ病院で働いているほかの医療従事者と比べて、薬剤師の年収は高いのでしょうか、低いのでしょうか。

男女計
医師 1429万円 1515万円 1138万円
歯科医師 810万円 794万円 878万円
薬剤師 583万円 637万円 540万円
看護師 508万円 523万円 506万円

※厚生労働省「賃金構造基本統計調査/ 令和4年賃金構造基本統計調査」の、「きまって支給する現金給与額」12か月分に、「年間賞与その他特別給与額」を足した金額を平均年収として算出

医療従事者のなかでも、医師は男女共に1000万円を越えており、やはり一般的なイメージ通り医師の年収は別格であることがわかります。
歯科医師も、同様に800万円を越える年収となっています。

この表にある薬剤師の年収は、薬局やドラッグストア勤務も含めた、薬剤師全体の平均年収です。薬剤師としての年収は、医師には及ばないものの、看護師よりは高くなっています。

ただ、病院薬剤師の給与は薬剤師全体の平均よりは低いので、病院で働いているほかの医療従事者と比べると、病院薬剤師の給与水準は高いとは言えないのが現実です。

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20代の病院薬剤師が年収をアップするには

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これまでみてきたように、病院薬剤師の年収は同じ薬剤師のなかでも低くなっています。大学で学んできたことを生かせる職場として病院を選んだのに、年収が思ったより低いことを残念に感じた方もいるのではないでしょうか。
それでは、20代の病院薬剤師が年収をアップするにはどうすればいいのでしょうか。

病院でしかできないスキルを磨く

薬剤師の基本的な業務は調剤です。これに患者さんに対する服薬指導があってワンセットとなります。この業務は病院でも、調剤薬局でも、調剤を併設したドラッグストアでも変わりません。

しかし、病院には、調剤のほかにさまざまな業務があります。注射液を扱ったり輸液の無菌調剤を行ったりできるのは病院だけです。入院病棟のある病院ならば、入院患者の薬物治療計画を立て、適切な薬剤を選択し、投与量やスケジュールを管理します。

たとえば、がん患者に対する抗がん剤治療では、医師と共同で治療計画を立て、患者の状態に合わせて適切な用量を調剤します。そして、患者の血液や臨床症状を定期的にチェックし、抗がん剤の効果と副作用を評価していきます。

このように、医療の最先端で医師や看護師とチームを組んで働けるのは病院だけです。20代は体力もありさまざまなことを吸収する力が高い時期です。病院勤務でしか身につけることのできない業務に積極的に取り組んで、スキルを磨いていきましょう。薬剤師としての能力が高くなれば評価が高くなり、給与アップにつながります。

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資格を取得する

薬剤師には、薬剤師免許のほかに、より専門性を深めた専門薬剤師や認定薬剤師といった資格があります。資格をとることで、まわりからの信頼が増し、より高度な業務や責任のある役割を任されるようになります。資格手当のある病院ならば給与アップにつながります。また、昇進もしやすくなるでしょう。

調剤薬局やドラッグストア勤務の場合、せっかく資格をとっても実際に活かす機会に恵まれなかったりします。しかし、病院薬剤師が、「がん薬物療法認定薬剤師」「糖尿病薬物療法認定薬剤師」「小児薬物療法認定薬剤師」のような資格をとれば、すぐに現場で役立てることができます。

転職する際にも、その分野のスペシャリストとして評価され、プラスにはたらくでしょう。

地方へのUターン、Iターンを考える

薬学部のある大学に進学するために都市部に出て、そのまま就職した方も多いのではないでしょうか。
しかし、薬剤師の場合、都市部よりも地方のほうが給与が高い傾向にあります。都市部にはたくさんの薬剤師がいるため、給与を高くしなくても人手を確保することができます。しかし、薬剤師の数が少ない地方では、薬剤師を採用するために高い給与を示す必要があるのです。

転居を伴うことではありますが、もし事情が許すなら、地元へUターンしたり、地方へIターンしたりすれば、給与アップの可能性が高まります。

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副業する

いま働いている病院では給与アップは望めない、でも収入をアップさせたい、そう考えた時は、副業も選択肢になります。
副業には、大きく分けて、薬剤師として働くことと、薬剤師以外の仕事をすることの2つのパターンがあります。

薬剤師としての副業には、週末や夜のみほかの薬局などで短時間働くケースがあります。派遣薬剤師として働けば、より高時給となります。
薬剤師以外の副業としては、薬剤師としての知識を生かしてメディカルライターとして働くケースなどがあります。

副業を始める際には、現在勤務している病院で副業が認められているかをきちんと確認しておきましょう。また、時間的にも身体的にも負担が増えるので、無理のない範囲で行うことが大切です。

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転職する

薬剤師は、どこにいっても需要が高いので、転職しやすい職種だといえます。そのなかでも、基本的な調剤スキルに加えて、専門的な経験を積んできた病院薬剤師は、転職市場において評価の高い存在です。現在の病院よりワークライフバランスの整った条件で、給与の高い職場に転職することも難しくはありません。

自分の希望条件やキャリアの目標に合った職場を見つけるためには、しっかりとした準備と情報収集が必要です。
転職の際には、薬剤師専門の転職エージェントを利用することがおすすめです。経験豊富なコンサルタントに希望の条件を伝えれば、自分に合った求人を紹介してもらえます。コンサルタントは履歴書の書き方や面接対策についてもアドバイスをしてくれます。

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20代病院薬剤師の後悔しないキャリアプラン

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20代は薬剤師の資格を生かして、さまざまなキャリアを選択できる時期です。ここでは、後悔しないキャリアプランを描くためにはどうすればいいかについて考えてみましょう。

病院のなかで昇進する

病院での仕事にやりがいを感じて、臨床の場にかかわり続けたいと思っている方は、病院のなかで働き続ける道を考えていきましょう。

病院といっても、病院の規模や種類によって薬剤師の働き方にも違いがあります。
大学病院や地域の総合病院のような大規模な急性期病院では、夜勤や当直があったりして、長く勤めるのが難しい面があります。そのような病院でバリバリ働けるのは、若いうちの特権だと考えることもできます。大きな病院で最先端の医療に触れ、そのなかで自分がどういう方向に進んでいくか考えてゆくとよいでしょう。

大きな病院で出世するのはなかなか難しいですが、もしそれを望むならば、薬剤師のスキルを磨くと同時に、後輩を指導したり薬剤部をまとめたりするコミュニケーションスキルやマネジメントスキルも必要になります。昇進するポストがあるかも見極めていきましょう。

また、20代で身につけたスキルをもとに、ほかの病院へ転職して仕事を続けるという選択肢もあります。

もし、ずっと臨床の第一線で働きたいと考えるなら、国公立病院への転職を考えてもよいかもしれません。国公立病院の薬剤師は公務員なので、毎年確実に昇給があり、長く働けば働くほど給与が上がっていきます。最先端の医療に触れながら、安心して定年まで働くことができるでしょう。ただ、転職するためには公務員試験を受けなければならないので、もし転職を考えるなら早いうちから準備する必要があります。

逆に、入院を扱わない病院や、慢性期病院ならば、夜勤などもなく安定して働き続けることができます。管理薬剤師の募集が出ることもあるので、キャリアを積みながらそのような求人をねらうこともできます。

調剤薬局やドラッグストアへ転職する

20代の若いうちは病院でバリバリ働いてスキルを身につけ、その後、調剤薬局やドラッグストアに転職するというのは薬剤師に多くみられるパターンです。

調剤薬局は業務内容や勤務時間が安定しているので、ワークライフバランスを保ちやすく、働きやすいことがメリットです。また、在宅医療にかかわることもできるので、地域のなかでやりがいを感じながら働くことができます。

ドラッグストアは土日が休みでなかったり、シフト制だったりします。また、一般のお客さん相手の接客業という面が強く、調剤以外の品出しなどの業務もあります。人と接するのが好き、店舗のマネジメントに興味があるという人は、病院にはないやりがいを感じられるでしょう。薬に対する専門性だけでなくビジネススキルも磨きたいという薬剤師にはおすすめです。

調剤薬局とドラッグストアはどちらも店舗の数が多いので、転職先は探しやすいでしょう。病院に比べると給与もアップする可能性が高くなっています。病院薬剤師の評価は高いので、転職活動も有利に進めることができるでしょう。

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キャリアに迷った時は専門家のサポートを

これまでみてきたように、病院でしか経験できない仕事は多く、それが病院勤務のほかとは代えがたい魅力となっています。ただ、そのぶん勤務はハードですし、勤務の大変さのわりに給与が低く抑えられているのも事実です。

病院で働きながら、これから先どうすればいいか考えてみたくなったときは、キャリアの専門家に相談してみてはいかがでしょうか。
薬剤師専門の転職エージェントは、リアルな地域の情報を把握していますし、いろいろな薬剤師を見ています。自分が悩んでいるポイントを伝えれば、個々の薬剤師のスキルや経験に基づいて最適なキャリアプランを提案してもらえます。

転職エージェントは、無料で登録できて、相談や転職活動のサポートもすべて無料です。次のステップに進むために、ぜひ上手に利用してみてください。

まとめ

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病院で働くことは、伸び盛りの20代の薬剤師にとってほかの職場ではできない経験を与えてくれる非常に有意義なことだとえいます。一方で、仕事がハードだったり、年収が低かったりというデメリットもあります。

体力のある20代の間は気にならなくても、だんだん体力面で限界を感じるようになるかもしれません。働き始めた数年は年収の差はそれほどなくても、長く働くうちに、病院勤務の自分と、調剤薬局やドラッグストアで働いている同級生の年収の差も大きくなっていきます。

これから後悔しないキャリアを築くためには、自身の目標やライフスタイルに合った選択をしていくことが重要です。病院内で働き続けるにせよ、調剤薬局やドラッグストアへ転職するにせよ、自分のスキルを上手に生かして、悔いのない選択をしてくださいね。

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薬剤師コラム編集部

「m3.com」薬剤師コラム編集部です。
m3.com薬剤師会員への意識調査まとめや、日本・世界で活躍する薬剤師へのインタビュー、地域医療に取り組む医療機関紹介など、薬剤師の仕事やキャリアに役立つ情報をお届けしています。

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