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病院薬剤師の転職・年収コラム

更新日: 2024年8月1日 薬剤師コラム編集部

病院で働く薬剤師の年収が低いってホント?年収アップのポイントも解説

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病院で働く薬剤師は年収が低い」そんな話を聞いたことはないでしょうか?
一般的に薬剤師は、年収が高いというイメージがありますし、同じ病院で働いている医師は高年収で知られています。
では、病院薬剤師の実際の年収はどうなのでしょうか?
ここでは、データをもとに、病院薬剤師の年収と、年収アップするポイントについてお伝えします。

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病院薬剤師の平均年収

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薬キャリエージェントの調査によると、病院で勤務する薬剤師の平均年収は、474万円となっています。

病院薬剤師の年収を、ほかの職場とくらべると?

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では、この年収は、ほかの薬剤師や一般労働者、医療従事者と比べて高いのでしょうか、低いのでしょうか。
ここから詳しくみていきましょう。

薬剤師の職場別の比較

薬剤師の主な勤務先としては、病院のほかに調剤薬局、ドラッグストアなどがあります。
同じように調剤を行う薬剤師ですが、勤務先によって、平均年収に違いはあるのでしょうか。
以下の表は、薬キャリエージェント調べによる薬剤師の職場別の平均年収です。

男女計
ドラッグストア(OTC・調剤併設) 528万円
ドラッグストア(OTCのみ) 500万円
ドラッグストア一律 514万円
調剤薬局 517万円
病院 474万円

この表を見ると、平均年収のトップはOTC・調剤を併設したドラッグストアで、次いで調剤薬局となっています。
ドラッグストアや調剤薬局の平均年収が500万円を越えているのに対して、病院は最も年収が低く、トップとは約50万円の差があります。

病院勤務の薬剤師は他の職場と比べて年収が低い傾向があることがわかります。

一般労働者との比較

厚生労働省の調査によると、一般労働者の平均年収は以下の表のようになっています。

男女計
一般労働者 312万円 342万円 259万円

※一般労働者の平均年収は、厚生労働省「付表2 一般労働者の性、雇用形態別賃金及び雇用形態間賃金格差の推移/令和4年賃金構造基本統計調査の概況」より、男女計の正社員・正職員の賃金に12を掛けた数字を平均年収としている

一般労働者の312万円に比べると、病院薬剤師の平均年収474万円は150万円以上高くなっています。
また、薬剤師には女性が多いですが、女性の一般労働者259万円と比べると、薬剤師の平均年収との差は200万円以上になります。
薬剤師は、同じ仕事をしている限りは男女による給与の差はありません。一般労働者に比べると、病院薬剤師は高年収であるといえるでしょう。

他の医療従事者との比較

次に、同じ病院で働いている他の医療従事者と比べて、薬剤師の年収はどのくらいの水準にあるのかをみていきましょう。

男女計
医師 1429万円 1515万円 1138万円
歯科医師 810万円 794万円 878万円
看護師 508万円 523万円 506万円

※厚生労働省「賃金構造基本統計調査/ 令和4年賃金構造基本統計調査」の、「きまって支給する現金給与額」12か月分に、「年間賞与その他特別給与額」を足した金額を平均年収として算出

病院で働いている医療従事者のなかでも、年収が際立って高いのはやはり医師です。歯科医師も男女ともに高い水準にあります。
同じように大学に6年間通う薬剤師ですが、医師との年収差は大きいといえます。

また、看護師の508万円に比べても、病院薬剤師の年収は少し低くなっています。
これは、看護師は数が多く、勤務年数の長いベテラン看護師の割合も高いのに対し、後述するように病院薬剤師の平均年齢が低いことが影響していると考えられます。病院薬剤師でも、勤務を続けて役職がつけば、看護師の平均年収は上回ります。

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国公立病院と民間病院に違いはある?

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病院のなかには、一般的な民間病院のほかに、国公立病院もあります。
国公立病院と民間病院では、薬剤師の年収に違いはあるのでしょうか。

国公立病院

国公立病院で働く薬剤師は、公務員という立場になります。
国家公務員薬剤師の給与については、人事院規則の定めに基づいて医療職(二)俸給表が適用されます。民間に比べると初任給は低めですが、毎年昇給していくので、長く働けば病院で働いていけば高年収となります。

「国家公務員給与の実態(令和5年国家公務員給与等実態調査の結果概要)」から計算すると、国公立病院薬剤師の平均年収は約587万円となります。

国家公務員給与の実態(令和5年国家公務員給与等実態調査の結果概要)

病院薬剤師の平均年収に比べると高いといえます。また、福利厚生や退職金がしっかりしているのも魅力です。

民間病院

一般の病院の数が多いのに比べて、国公立病院の数は少数です。その数の比率から考えると、病院薬剤師全体の年収の平均474万円は、民間病院の平均とほぼ同等だと考えられます。平均でみると、国公立病院と比べて民間病院勤務の薬剤師の年収は低いといえるでしょう。

ただ、一般の病院にはさまざまな規模や経営状態の病院があり、病院によって給与体系は異なります。大きな病院の薬局で管理職となれば、かなりの高年収も期待できます。

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病院薬剤師の年収が低い理由

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高年収のイメージのある病院薬剤師の年収が低いのはなぜでしょうか。
ここからは、病院薬剤師の年収が低くなってしまう理由を説明します。

新卒の薬剤師に人気がある

新卒の薬剤師にとって、病院勤務は魅力的な就職先です。卒業した大学の附属病院に就職する新卒も多く、病院は採用に困ることはありません。

募集をかけてもなかなか応募がないような薬局やドラッグストアでは、給与も高く設定されます。しかし、人材の確保に苦労しない病院では、給与を高くする必要がないので、年収も低くなってしまうのです。

また、働き始めたばかりで給与が低い若い薬剤師が多いことが、病院薬剤師全体の平均給与に影響しているとも考えられます。

病院内で人件費抑制の対象になりやすい

病院内で中心となって働いているのは、医師や看護師です。医師はもともとの給与水準が高いですし、不足しがちな看護師を確保するためには高い給与を提示する必要があります。
そのような医師や看護師の給与を用意するために、薬剤師にかかる人件費は抑えられがちになってしまうのです。

病院薬剤師のメリット

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このように、年収の面では若干不利な状況にある病院薬剤師ですが、ほかの職場にはない魅力があるのも確かです。
ここでは、病院で働くことによって得られるメリットについてみていきます。

専門性が高く、やりがいがある

通常の薬剤師の仕事は、医師の処方箋に従って調剤を行うことですが、病院薬剤師の仕事はそれにとどまりません。注射調剤は設備の整った病院でなければできない業務です。また、病棟に出向いて直接入院患者さんと向き合う薬剤業務もありますし、救命救急業務を行う病院もあります。これらの仕事は、病院でないと経験することのできない専門性の高い仕事です。

医療の世界は日々進化を続けています。医療現場に身を置くことで、さまざまな症例を見ながら最新の医療に触れ、自分自身も成長していくことができます。ほかではできないスキルアップができること、大きなやりがいがあることが、病院薬剤師の最大の魅力だといえます。

また、病院内での会議や勉強会などを通して、医師の見解や意見に直接触れる機会が多いため、専門的な知識を深めることもできます。
このような環境を生かして、より専門性の高い専門薬剤師を目指すこともできます。

チーム医療に携わることができる

病院の門前薬局であれば、その病院に来た患者さんに薬を提供するという点では、病院内の薬局と変わらないともいえます。しかし、そこで働く薬剤師は、処方箋を通してしか医師の意図に触れることはできません。

病院内で働いていれば、医師や看護師をはじめ、さまざまな分野の専門家とチームになって患者さんのケアに取り組むことができます。
近年、大きな流れとなっているチーム医療の一員となれることは、薬剤師にとってもやりがいが感じられることです。

チームの一員として、患者さんに対する服薬指導をするだけではなく、薬剤のスペシャリストの立場から医師と意見を交わすこともありますし、研修会に参加してスキルをブラッシュアップすることもできます。
薬剤師としてとても魅力的な働き方だといえるでしょう。

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病院薬剤師の年収アップの方法

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このように、ほかでは経験できないメリットのある病院薬剤師ですが、年収をアップする方法にはどのようなものがあるのでしょうか。

資格をとる

薬剤師が年収をアップさせようと思ったときの方法のひとつが資格をとることです。
薬局勤務の場合、せっかく資格をとっても実際に活用する場がなかったりしますが、病院で働いていると、すぐに仕事に生かすことができます。
資格手当のある病院であれば、年収アップにもつながります。また、転職時にも有利になります。

資格にもいろいろありますが、ニーズの高いがんに関するものだけでも、「がん薬物療法認定薬剤師」「がん専門薬剤師」など複数の資格があります。そのほかにも、糖尿病、腎臓病、感染症などさまざまな資格があるので、自分の仕事に関連する資格をとれば、資格をとるために学んだことを生かしながら、キャリアアップにもつなげることができるでしょう。

昇進する

薬剤師としてのスキルを身につけながら、まず管理薬剤師になり、ゆくゆくは薬局長をめざす。病院で働きながらで年収を上げるには、やはりこのようにキャリアを積んで昇進していくのが王道になります。
年収の水準が低めの病院勤務であっても、薬局長になれば高収入が期待できます。

ただ、薬局の人数が少ない病院の場合、昇進できるポストが限られます。大手の調剤薬局やドラッグストアのように、転勤ということもありません。ずっと薬局長が変わらないような職場だと、自分に能力があってもその人が辞めるまでは昇進できないことになります。
自分の職場でどこまで昇進が期待できるのかは確認しておきましょう。

地方の病院で働く

都市部よりも地方のほうが薬剤師の数が少ないため、人手不足が深刻です。高齢化が進む地方ですが、病院のニーズは高いので、薬剤師を確保するために給与は都市部に比べて高くなっています。

転居を伴うかもしれませんが、都会よりも地方で働くほうが収入アップの可能性は高くなります。
もし都会の大学の薬学部に入るために上京し、そのまま都会で就職したのなら、地元へのUターンを考えてみてはいかがでしょうか。
また、薬剤師が不足しているへき地や離島で働けば、大幅に年収をアップすることができます。住居を用意してくれたり、引っ越し費用を補助してくれたりするところもあります。

国公立病院へ転職する

国公立病院で働く薬剤師は公務員という位置づけなので、初任給は低いですが、毎年着実に昇給するので、定年まで勤めると給与や退職金は高くなります。また、国公立病院は総合病院だったり専門性が高かったりするので、やりがいが感じられる職場です。

もし、病院勤務に魅力を感じて一生働きたいと考えているならば、思い切って国公立病院へ転職すれば、安心して働き続けることができます。

ただ、国公立病院の薬剤師は公務員ですので、転職するためには公務員試験を受けて合格しなければなりません。試験の要項は、受験する自治体によって異なり、年齢などの条件もあります。
もし、国公立病院への転職を考えるならば、早めに準備するようにしましょう。

転職する

薬剤師の職場別の年収でみたように、調剤薬局やドラッグストアの年収は、病院より高くなっています。
病院は専門性が高くやりがいのある職場ですが、働き続けるうちに、仕事のハードさや責任の重さに比べて給与が低いと感じるようになるかもしれません。若いうちはよくても、結婚して家族が増えたのでもっと収入が必要になるといったこともあるでしょう。

病院で経験を積んだあとに、年収アップを求めて薬局やドラッグストアに転職する薬剤師も多いです。
病院で専門性の高いスキルを身につけた病院薬剤師は、転職市場でも人気があります。転職先に困ることはないでしょう。

病院薬剤師が転職を考えたときには、薬剤師専門の転職エージェントを利用するのがおすすめです。転職エージェントは、一般の転職サイトには掲載されていない非公開求人を多く持っています。病院薬剤師ならば、より条件のよい求人が紹介してもらえるかもしれません。まずは登録してみてはいかがでしょうか。

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まとめ

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ここまでみてきたように、病院薬剤師はほかでは経験できない経験ができ、仕事の面での満足度は高くなっています。ただ、仕事のハードさに比べて年収は抑えられがちという一面もあります。

病院薬剤師を経験していれば、そのまま病院で仕事を続けるにしても、転職するにしても、有利であることに変わりはありません。
もし年収面で不安を感じたら、転職も視野に入れながら、働き方を見直してみてはいかがでしょうか。

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薬剤師コラム編集部

「m3.com」薬剤師コラム編集部です。
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