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病院薬剤師の転職・年収コラム

更新日: 2024年9月1日 薬剤師コラム編集部

【アンケート結果あり】病院薬剤師の年収は低いけれど、転職はしやすい?

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病院薬剤師の年収は低すぎるという話を聞いたことはないでしょうか。
臨床の現場で働いているのが病院薬剤師。医師や看護師とチームを組んで、患者さんのケアに取り組んでいます。責任も重く、病院によっては夜勤や当直があるところも。
それなのに年収が低いとしたら、なぜなのか理解しにくいですよね。

ここでは、病院薬剤師の年収が本当に低いのかをデータをもとにみていきます。
あわせて、薬キャリが現役薬剤師に行ったアンケートから、病院薬剤師経験者のナマの声もご紹介します。

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病院薬剤師の年収は低い?

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薬キャリエージェントが病院で働く薬剤師について調査したところ、病院薬剤師の平均年収は、474万円となっています。
これは、これから解説しますが、ほかの職場の薬剤師と比べても低い金額になります。
アンケートのなかにも、転職理由として「病院で多忙な割に給料が安い」というものがありました。

病院薬剤師アンケートより「転職理由はなんですか?」

  • 病院勤務だったが薄給であった
  • 病院薬剤師では、奨学金をかえせない
  • 病院で多忙な割に給料が安い
  • 病院勤務で結婚後も続けている人がいなかった
  • 結婚するので。病院から薬局へ変えてみようと思った

ほかの薬剤師の業種と比較

では、病院以外で働く薬剤師の年収はどのくらいなのでしょうか。
以下の表は、薬キャリエージェント調べによる薬剤師の職場別の平均年収です。

男女計
ドラッグストア(OTC・調剤併設) 528万円
ドラッグストア(OTCのみ) 500万円
ドラッグストア一律 514万円
調剤薬局 517万円
病院 474万円

この表を見ると、平均年収のトップはOTC・調剤を併設したドラッグストアで、次いで調剤薬局となっています。

ドラッグストアには、調剤以外にもさまざまな仕事があり、OTCのほかに普通の食品や日用品も販売するセールスの面が強いといえます。全国チェーンの大手ドラッグストアも多く、店舗や管理職のポストもいろいろあるので、給与が上がる余地が大きくなっています。それが、年収の高さに結びついています。

調剤薬局は、処方箋に従って調剤を行うことを専門にしています。病院勤務と重なる部分が多いといえますが、平均年収は500万円を越えています。

それに比べると、臨床の現場で日々奮闘している病院薬剤師の平均年収が400万円台というのは、ちょっと寂しい金額に感じられます。
アンケートにも「病院勤務だったが薄給だった。拘束時間が長くワークライフバランスを保てなかった」というコメントがありました。

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病院薬剤師アンケートより「転職理由はなんですか?」

  • 拘束時間が長くワークライフバランスを保てなかったこと
  • 病院に入職すると、必ずしも希望のキャリアをつめるものではなかったから
  • 子育てをしながら勤められる環境ではなかった

他の医療従事者と比較

次に、同じ病院で働いている他の医療従事者と比べて、薬剤師の年収はどのくらいの水準にあるのかをみていきましょう。

男女計
医師 1429万円 1515万円 1138万円
歯科医師 810万円 794万円 878万円
看護師 508万円 523万円 506万円

※厚生労働省「賃金構造基本統計調査/ 令和4年賃金構造基本統計調査」の、「きまって支給する現金給与額」12か月分に、「年間賞与その他特別給与額」を足した金額を平均年収として算出

病院で働いている医療従事者のなかでも、医師はやはり別格です。同じように、歯科医師も高年収です。女性のほうが年収が高いのが目を引きます。

また、看護師の平均年収も508万円と、500万円を越えています。男性も女性もともに500万円以上になっています。女性であっても一生働き続けることができる仕事として、キャリアを積んでいる看護師が多いことが表れているといえるでしょう。

それに対して、病院薬剤師の474万円は低く感じられます。
これは、病院で働いている薬剤師は、新卒を中心とした若手が多いため、平均年齢が低いことが影響していると考えられます。病院薬剤師でも、長く働き続けて役職に就けば年収は上がります。ただ、長く続ける薬剤師は少ないのが現状です。

このような病院薬剤師の実情について、次から詳しくみていきましょう。

病院薬剤師の年収が低い理由

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このように、ほかの職場の薬剤師や医療従事者と比べて、病院薬剤師の平均年収は低くなっています。一般的に高年収と言われている薬剤師なのに、年収が低いのにはどのような理由があるのでしょうか。

新卒に人気があり採用に困らない

初任給に関しても病院よりもドラッグストアなどのほうが高い傾向はありますが、病院は新卒の薬剤師には人気のある就職先です。学生時代に学んだことを実践する場として、ドラッグストアよりも病院のほうが魅力的に見えるためでしょう。

新卒で病院に就職し、何年か働いたあとで他の職種に転職するのは薬剤師によくあるキャリアパスです。そうして空きができたとしても、そこにまた新卒が採用できるので、病院側は初任給や給与を高くしようという動きにならないのです。
結果的にベテランの割合が低くなるので、全体的な平均年収も低くなります。

アンケートには「病院に入職しましたが、夜間当直あり、土日あり、しかも院内調剤で、めちゃくちゃ大変でした。給料も安く、若い時にしかできない経験でした。キャリアを積むことはできました」という声がありました。新卒から働く薬剤師のホンネが表れているかもしれませんね。
また、「病院薬剤師では、奨学金を返せない」という切実な声も。6年間高い学費を払って薬学部に通ったあとに給与が低いのは大きな問題だといえます。

病院の中で人件費が抑えられやすい

病院のなかで欠かせないのは医師と看護師です。医師の給与が最も高いですが、それを削減するわけにはいきません。看護師に関しても、長く働いてくれる看護師は確保しなければならない人材であり、数も多いので人件費がかかります。

そのような病院のなかでしわ寄せを食っているのが薬剤師かもしれません。若手が多いこともあり、人件費を抑えることを考えたときに、その対象となりやすいのが薬剤師なのです。

管理職のポストが少ない

病院のなかで働く薬剤師の数はそれほど多くありません。大病院なら薬局に多くの薬剤師がいますが、小さな病院の場合、薬局長以外はヒラ薬剤師というところも珍しくありません。
そのような薬局では、上司が辞めない限りはどんなにスキルを磨いても出世するすべがないといえます。薬剤師は、初任給は高くても昇給幅が大きくないので、管理職にならない限りは大幅な年収アップは難しくなっています。

国公立病院は最初は給与水準が低い

国公立病院の薬剤師は、公務員または公務員に準じた待遇となります。
薬剤師に限らず、公務員は全般的に初任給が低くなっています。その代わりに毎年一定の幅で昇給するので、年齢を重ねれば重ねるほど給与が上がり、定年するころには高年収となります。また、退職金もしっかり支給されます。

ただ、年齢が若いうちの給与が少なく、病院薬剤師全体に占める割合も高くはないため、公務員薬剤師は病院薬剤師の平均年収を上げる存在にはなっていません。

病院薬剤師が年収を上げる方法

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ここまでみてきたように、構造的な問題もあり、病院薬剤師全体の年収が上がることを期待するのは難しいといえます。病院薬剤師が年収を上げようと思った場合、自分で対処していかなければなりません。
病院薬剤師が個人の努力で年収を上げるには、どのような方法があるのでしょうか。

昇進する

病院で働きながらさまざまな経験を積んで管理薬剤師になったり、薬局長になったりして昇進していくのが、年収アップのための代表的なルートになります。

ただ、先ほども説明したように、勤務している病院での管理職の数によって昇進できるかどうかは変わります。昇進の可能性があるなら、さまざまな経験を積んだり、次に説明するような資格をとったりして、管理薬剤師からの昇進をめざしましょう。
まず、自分の職場で昇進はどの程度期待できそうかをきちんと判断することが大切です。

資格をとる

専門職である薬剤師には、薬剤師の資格に加えて認定薬剤師専門薬剤師といった資格があります。
臨床の現場で働く薬剤師が資格をとれば、評価のプラス要素になり、資格手当のある病院ならば年収アップが期待できます。

調剤薬局やドラッグストア勤務の場合、せっかく資格をとってもそれを実践する機会がなかったりしますが、病院薬剤師は日々の業務に生かすことができます。資格をとることは、病院薬剤師にとってメリットが大きいと言えます。

アンケートのなかにも、「年齢が高かったので、一般の薬剤師としては転職しにくかったのですが、幸い、薬局長募集があり、すぐに決まりました。やはり資格を取っていたことが有利だったと思います」というコメントがありました。

病院薬剤師アンケートより「転職して最もよかったことのエピソード」

  • 年齢が高かったので、一般の薬剤師としては転職しにくかったのですが、幸い、薬局長募集があり、すぐに決まりました。やはり資格を取っていたことが有利だったと思います。

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給与の高い地方で働く

病院は人口が少ない地方であっても必ず開業していますし、病院がある限り薬剤師は必要不可欠な存在です。

しかし、薬剤師は地方には少なく、都市部に多くなっています。人手を確保するために、薬剤師が不足している地域の給与は高い金額が提示されます。遠方からの応募であっても、住居を用意したり、引っ越し費用を負担したりする求人も多くみられます。住居費まで考えると、実質的にかなりの高年収になります。

もし転居をしてもかまわないというのであれば、地方で働くのも年収アップのための有効な方法です。

転職する

新卒で病院に勤めて、いろいろな経験をしてから他業種へ転職するというのは、薬剤師のなかでよくみられるキャリアパスです。そのまま病院で働き続けても収入アップの見込みがないときは、思い切って転職することが収入アップの手段となります。

アンケートのなかにあった「初めての職場が病院。次は調剤薬局とドラッグストアの2カ所で働き、仕事の違いや必要な知識を学んだ」というコメントは、薬剤師によくあるパターンだといえます。
また、「生活のため病院勤務から調剤薬局へ転職しましたが、できれば病院に残りたかった」というコメントも。やりがいがあっても給与面で報われないと働き続けるのは難しいかもしれません。このコメントからは、給与アップのためには転職が有効であることがうかがわれます。

病院薬剤師が転職を考えたときは、薬剤師専門の転職エージェントを利用するのがおすすめです。アンケートのなかにも「今は転職エージェントに頼むとすべてやってくれるから、働きながら転職活動できる」というコメントがありました。

専門のコンサルタントに希望を伝えておけば、仕事を続けながら、自分に適した転職先を提案してもらえます。なかなか自分からは話しづらい給与面についても、コンサルタントを通して先方に確認できます。

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転職先におすすめの業種はある?

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アンケートのなかには「最初が大学病院勤務だったので、他の施設に行っても何も怖いもの知らずになっていた、どこに行っても即戦力だった」というものがありました。やはり苦労が大きいぶん、病院経験者のスキルは強いといえます。
では、そのようなスキルをもつ病院薬剤師が転職しようと思ったときに、おすすめの業種はどこでしょうか。

調剤薬局

病院薬剤師の転職先としてまずおすすめなのは、調剤薬局です。病院勤務でも中心的な業務だった調剤のスキルがそのまま生かせます。
それまで自分が働いていた病院と同じ診察科の門前薬局に転職すれば、転職してもスムーズに仕事に入っていけるでしょう。診療現場の実際がわかるので、薬局側にとってもありがたい存在です。

病院勤務の経験があれば、たとえ未経験の診療科でもすぐに対応できるでしょう。総合病院で働いていた場合は、どの診察科の門前薬局でも大丈夫なので、転職先の選択肢が広がります。
給与も病院勤務より高くなることが期待できます。

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ドラッグストア

ドラッグストアも年収アップが見込める、おすすめの転職先です。
ただ、店舗勤務では、調剤と服薬指導をしていればいいというわけではなく、医薬品以外の日用品や食品の販売や接客も行わなければいけません。薬剤の専門家であることに加えて、セールス的な面も強くなります。特に、出世して店長やエリアマネージャーになろうと思えば、店の売上をいかに伸ばしていくかというマネジメント的なセンスは欠かせません。

調剤薬局と比べると、向き不向きが分かれる業種だといえます。向いている人には、調剤とはまた違う仕事のおもしろさがあり、出世して大幅な収入アップも期待できるので、おすすめの転職先です。

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まとめ

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病院薬剤師の給与は低めですが、それ以外の面では、貴重な臨床経験ができてスキルが磨ける、魅力的な職場だといえます。

ここまでは、主に年収をあげるための方法として、病院から他業種への転職について解説しました。しかし、実際には、調剤薬局やドラッグストアで働いていた薬剤師が、もの足りなさを感じて、スキルアップのために病院に転職するパターンもみられます。アンケートのなかにも「企業から病院への転職で、病院薬剤師としての業務を覚えることができて、その後の育児期間の調剤薬局でのパートでもその経験を生かすことができた」というものがありました。

病院で働いていて、収入の面で不満を感じたときは、他業種への転職が年収アップには有効です。臨床の場で経験を積んできた病院薬剤師ならば、転職活動もスムーズに行えるでしょう。
この記事を参考に、自分の仕事と収入について考えてみてはいかがでしょうか。

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「m3.com」薬剤師コラム編集部です。
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