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病院薬剤師の転職・年収コラム

更新日: 2024年12月31日 薬剤師コラム編集部

病院薬剤師の給与はいくら?なぜ低い?平均給与や給与明細事例も公開

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「病院薬剤師の給与は低い」と聞いたことはないでしょうか。
調剤や服薬指導だけでなく、病院という医療の現場で専門的な業務に従事している病院薬剤師の給与が低いというのは本当なのでしょうか。
ここでは、実際の給与明細も紹介しながら、病院薬剤師の給与のリアルについて深掘りしていきます。

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病院薬剤師の平均給与は?

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薬キャリエージェントの調査によると、病院薬剤師の平均年収は474万円となっています。実際の給与は、病院の規模、勤務年数、職位などによって異なります。また、ボーナスの扱いも病院によって違いがあります。

ボーナスを6カ月分と仮定して計算すると、薬剤師の平均給与は約26万円ということになります。
この金額を見ると、他の職種に比べて病院薬剤師の給与は低いように感じられるかもしれません。

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病院薬剤師の給与は高い?低い?

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では、病院薬剤師の給与はどのくらいの水準にあるのでしょうか。
ここからは、病院薬剤師の給与は高いのか、低いのかを、他の職種と比較しながらみていきます。

薬剤師の職場別の比較

薬剤師の職場別の年収は、以下のようになっています。

年収
ドラッグストア(調剤併設) 528万円
ドラッグストア(OTCのみ) 500万円
ドラッグストア一律 514万円
調剤薬局 517万円
病院 474万円

※薬キャリエージェント調べ

ドラッグストアの年収が一番高くなっていますが、調剤薬局との間に大きな差はありません。
しかし、ドラッグストアや調剤薬局の年収が500万円を超えているのに対して、病院は400万円台となっています。
病院薬剤師の仕事が専門性が高く、夜勤や当直がある病院もあることを考えると、寂しい数字に感じられます。

一般労働者との比較

厚生労働省の調査によると、一般労働者の平均年収は以下のようになっています。

男女計
一般労働者 312万円 342万円 259万円

※一般労働者の平均年収は、厚生労働省「付表2 一般労働者の性、雇用形態別賃金及び雇用形態間賃金格差の推移/令和4年賃金構造基本統計調査の概況」より、男女計の正社員・正職員の賃金に12を掛けた数字を平均年収としている

一般労働者の312万円に比べると、病院薬剤師の平均年収は高いといえます。
また、女性についてみると、一般労働者259万円と比べると、薬剤師の平均年収は200万円以上高くなっています。

薬剤師は女性の割合が高い職業です。資格職である薬剤師は、女性にとっては安定した高給与が得られる仕事だといえるでしょう。

他の医療従事者との比較

次に、同じ病院で働いている他の医療従事者と比べてみましょう。

男女計
医師 1429万円 1515万円 1138万円
歯科医師 810万円 794万円 878万円
看護師 508万円 523万円 506万円

※厚生労働省「賃金構造基本統計調査/ 令和4年賃金構造基本統計調査」の、「きまって支給する現金給与額」12か月分に、「年間賞与その他特別給与額」を足した金額を平均年収として算出

病院で働いている医療従事者のなかでも、年収が際立って高いのは医師です。女性でも1000万円を超えています。歯科医師も男女ともに薬剤師より高い水準にあります。

また、看護師の508万円に比べても、病院薬剤師の年収は少し低くなっています。
これは、看護師は数が多く、勤務年数の長いベテラン看護師の割合も高いこと、専門看護師や管理職の数が比較的多いことが影響していると考えられます。病院薬剤師でも、勤務を続けて役職がつけば、看護師以上の給与アップが期待できます。

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国公立病院と民間病院の給与の違いは?

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病院には一般の病院のほかに国公立病院があります。
公務員である国公立病院の薬剤師と、民間病院の薬剤師の給与にはどのくらい違いがあるのでしょうか。

国公立病院の給与

国家公務員薬剤師の給与については、人事院規則の定めに基づいて医療職(二)俸給表が適用されます。

「令和5年国家公務員給与等実態調査の結果」によると、国家公務員薬剤師の諸手当を含んだ平均給与月額は35万7899円となっています。
公務員のボーナスは4.4カ月分ですので、年収は約587万円となります。

令和5年国家公務員給与等実態調査の結果

地方公務員薬剤師の給料は自治体によって異なりますが、医療職(二)俸給表に準じて設定されることが多くなっています。
総務省の「令和4年地方公務員給与の実態」によると、地方公務員薬剤師の諸手当を含んだ平均給与額は39万2810円となっています。ボーナスを加えた年収は約644万円となります。

令和4年地方公務員給与の実態

国公立病院は数が少ないため、先ほど紹介した病院薬剤師の平均給与は民間病院の給与を反映していると考えられます。
それと比べると、国公立病院のほうが民間病院に比べて給与が高くなっていることがわかります。

民間病院との差が開く理由

国公立病院は人事院の規定に準じて給与が決まっています。そのため、初任給は低くなっていますが、毎年昇給があるので長く勤めれば勤めるほど給与は上がります。

一方、民間病院では、病院の経営方針や経済状況に応じて給与が決定されます。そのため、病院によって給与体系は異なります。

経営が順調な大規模病院では、国公立病院を上回る給与が支給されることもありますが、経営が厳しい病院では逆に給与が抑制されることもあります。定期昇給がない病院もあるので、長く働いた場合は国公立病院のほうが給与が高くなる傾向があります。

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病院薬剤師の給与が低い理由

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これまでみてきたように、病院薬剤師はほかの職種に比べて給与が低い傾向があるようです。
なぜそのような状態にあるのかをみていきましょう。

新卒の薬剤師に人気があり採用に困らない

病院薬剤師は、臨床現場での経験が積めることから、新卒薬剤師にとって人気の高い職種です。そのため、比較的低い給与でも採用に困らない状況になっています。このような採用状況が、病院薬剤師の給与が低く抑えられる一因となっています。
また、若くて給与が低い薬剤師が多いことが、病院薬剤師全体の平均給与に影響しているとも考えられます。

病院内で人件費を抑制されやすい

病院で働くスタッフの給与は、病院の経営状況に影響を受けます。経営状況が安定しない場合、経営効率化の一環として人件費が抑制されることになります。

しかし、医師はもともとの給与水準が高いですし、不足しがちな看護師を確保するためには高い給与を提示しなければなりません。
そのような医師や看護師の給与を用意するために、薬剤師にかかる人件費が抑えられがちになってしまうことがあるのです。

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病院薬剤師の給与明細

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ここからは、病院薬剤師の実際の給与明細をご紹介します。

給与事例1 一般薬剤師

nnnさん(30代)の給与明細

勤務地 福岡県
勤め先 病院・診療所・クリニック
雇用形態 正社員
役職 なし
給与に関係する資格
基本給 230,000円
残業など 70,000円
その他手当 48,000円
(手当名) 住宅手当、当直・夜勤手当、地域手当
月給合計 348,000円
賞与 600,000円
年収 4,776,000円

給与事例2 主任

ニックネームさん(40代)の給与明細

勤務地 神奈川県
勤め先 病院・診療所・クリニック
雇用形態 正社員
役職 主任
給与に関係する資格
基本給 300,000円
残業など 50,000円
その他手当 32,900円
(手当名) 夜勤・当直手当、地域手当
月給合計 382,900円
賞与 800,000円
年収 5,394,800円

給与事例3 薬剤部長・薬局長

Taoさん(50代)の給与明細

勤務地 東京都
勤め先 病院・診療所・クリニック
雇用形態 正社員
役職 薬剤部長・薬局長
給与に関係する資格
基本給 450,000円
残業など
その他手当 100,000円
(手当名) 役職手当、地方手当
月給合計 550,000円
賞与 1,000,000円
年収 7,600,000円

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病院薬剤師の給与アップの方法

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昇進する

病院薬剤師は給与が低めですが、昇進して役職につけば給与は上がっていきます。特に大規模病院では、管理職に就くことで大幅な給与アップが期待できるでしょう。
薬剤師の生涯年収は、薬局勤務の場合も病院勤務の場合も大きな違いがないというデータもあります。

しかし、病院の場合はそもそも昇進できるポストが少ないという問題があります。自分が働いている病院で昇進が期待できるのかを見極め、もし可能性が低い場合は転職という選択肢も視野に入れてみましょう。

地方の病院で働く

都会に比べて薬剤師が不足している地方の病院では、人員を確保するために高い給与が提示されます。もし事情が許すのであれば、地方の病院で働くことで、大幅に給与アップできる可能性があります。給与だけでなく、病院側で住宅を用意してくれる場合もあります。また、地方で生活することで、生活費が抑えられる点もメリットです。

資格をとる

資格手当のある病院では、認定薬剤師や専門薬剤師の資格を取得することで給与が上がります。薬局やドラッグストア勤務の場合、せっかく資格をとっても実際に活用する場がなかったりしますが、病院で働いていると、すぐに仕事に生かすことができます。
また、転職の際にも有利に働くでしょう。

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まとめ

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病院はやりがいをもって働ける職場ですが、病院薬剤師の給与は、他の職種の薬剤師や医療従事者と比較するとやや低めです。しかし、長く働いて昇進すれば、給与をアップさせることができます。

もしこれからの給与に不安がある場合は、転職という選択肢もあります。
転職する際には、薬剤師専門の転職エージェントを利用するのがおすすめです。自分の希望を伝えれば、それに合った職場を紹介してもらえます。自分ではききづらい給与についても、コンサルタントを通して交渉が可能です。

病院薬剤師として身につけたスキルは、どの道に進んでも高く評価されます。転職も視野に入れながら、これからのキャリア目標や理想の働き方を考えてみてはいかがでしょうか。

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