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病院薬剤師の転職・年収コラム

更新日: 2025年4月1日 薬剤師コラム編集部

大学病院に転職するには臨床経験を積むことと、情報収集かカギ

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薬剤師として働くうえで病院薬剤師という選択肢は、医療現場で直接患者のケアに関わるやりがいを感じられる職種です。
その中でも大学病院薬剤師は、最先端の医療技術や治験に携わることができるという点で非常に魅力的です。
しかし、大学病院での仕事には特有の難しさもあり、転職を検討する際には、事前に十分な準備が必要です。

この記事では、病院薬剤師として大学病院で働く魅力や仕事内容、さらに転職を成功させるためのポイントについて詳しく解説します。
「大学病院でのキャリアを目指したい」と考えている方に向けて、知っておきたい情報をお伝えします。

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病院薬剤師のなかで大学病院が人気の理由

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病院にもさまざまな種類がありますが、そのなかでもなぜ大学病院が特に人気なのでしょうか。まず、その理由について説明します。

医療の最先端の現場で働ける

大学病院は、大学という医療の研究機関に付属し、地域の中核を担う医療機関として、最先端の医療を提供しています。
たとえば、一般の病院ではできないような高度な治療や手術が行われており、最前線の医療現場で働けることが大きな魅力です。

また、大学病院では新薬の治験や臨床研究が日常的に行われており、薬剤師としてその一端を担うことができます。
特に、治験に関わる業務は専門性が高く、ほかでは得られない経験を積むことができます。

チーム医療の一員になれる

大学病院では、多職種が連携して患者のケアを行うチーム医療が徹底されています。
薬剤師もその一員として、医師や看護師、リハビリスタッフなどと密接に連携しながら業務を行います。

たとえば、糖尿病やがんなどの複雑な症例では、薬剤師が処方提案を行ったり、患者に直接服薬指導を行う場面も少なくありません。
多職種の意見を取り入れながら、最適な治療計画を立案するこのプロセスは、他の職場ではなかなか経験できないものです。

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薬剤師としてスキルアップできる

大学病院には薬剤師として高度なスキルを磨ける環境が整っています。
たとえば、医薬品情報管理(DI業務)では、医師や看護師に薬剤の情報を提供する役割を担います。このDI業務では最新の薬学的知見を取り入れる必要があるため、自然と専門性が高まります。

また、治験業務を通じて、新薬の有効性や安全性を評価するプロセスに関わることで、臨床薬学の知識も深まります。

大学病院での経験は、薬剤師としてキャリアを重ねるうえで大きな財産となるでしょう。

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大学病院での薬剤師の仕事内容

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次に、大学病院での薬剤師の仕事内容についてみていきましょう。

調剤業務

大学病院の薬剤師は、外来患者だけでなく、入院患者に対しても、処方箋をもとに調剤を行います。
一般の調剤薬局とは異なり、患者一人ひとりの病態に合わせた調剤が求められるため、注意深い確認作業が必要です。

たとえば、特定の臓器の機能が低下している患者に対しては、用量を調整したり、代替薬を提案したりすることもあります。
また、大学病院では、抗がん剤や高カロリー輸液(TPN)など特殊な薬剤を扱うことも多いため、高い知識と技術が求められます。

医薬品管理

大学病院では、院内で使用するすべての医薬品の在庫管理や品質管理を薬剤師が担当します。
たとえば、手術室や集中治療室(ICU)に必要な医薬品を常に適切な状態で供給するためには、綿密な計画に基づいた調整が必要です。

さらに、薬剤の保管方法や期限管理も重要な業務の一つです。
誤って期限切れの薬剤が使用されることのないよう徹底した管理を行います。

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DI業務

先述したDI(Drug Information)業務は、医薬品の情報を収集し、医師や看護師に提供する業務です。
たとえば、新しい抗がん剤が承認された際には、その作用機序や使用方法、副作用などを詳しく調べ、医療スタッフに共有します。

このDI業務では、薬学的な知識だけでなく、情報収集力や分析力も必要とされます。
大学病院のDI業務を通じて得たスキルは、将来的なキャリアアップにも大いに役立つでしょう。

治験業務

治験業務では、新薬の開発に伴う臨床試験を管理します。
具体的には、患者に治験薬を投与する際のプロトコルを確認し、正確に実行されるようサポートします。また、治験データの記録や報告を通じて、新薬の有効性や安全性を検証します。

このように、治験業務は大学病院ならではの重要な役割であり、他の職場では経験できない専門性を磨くことができます。

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大学病院薬剤部の特徴

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ここでは、大学病院で働く薬剤師の働き方の特徴について説明します。一般の病院勤務とはどのように違うのでしょうか。

業務内容が多岐にわたり忙しい

大学病院薬剤部の業務は、一般的な病院や調剤薬局とは異なり、非常に幅広い範囲をカバーしています。
たとえば、調剤業務だけでなく、DI業務や治験管理業務、患者への服薬指導、さらには薬剤の研究活動にまで携わることがあります。

その結果、薬剤師一人ひとりの業務量が多くなり、時間的な余裕が少ないと感じることもあるかもしれません。
しかし、これだけ多岐にわたる業務を経験できる点は、スキルアップやキャリア形成において非常に有利です。

夜勤や当直が発生する

大学病院では、夜間や休日の緊急対応が必要となるため、夜勤や当直の業務があります。
一例を挙げると、緊急手術が行われる際に、使用する薬剤の準備や提供を行うといったことがあります。

夜勤や当直は、生活リズムの乱れや体力的な負担を伴うため、慣れるまでは大変だと感じる人も多いでしょう。私生活や家庭とのバランスもあるため、きちんと事前に考慮しておく必要があります。

高い専門性が求められる

大学病院では、薬剤師に高度な専門知識とスキルが求められます。
たとえば、抗がん剤の調整や患者への指導では、薬理作用だけでなく副作用の予測や対策を熟知している必要があります。

さらに、他の医療スタッフからも専門的なアドバイスを求められる場面が多いため、最新の薬学情報に常にキャッチアップする努力が求められます。
このように知識と経験を積み重ねる環境に身を置くことは、薬剤師としての成長という観点では、大きなプラスになるでしょう。

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大学病院の薬剤師の年収

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このように一般の病院に比べると仕事内容が高度な大学病院ですが、薬剤師の年収はどのくらいなのでしょうか。

大学病院薬剤師の平均年収

大学病院薬剤師の年収は、働く病院によって違います。

国公立大学に付属した病院では、国家公務員給与表の医療職(二)俸給表に基づいた給与となっているところが多くなっています。初任給は低めですが、毎年昇給していきます。

人事院の調査によると、国家公務員薬剤師の諸手当を含んだ平均給与月額は35万7899円となっています。公務員のボーナスは4.4カ月分ですので、年収は約587万円となります。

国家公務員給与の実態(令和5年国家公務員給与等実態調査の結果概要)

私立大学の付属病院の給与は病院によってさまざまです。
ただ、大学病院で働く薬剤師の年収は、調剤薬局薬剤師やドラッグストア薬剤師よりもやや低くなっていることが多くなっています。

また、厚生労働省の調査によると、病院薬剤師全体の傾向として、若いときの年収は低めですが、年齢を重ねて50代になると高くなっています。

厚生労働省「薬剤師の偏在への対応策」

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他職場との比較

薬キャリエージェントの調査によると、大学病院も含めた病院薬剤師の平均年収は474万円、調剤薬局薬剤師の平均年収は517万円、ドラッグストア薬剤師は514万円となっています。

調剤薬局やドラッグストアで働く薬剤師と比べると、大学病院薬剤師の年収はやや低い傾向があります。これには、大学病院は新卒に人気があるため初任給が抑えられることや、平均年齢が低いことが原因として考えられます。

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年収以外の魅力

このように、年収面では有利とは言えませんが、大学病院での勤務には、年収以外の魅力が多く含まれていると言えます。
たとえば、医師や看護師との密接な連携を通じて得られる人間関係の構築や、新薬開発に関わることで得られる達成感などです。

また、学会参加費用や研修費用に補助が出る場合もあり、薬剤師として勉強を続けたい人にとってはよい環境と言えます。

大学病院のネームバリューや専門性の高さは、将来的にキャリアチェンジを考える際にも有利に働くことがあります。
こうした要素を含めると、大学病院薬剤師として働く価値は大いにあると言えるでしょう。

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病院薬剤師が大学病院で働くデメリット

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次に、大学病院で働くデメリットについて見ていきましょう。

業務内容が広く、忙しい

大学病院では薬剤師が担当する業務範囲が非常に広くなります。
たとえば、調剤、DI業務、治験管理、患者への服薬指導など、多岐にわたる業務を同時にこなさなければなりません。

このため、一日のスケジュールが非常にタイトになり、時間外労働が発生することもあります。
その結果、プライベートの時間を確保するのが難しいと感じる方もいるでしょう。

夜勤や当直がある

大学病院では24時間体制で医療が提供されるため、薬剤師も夜勤や当直の担当があります。
たとえば、夜間の救急患者に対応する際には、迅速かつ正確な処方提案を求められます。

これにより、生活リズムが乱れたり、体力的な負担を感じることがあります。

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希望の仕事ができないことがある

大学病院は非常に大きな組織なので、自分が希望する業務にすぐに就けるとは限りません。
たとえば、「治験業務に携わりたい」と思っていても、配属先や人員状況によっては調剤業務が中心となる場合があります。

また、スキルアップを目指しても、職場全体の優先順位によって希望が通らないこともあるため、長期的な視点でキャリアを考えることが重要です。

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大学病院への転職は難しい?

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このように、ほかの職場ではできない経験ができる大学病院に魅力を感じて、転職したいと考えている人もいるでしょう。大学病院への転職難易度は高いのでしょうか?

大学病院の採用は新卒が中心

大学病院の薬剤師採用は新卒が中心であり、毎年の採用枠も限られています。新卒者向けの教育制度が整っているため、大学卒業後に直接就職するケースが多いのが特徴です。

一方で、中途採用の枠はごく少数で、特定の部門や業務で欠員が出た際に募集がかかる程度です。
そのため、タイミングが合わないと応募すら難しいという現状があります。

中途採用の人数が少なく、倍率が高い

中途採用枠が少ないため、求人が出ると応募者が集中し、競争率が高くなります。そのような状況のなかでは、経験やスキルをアピールできるかどうかが合否のカギを握ります。たとえば、「治験業務の経験が豊富」や「複数年にわたるDI業務経験がある」などの明確な強みがあると、採用側に対する説得力が増します。
大学病院での転職を成功させるには、他の候補者との差別化が重要です。

大学病院特有の採用基準

大学病院では、一般的な薬剤師の採用基準とは異なるポイントが重視されます。
たとえば、学術的な活動への関心やチーム医療への積極性など、ほかの職場ではあまり問われない要素が評価されることがあります。

これらの基準を理解し、自分のスキルや志向性を具体的にアピールすることが必要です。

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大学病院へ転職するには

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難易度が高い大学病院への転職ですが、成功させるためにはどうすればいいのでしょうか。転職成功の可能性を高める対策について解説します。

情報収集をこまめにする

大学病院の中途採用は頻繁に行われるものではないため、採用情報を常にチェックすることが重要です。
病院のウェブサイトや採用情報ページを定期的に確認するほか、知人や同僚からの口コミ情報を活用するのも効果的です。

また、希望する大学病院がある場合は、病院見学やイベントに参加することで、内部の雰囲気や業務内容を事前に知ることができます。

上記のような情報収集を行うことで、転職の準備をより具体的に進めることができます。

臨床経験を積む

大学病院への転職を成功させるためには、これまでの臨床経験が大きなアドバンテージになります。
たとえば、中小規模の病院での薬剤管理指導業務や、治験関連業務に携わる経験は、大学病院の採用基準に合致するケースが多いです。

さらに、専門性を磨くために学会発表や資格取得を行うことで、自分のスキルをさらに強化できます。
これらのような経験があれば、採用面接や履歴書でのアピールポイントとなります。

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転職エージェントに登録する

大学病院への転職を目指す場合、医療分野に特化した転職エージェントを活用するのも効果的です。
転職エージェントを利用することで、非公開求人情報の入手や、採用担当者との調整をスムーズに行うことができます。

また、エージェントは履歴書や面接の準備をサポートしてくれるため、競争率の高い大学病院への転職活動を効率的に進められます。

たとえば、「治験業務の経験を活かしたい」や「DI業務を極めたい」など、具体的な希望を伝えることで、エージェントから適切な求人情報を紹介してもらえます。

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まとめ

大学病院に転職するには臨床経験を積むことと、情報収集かカギの画像9

大学病院薬剤師は、最先端の医療現場で高度なスキルを磨ける一方で、業務の多忙さや夜勤など、独自の大変さも存在します。
人気の高い転職先なので、転職を成功させるためには十分な情報収集と準備が必要です。

まずは、自分のキャリアプランを明確にし、大学病院で何を実現したいのかを考えましょう。次に、臨床経験を積んだり、専門性を高めることで、大学病院で求められるスキルを身につけていくとよいでしょう。

転職活動を進める際には、転職エージェントや病院見学を積極的に活用することで、情報不足や不安を解消できます。
この記事を参考に、自分のキャリア目標に向けた一歩を踏み出してください。

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薬剤師コラム編集部

「m3.com」薬剤師コラム編集部です。
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