第2回:「薬剤師の在宅ありき」に込められた薬局経営者の想い

国の政策に伴い、病棟から在宅へと移行しつつある医療の現場。これを背景に薬剤師の働き方も、店舗だけではなく在宅医療へと広がりを見せるようになりました。福岡や首都圏で合計29の薬局を展開しているHyuga Pharmacy(ヒューガファーマシー)は2008年の創業時から、在宅医療に力を入れている薬局の一つです。
そこで本企画「在宅医療で薬剤師は何ができるのか?」では全6回にわたり、同社の取り組みについて、取締役事業部長の城尾浩平さんにお話を伺います。
創業からの変遷についてうかがった前回(第1回「Hyuga Pharmacyにおける在宅への取り組み」)に続き、今回はHyuga Pharmacyが在宅医療に力を入れる理由をお聞きしています。
来るべき少子高齢化社会を見据え「在宅医療ありき」で薬局を創業
Hyuga Pharmacyが展開する「きらり薬局」は2008年の創業当時から在宅医療に取り組んでいます。早期から在宅に力を入れていた理由を教えてください。
城尾
創業当時はまだ、薬剤師による訪問薬剤管理が評価されはじめたころです。患者さんの自宅や介護施設などに薬剤師が出向いて積極的に服薬指導や薬剤管理をしている薬局は多くありませんでした。
そんな時代に、なぜ当社が在宅医療に力を入れたかというと、社会のニーズ拡大が明らかだったからです。創業者の黒木は、「少子高齢化とともに在宅医療は薬局の必須業務になる」と確信をもち、いち早く在宅医療に取り組みました。人材や設備をととのえ、拡大するだろうニーズに対応するため準備をすすめました。(第1回「Hyuga Pharmacyにおける在宅への取り組み」)その後、地域包括ケアシステムの推進や「患者のための薬局ビジョン」の発表、診療報酬改定における在宅患者調剤加算の新設など、想定通りのスピードで在宅医療の必要性が高まっていったという感じですね。