尿路感染症第4回 ウロセプシスなどの抗菌薬選び
今回で尿路感染症は最後になります。最後は、最も重症なウロセプシスとその他の尿路感染症について触れていきたいと思います。
前回までのおさらい
尿路感染症の分類
患者さんの状況によって細かく分かれるため、尿路感染症の分類はやや難しいですが、ここでは、尿路を逆行的に感染が広がるという考え方で、膀胱炎→腎盂腎炎→ウロセプシス(腎盂腎炎からの敗血症)の順番で重篤化するという考えのもとご説明します。尿路感染の多くは、尿道からの細菌侵入により起こるため、原因菌の多くは好気性グラム陰性桿菌ということになります。
尿路感染症を3つの視点で整理しよう
- どこで?:膀胱、腎臓、血液中
- どんな患者に?:若い女性、高齢女性、妊婦、男性、透析患者などに分類
- どんな菌が?:おもにグラム陰性桿菌(大腸菌など)
ウロセプシス患者の抗菌薬選択はここをチェック!
血液中に細菌が入るため重症
薬剤耐性菌が原因となることが多い
腎排泄型の抗菌薬がよい
腎盂腎炎治療の考え方
ウロセプシスとは、尿路感染症により生じた敗血症と定義され、敗血症全体の約25%を占めるとされています。本来無菌である血液中に細菌が入り込むのですから、かなりの重症ですので、全例入院下での治療ということになります。ウロセプシスの特徴としては、院内感染由来、尿路留置カテーテルに関連したものが多く、薬剤耐性菌が原因となることがかなり多くなります。そこで、選択する抗菌薬もできれば、腎排泄型で抗菌スペクトルが広く、抗菌力に優れたβ-ラクタム系、キノロン系を選択することが推奨されています。