市中肺炎5(ディフィニティブテラピー・陰性桿菌)
この回では、クレブシエラ属、大腸菌、プロテウス属など腸内にいることが多いいわゆるグラム陰性桿菌が検出された場合の抗菌薬選択についてご紹介していきたいと思います。
これらの菌で問題となる耐性といえば、なんといってもESBL産生です。ESBLとはExtended-spectrum β-lactamase のこと。βラクタマーゼは、以前にご紹介した通りβラクタム環を破壊するための酵素であり、これはβラクタム環のみを器質とします。ESBLはこれを進化させたもので、器質となる相手へのスペクトルを拡張(Exended)した酵素なんです。つまりβラクタム環のみならず、セフェム環など若干形の変わった構造であっても破壊することが可能になった酵素ということになります。それでは、ESBLの有無による抗菌薬の使い分け、見ていきましょう。