誤嚥性肺炎
今回は、高齢者に多くある誤嚥性肺炎を取り挙げたいと思います。
誤嚥性肺炎とは、本来食道に嚥下するはずの食品(唾液なども含めて)を気管に誤嚥してしまうことで引き起こされる肺炎を示します。通常、気管に食品や唾液が入り込むと、反射性の咳(いわゆる“むせる”という反応)が引き起こされますが、脳血管障害を有する場合や高齢者の場合にはこの反射反応が起こらず、誤嚥性肺炎につながってしまうことがあります。
誤嚥により口腔内常在菌などが肺に流れ込むことになるため、これらの菌種をカバーする必要があります。入院期間が長くなっている患者さんが院内発症した場合には、緑膿菌などのカバーも必要になることがあり、投与期間は1週間程度とされることが多いものの、緑膿菌などブドウ糖非発酵菌による感染が疑われる場合には、2週間程度が推奨されています。
エンペリックテラピー
S.pneumoniae、S.aureus、腸内細菌科などの報告が多く、K.pneumoniaeのカバーも必要となってきます。加えて上記でも述べたように口腔内常在菌のカバーも必要と考えます。また、院内発生の場合には、緑膿菌に加え、ESBLsとなる可能性のあるE.coli、Klebsiella属、Proteus属も考えておく必要性が出てきます。まず、患者さんの重症度を判断し、耐性菌リスクについても検討する必要があります。