疾患別・感染症と抗菌薬の選び方

更新日: 2022年7月2日 柳瀬 昌樹

骨髄炎・関節炎4

糖尿病性骨髄炎の抗菌薬選択|抗菌化学療法認定薬剤師のメイン画像1

糖尿病性骨髄炎(ASOなどに合併するものを含む)

私は抗菌化学療法認定薬剤師とは別に糖尿病領域(糖尿病療養指導士/糖尿病薬物療法認定薬剤師)を専門としているため、難渋する糖尿病性骨髄炎の患者さんに会う機会が少なくありません。一般的に糖尿病患者さんの15%が足部潰瘍を発症すると言われています。この足部潰瘍がしばしば骨髄炎に進展しますが、このような糖尿病性足病変やASOに伴う骨髄炎は慢性骨髄炎になることが多いと言われています。

明らかな症状がないことも少なくなく、深い潰瘍や大きな潰瘍を認める慢性的病態である場合や、骨が露出している場合などには、つねに骨髄炎を頭に置いておくことが大切です。具体的には、瘻孔に挿入したゾンデが骨に到達するか、2㎠以上の潰瘍病変などが1つの診断材料となります。

治療期間は、骨髄炎であるため、6週間程度は必要になりますが、これは感染した骨組織がある場合で、感染巣が切除された場合(足切断後など)には、2~5日程度の投与期間を検討することになります。特にドレナージを行わない場合などは、3か月程度とさらに長期間の抗菌薬投与が必要になる場合もあるため、経静脈的投与の後、経口内服薬へのスイッチングも検討する必要があります。

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柳瀬 昌樹
やなせ まさき

薬剤師。薬科大学を卒業後、現在に至るまで病院勤務を続け、糖尿病、感染症などの専門資格を取得。医師の先生方からの全面的ご協力の下、日々奮闘中。
主な取得資格:糖尿病療養指導士、糖尿病薬物療法認定薬剤師、抗菌化学療法認定薬剤師、日本病院薬剤師会病院薬学認定薬剤師、実務実習認定薬剤師
所属学会:日本糖尿病学会、日本くすりと糖尿病学会(認定薬剤師認定委員兼務)、日本化学療法学会、日本病院薬剤師会

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