疾患別・感染症と抗菌薬の選び方

更新日: 2022年11月6日 柳瀬 昌樹

性器感染症1

男性の性器感染症の抗菌薬選択|抗菌化学療法認定薬剤師のメイン画像1

さて、今回は、意外に見かけることの多い性器感染症について見ていきましょう。性器感染症は、患者さんの立場に立つと、他の病気と違い、実は言いにくいことから発見が遅れる可能性があるなどの背景にも注意しながら見ていきましょう。

急性前立腺炎

男性の性器感染症の1つで、罹患すると38度以上の発熱や全身倦怠感などの全身症状と、排尿痛、頻尿、尿意切迫感、排尿困難、会陰部不快感、会陰部痛などの局所症状が現れると言われています。尿も細菌尿として濁ったり、中には膿尿になったりする症例もあります。直腸診を行うと圧痛と熱感のある腫大した前立腺を触ることができるようです。抗菌薬投与前の検査としては、尿培養は必ず取るようにし、感受性確認試験も必須となります。全体の1~2%が重症化すると言われており、敗血症などの可能性も考えられる場合には、血液培養も提出が必要になると思います。また、重症になった場合、前立腺膿瘍を併発することもあり、この場合には、経尿道的もしくは経皮的な外科的ドレナージが必要となります。中には前立腺が大きく腫大したために閉尿となっている場合もあり、この場合には、超音波ガイド下で膀胱瘻を増設することが理想的であり、これが難しい場合は、尿道カテーテル留置が必要となります。

ポイントとして、男性で発熱、全身倦怠感、膿尿を認めた場合には、腎盂腎炎以外にこの前立腺炎を考慮しながら見ておく必要があります。また、性的活動期の青壮年の場合には、以下に挙げる一般細菌以外にも、淋菌やクラミジアなどが原因菌になる可能性があるため、適応のあるキノロン系薬やテトラサイクリン系薬を選択することも考慮が必要となります。

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柳瀬 昌樹
やなせ まさき

薬剤師。薬科大学を卒業後、現在に至るまで病院勤務を続け、糖尿病、感染症などの専門資格を取得。医師の先生方からの全面的ご協力の下、日々奮闘中。
主な取得資格:糖尿病療養指導士、糖尿病薬物療法認定薬剤師、抗菌化学療法認定薬剤師、日本病院薬剤師会病院薬学認定薬剤師、実務実習認定薬剤師
所属学会:日本糖尿病学会、日本くすりと糖尿病学会(認定薬剤師認定委員兼務)、日本化学療法学会、日本病院薬剤師会

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