疾患別・感染症と抗菌薬の選び方

更新日: 2023年3月17日 柳瀬 昌樹

性感染症1

淋菌感染症の抗菌薬選択|抗菌化学療法認定薬剤師のメイン画像1

今回は、なかなか人に言えなかったり、実は発症しているのに気づかなったりすることで発見することが遅れてしまうことも少なくない性感染症について掘り下げていきたいと思います。性感染症は、広義では性行為によって伝播される感染症のことです。男性では尿道炎、女性では子宮頸管炎が多いと言われています。最近では、オーラルセックスなどの性行為などの多様化により、咽頭をはじめとする様々な部位に病変が認められることがあり、パートナーも含めた治療が必要になることが特徴の1つです。

淋菌感染症

淋菌は、男性尿道炎、子宮頸管炎、急性精巣上体炎、骨盤内炎症性疾患(PID)、咽頭炎、結膜炎、播種性淋菌感染症、直腸炎などを引き起こします。最近では、淋菌の耐性化も進んでいるため、できる限りの培養法が推奨されています。検体を採取し、グラム染色、鏡検を行うことが、診断の近道ではありますが、男性の尿道分泌物、尿沈渣を用いたグラム染色、鏡検が診断にきわめて有用であるとされる一方、女性の膣分泌物、子宮頸管、咽頭、直腸からの試料に対するグラム染色、鏡検は推奨されていないことを知っていることも重要となります。治療中は、コンドームを使用しない性交渉は禁止とし、セックスパートナーも同時に治療を行うことが重要です。それでは、それぞれの疾患での治療法を紹介していきますが、使用できる抗菌薬は、セフトリアキソンかスペクチノマイシンの2択になりつつあります。

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柳瀬 昌樹
やなせ まさき

薬剤師。薬科大学を卒業後、現在に至るまで病院勤務を続け、糖尿病、感染症などの専門資格を取得。医師の先生方からの全面的ご協力の下、日々奮闘中。
主な取得資格:糖尿病療養指導士、糖尿病薬物療法認定薬剤師、抗菌化学療法認定薬剤師、日本病院薬剤師会病院薬学認定薬剤師、実務実習認定薬剤師
所属学会:日本糖尿病学会、日本くすりと糖尿病学会(認定薬剤師認定委員兼務)、日本化学療法学会、日本病院薬剤師会

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