疾患別・感染症と抗菌薬の選び方

更新日: 2023年6月18日 柳瀬 昌樹

 眼の感染症3

ウイルス性角膜炎の抗菌薬選択|抗菌化学療法認定薬剤師のメイン画像1

眼の感染症もまとめ始めてみると、意外にたくさんあり、奥深いものがあります。それでは、第三弾!引き続き行ってみましょう。

ウイルス性角膜炎

ウイルス性角膜炎とは、いわゆるヘルペスウイルスによって引き起こされる角膜潰瘍です。ヘルペスウイルスと一口で言っても、単純ヘルペスⅠ型、Ⅱ型によって引き起こされる角膜ヘルペスと、水痘・帯状疱疹ウイルス角膜炎に分けられます。それぞれの治療は、抗ヘルパスウイルス薬であるアシクロビル眼軟膏と上皮病変からの細菌の混合感染を予防するために広域スペクトルの抗菌点眼薬を併用することが推奨されています。

・単純ヘルペスウイルスⅠ型角膜炎

角膜ヘルペスで最も多く、三叉神経節に潜伏感染している単純ヘルペスウイルスⅠ型が再活性化することにより発症します。再活性化する原因としては、ストレスや紫外線照射などがあると言われています。初めて発症するときには、上皮病変がほとんどであり、長い年月をかけて再発を繰り返すと、角膜が白濁したりと実質病変を合併したりすることもあります。上皮病変では、軽度の視力低下や眼痛、異物感を訴え、樹枝状や地図状の角膜潰瘍、結膜充血などが現れます。アカントアメーバ角膜炎と初期での鑑別診断が非常に難しく、しかし、治療法は全く異なるため、眼科専門医へのコンサルトが重要です。

・単純ヘルペスウイルスⅡ型角膜炎

名の通り、単純ヘルペスⅡ型による角膜潰瘍であるが、Ⅰ型によるものとは違い、まれであるとされる。ただし、治療法としては、Ⅰ型と同じ方針となる。

・水痘、帯状疱疹ウイルス角膜炎

眼部帯状ヘルペス発症後に現れる軽度の眼痛、異物感などが症状であると言われる角膜炎です。ただし、眼部帯状ヘルペス発症前でも、微細な潰瘍を呈することもあると言われているため、注意が必要です。また、帯状疱疹患者さんでも約10~25%の患者さんに起こるという報告もあり、注視が必要となります。他の角膜炎とは異なり、虹彩炎を伴うことで、続発緑内障をきたすこともあるため、眼圧が高いかの診断も必要となり、必要であれば、抗緑内障点眼薬を併用することも必要となります。

ウイルス性角膜炎の治療

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柳瀬 昌樹
やなせ まさき

薬剤師。薬科大学を卒業後、現在に至るまで病院勤務を続け、糖尿病、感染症などの専門資格を取得。医師の先生方からの全面的ご協力の下、日々奮闘中。
主な取得資格:糖尿病療養指導士、糖尿病薬物療法認定薬剤師、抗菌化学療法認定薬剤師、日本病院薬剤師会病院薬学認定薬剤師、実務実習認定薬剤師
所属学会:日本糖尿病学会、日本くすりと糖尿病学会(認定薬剤師認定委員兼務)、日本化学療法学会、日本病院薬剤師会

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