疾患別・感染症と抗菌薬の選び方

更新日: 2023年7月19日 柳瀬 昌樹

歯性感染症

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さて、今回取り上げるテーマは「歯」。と言っても虫歯を取り挙げるわけではなく、歯周組織炎やその感染が顎にまで波及する顎炎などいわゆる歯性感染症を取り挙げてみたいと思います。

歯性感染症の原因となる主な細菌は、口腔レンサ球菌と口腔内嫌気性菌です。歯槽部に限局した炎症の初期では好気性菌が主体となりますが、炎症の重篤化に伴い嫌気性菌が関与する割合が高くなっていくと言われています。今回は、歯性感染症をその分類別に特徴と治療法を提示していきたいと思います。

1群:歯周組織炎

歯髄感染から起こる根尖性歯周組織炎と辺縁性歯周組織炎(歯槽膿漏)があります。これらが原因となって、歯肉膿瘍、歯槽膿瘍、口蓋膿瘍などを形成することがあります。

第一選択
アモキシシリン経口 1回250㎎ 1日3~4回 3~7日間
(上記小児の場合) 1回10~15mg/kg 1日3回
クラブラン酸/アモキシシリン経口(§) 1回AMPCで250㎎ 1日3~4回 3~7日間
(上記小児の場合)
[1:14]経口製剤(§)
1回48.2mg/kg 1日2回
食直前
アジスロマイシン経口 1回500㎎ 1日1回 3日間
第二選択
シタフロキサシン経口 1回100㎎ 1日1~2回 3~7日間
ファロペネム 1回150~200㎎ 1日3回 3~7日間
(上記小児の場合) 1回5mg/kg 1日3回
成人でペニシリンアレルギーのある場合
クリンダマイシン経口(§) 1回150㎎ 1日4回 3~7日間
アジスロマイシン経口 1回500㎎ 1日1回 3日間
アジスロマイシン徐放製剤 1回2g 1日1回
クラリスロマイシン経口 1回200㎎ 1日2回 3~7日間
小児でペニシリンアレルギーのある場合
クラリスロマイシン経口(§) 1回7.5mg/kg 1日2回 3~7日間
アジスロマイシン経口(§) 1回10mg/kg 1日1回 3日間
セファクロル経口 1回10~15mg/kg 1日3回 3~7日間

§:保険適用外

※小児のペニシリンアレルギーに対してセファクロルなどのセフェム系を用いる場合、ペニシリンアレルギー患児の約15%がセフェム系にもアレルギーを有すると言われているため、注意して用いることが必要である。

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柳瀬 昌樹
やなせ まさき

薬剤師。薬科大学を卒業後、現在に至るまで病院勤務を続け、糖尿病、感染症などの専門資格を取得。医師の先生方からの全面的ご協力の下、日々奮闘中。
主な取得資格:糖尿病療養指導士、糖尿病薬物療法認定薬剤師、抗菌化学療法認定薬剤師、日本病院薬剤師会病院薬学認定薬剤師、実務実習認定薬剤師
所属学会:日本糖尿病学会、日本くすりと糖尿病学会(認定薬剤師認定委員兼務)、日本化学療法学会、日本病院薬剤師会
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