被爆者・結核患者・中国残留邦人の方が処方箋を持って来局された時の対応は?

皆さんは被爆者の方、結核患者の方、中国残留邦人の方が処方箋を持って来局された時の対応はご存じでしょうか。
結核患者の方の処方は見ることも多いかと思いますが、被爆者の方や中国残留邦人の方の処方は最近では見る機会が減っているので、たまに出会うと焦ることもあるでしょう。今回は被爆者の医療給付、結核医療に基づく医療給付、中国残留邦人支援法に基づく医療給付の3種類の公費についておさえておきましょう。
被爆者の医療給付
まずは、どのような方が被爆者とされるのかを確認しておきましょう。被爆者援護法における被爆者とは、下記1〜4に当てはまる方です。被爆者は「被爆者健康手帳」が交付され、指定された医療機関で医療を受けることができます。
- 当時の広島市・長崎市あるいは法令で定められた区域内で直接被爆した方
- 2週間以内に爆心地から約2kmの区域内に何らかの理由で立ち入った方
- 被災者の救護や死体の処理等、身体に原子爆弾の放射能の影響を受けた方
- 1~3の胎児であった方
原子爆弾の放射能が原因で治療を必要とした場合、厚生労働大臣からそれが原爆症と認定されると全額公費負担で治療を受けられます。原爆症とは、原爆による放射線、熱線、爆風により受けた障害のことです。
被爆者の方が受けられる公費は原爆症と認定された「認定疾病」、それ以外の「一般疾病」の2種類です。原爆症の認定は「病気」に対して行われます。申請をしても原爆との因果関係が低く認定を受けられない場合もありますが、被爆者の認定は取り消されないため、「一般疾病」として医療の給付を受けられます。
法別番号18~認定疾病~
「認定疾病」は法別番号18となり、厚生労働大臣の認定を受けた疾病(原爆症)について、厚生労働大臣が指定した医療機関で医療の給付を受けます。認定疾病に対する医療の給付は全額が公費負担となります。
薬局で「認定疾病」を受け付けるためには“原爆被爆者指定医療機関”の指定の申請を都道府県庁に対して行います。
来局された患者さんには「認定書」と「被爆者健康手帳」を提示してもらう必要があります。

法別番号19~一般疾病~
「一般疾病」は法別番号19となり、遺伝性疾病や先天性疾病、軽い虫歯、被爆以前に発症した精神疾患等の被爆者健康手帳が使えない疾病以外の全ての疾病に対して、被爆者が都道府県知事の指定する被爆者一般疾病医療機関を受診することにより医療の給付が行われます。
薬局で「一般疾病」の処方箋を受け付けるためには“被爆者一般疾病医療機関”の指定の申請を都道府県庁に対して行います。来局された患者さんには「被爆者健康手帳」と「被保険者証」を提示してもらう必要があります。一般疾病は自己負担分の費用が公費負担となります。
一般疾病の医療費
- 原則として保険給付の残りの部分を公費で負担します。
- 高額療養費制度が適用となる場合は、その上限金額が支給限度額となります。
- 後期高齢者医療制度と結核予防法はこちらが優先され、被爆者の医療制度は適用されません。
- 生活保護法と障害者総合支援法の対象者は、被爆者の医療制度が優先されます。
- 国民健康保険に加入する資格はあるが加入していない方は、被爆者の医療制度で3割分の給付を受け、窓口で7割分の支払いをしていただきます。

請求先
どちらの公費も請求先は社会保険診療報酬支払基金または国民健康保険団体連合会です。各自治体の保健所や審査支払機関の公式サイトでも請求の手順や必要書類について確認することができるので、請求前に確認するとより安心です。