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昔と比べる医療制度クイズ

更新日: 2021年8月4日 柳田 希望

処方箋の使用期間、薬局で延長できる?

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処方箋の使用期間、薬局で延長できる?


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処方箋の使用期間を延長できるのは医師だけ

処方箋の使用期間は、原則として処方日を含めて4日以内と決まっています。これを過ぎた処方箋で薬を受けとることはできません。
ただし、長期的な旅行等の特殊な事情がある場合には、医師の判断によりこの期間を予め延長しておくことは可能です。

使用期間が延長される場合、いつまで使用可能なのか処方箋の使用期間欄に記載されます。記載がない場合は、処方日から4日以内です。空欄だからといって、患者さんや薬局が勝手に使用期間を延長する記載をすることは「有印私文書偽造罪」に当たるため、絶対にしてはいけません。

【保険医療機関及び保険医療養担当規則 第20条の3 イ】
処方箋の使用期間は、交付の日を含めて4日以内。ただし、長期の旅行等特殊の事情があると認められる場合は、この限りではありません。

【薬の処方せんの使用期間の徒過の防止について 1の(2)②】
患者さんの事情により4日以内に薬局に行くことができない場合には、医師が医学的に差し支えないと判断する限りにおいて、4日を超える処方せんの使用期間を認めることを可能とするものです。

処方箋の使用期間が「4日間」な理由

診察を受けたその日に処方箋を薬局へ持参して、薬を使い始めるのが一般的です。しかし、様々な事情で当日に薬局へは行けない場合もあると思います。そういった場合でも薬を受け取れるようにするための猶予です。ただし、体調は一日一日変化していくので、1週間経てば、良くも悪くも状態が変わります。患者さんの安全を考慮した結果、4日という使用期間が設けられています。

【薬の処方せんの使用期間の徒過の防止について 1の(1)】
厚生労働省は、処方せんは、医師が処方日現在の患者の症状を考慮して必要な分の薬について記載して交付するものであり、交付の日から日数が経過した場合には、診察した当時からみて患者さんの症状が変わり、処方薬がその時点では安全かつ有効なものとはいえなくなるおそれがあるためと説明しています。

以前は薬局での「疑義照会」で対応していた

使用期間の切れてしまった処方箋を薬局に持参された場合、「処方箋の使用期間が切れているので、お薬をお渡しできません」と処方箋の受付をお断りする必要がありますが、以前は処方箋の発行元に”処方箋の使用期間の延長”をお願いすることも少なくありませんでした。

患者さんは「使用期間があるなんて知らなかった」という場合がほとんどです。医療関係者にとっては当たり前のことでも、患者さんに伝わっていないのであれば、こちらに落ち度がないとも言い切れず、断りきれないということもあったと思います。

本来であれば処方箋の再発行を促すべきところではありますが、薬剤師の目から見て再受診の必要がなさそうであったり、定期薬の場合は、処方箋の使用期間延長の対応を行っていた、ということです。

…とはいえ、疑義照会となれば、もちろん時間がかかります。処方箋の発行元に電話をかけ、処方箋の使用期間延長を相談し、医師の許可を得て、そこでやっと処方箋を受け付けることができます。

医師の判断で再受診が必要とされれば、使用期間を延長することはできません。その間も患者さんは薬局で待たれているので、待ち時間はどんどん長くなっていき、使用期間の延長に感謝されることよりも、不満を言われることの方が多かったと思います。

処方箋の使用期間が周知されていないという問題点

医療関係者にとっては当たり前の「処方箋の使用期間」ですが、正しくご存知の患者さんは、どれくらいいらっしゃるのでしょうか。そもそも使用期間があることすら知らないという方も少なくないですし、使用期間があることを知っていても、それが何日間なのか知らなかったり、あるいは4日間だということは知っていても、それがいつからいつまでなのかを知らなかったりすると思います。「処方箋の使用期間」を正しくご存知の患者さんは、私たちが思っている以上に少ないのかもしれません。

2000年からの「ハッピーマンデー制度」の影響

「処方箋の使用期間」に日祝日は関係ありません。処方箋の発行日を含めた4日以内が原則ですが、該当の4日間すべて薬局が営業しているとは限りません。2000年にハッピーマンデー制度ができてから、月曜日に祝日が多くなりました。

その結果、金曜日に発行された処方箋の使用期間は、月曜日が祝日の場合、金曜日と土曜日だけになります。土曜日は午前中のみという薬局も多く、処方箋の使用期間は実質1日半という場合が出てくるのです。

急性の疾患でも、慢性の疾患でも、一概に「4日間」ということの是非

患者さんの安全を考慮して定められている処方箋の使用期間ですが、症状に変化が起こる可能性は、疾患によって異なるのではないでしょうか。

発熱や喉の痛み等、炎症が起こっている疾患では、4日間で症状に変化が起こる可能性は高いと思います。ですが、例えば花粉症等で継続して服用されている薬の場合、4日間を過ぎても症状に変化が起こる可能性は低いと思います。

先輩からのひとこと

使用期間が切れた処方箋を持ってこられる場合、たいていは1日や2日過ぎたものが多いと思います。「1日くらいいいじゃないか」と言われる患者さんの気持ちもわからなくはないですが、医師は診察した日から患者さんが薬を使用することを想定しています。
患者さんに有効な処方、安全に薬を使用してもらうために、適正な期間として4日以内と決まっていることをお伝えしましょう。

現在、薬局から処方箋の発行元へ処方箋の使用期間の延長をお願いすることはできませんが、体調変化のない定期薬のdo処方等、使用期間を延長しても問題ないのではと思うケースもあります。そのような場合、残薬における疑義照会の有無のように、薬剤師の判断で使用期間が延長可能かどうか、処方箋の項目にあればなと個人的には思います。

処方箋の使用期間の文字は小さく見えにくいですし、病院や薬局において掲示物でお知らせしていても、口頭で伝えていることは多くないと思います。一人一人に口頭で伝えることは大変かもしれませんが、確実に知ってもらうためには有効かと思います。

また、処方箋と検査値が見開きでA4用紙に印刷されている医療機関も増えてきました。処方箋の使用期間とは別の欄外に、「処方箋の使用期間は4日以内」と大きなフォントの太字で書かれています。開いた瞬間、まず目に入るので、とてもわかりやすくて良いと思います。私たちにとって当たり前のことが、患者さんにとっても当たり前になるように、薬局でも新しい取り組みを考えていきたいですね。

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柳田 希望
やなぎた のぞみ

調剤事務
保険薬局事務歴13年。
現在も保険薬局にて調剤事務として勤務。
薬局で唯一すべての患者さんと接することができる受付の仕事に、やりがいと楽しさを感じ、天職だと思っている。社内の調剤過誤防止対策の管理や新店舗の立ち上げ、後輩の指導にも携わる。休憩時間は趣味の読書を満喫する日々。

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