第2回 「患者のための薬局ビジョン」と2018年度調剤報酬改定

少し旧聞に属するかも知れませんが、2015年10月に厚生労働省から「患者のための薬局ビジョン」が示されました。健康サポート機能や高度薬学管理機能という概念が含まれた資料をご覧になって「そうなればいいけど、なかなか難しいのでは?」と思われていた方もいらっしゃるかも知れません。あの発表から2年余り経ちました。2月7日に発表された2018年度調剤報酬改定は、実は、この「患者のための薬局ビジョン」とその源流となる2013年に発表された「地域包括ケアシステム」にあると考えると、目指す方向性がわかります。また、今回のみならず、次回以後も当面続く診療・介護報酬改定がどのように進み、どう対応すべきかが見えてきます。
今回は、つなげてみると意外に理解しやすい「患者のための薬局ビジョン」と「2018年度調剤報酬改定」について、そのポイントをみなさまとシェアしたいと思います。
「地域包括ケアシステム」の流れをくむ「患者のための薬局ビジョン」
念のため申し上げますが「患者のための薬局ビジョン」は唐突に現れたわけではありません。超高齢社会に求められる新しい社会保障制度の基本的な考え方である「地域包括ケアシステム」を薬局に当てはめるとどうなるかを考え、まとめられたのがこのビジョンです。地域包括ケアシステム」では、「高齢者の尊厳と自立生活の支援」とともに「住み慣れた地域でその人らしく最期まで安心して暮らす」ことを、到達イメージとして持っています。しかし、そのためには、在宅療養支援システムを充実させることが不可欠です。介護を受けられる高齢者のほとんどが経口薬や外用薬による薬物治療を受けている一方で、認知機能や身体機能の低下もあります。服薬コンプライアンスが低下し、薬物治療の質や安全性が揺らいでいる今、現状の薬局のあり方は変えるというのは、当たり…