老化による腎の弱りを補強する
~八味地黄丸~
薬剤師が知っておきたい漢方製剤、前回は「大黄甘草湯」について説明しましたが、シリーズ第8回は「八味地黄丸」を取り上げます。年をとると出てくる夜間頻尿の改善がみられる漢方薬として知られています。どのように作用しているかを解説します。
参考資料
Phil漢方 No.63 2017
図説中医学概念 汪先恩著
漢方294処方 生薬解説 根本幸夫監修
中薬学 神戸中医学院
老化によって弱った腎を補強する「八味地黄丸」
年齢を重ねると出てきてしまう夜間頻尿などの腎虚の症状。そういった症状を改善させる漢方としてみなさんよくご存じの一般用医薬品の「ハルンケア」がありますが、これは「八味地黄丸」をベースに作られたお薬です。今回は多くの人が人知れず困っている加齢に伴う症状を改善する「八味地黄丸」についてお話しいたします。
中医学でいう老化は腎が弱ってくることが大きく関係していると考えられています。これは、腎が生命力を貯蔵する働きや生殖、成長発育、老化をコントロールする役割を担っていることが影響しています。また、腎は水分代謝の健全化にも大きく関与することから、老化とともに腎機能が低下すると頻尿などが起こってきてしまうのです。
ちなみに、腎は脳を支える役割を担っているため、腎が弱ると物忘れなどの脳の機能低下にもつながります。そのため、疲れをためて腎を衰弱させないように気を付けることも大切です。
処方の中心「地黄」が津液と血に栄養を補う
「八味地黄丸」の処方対象患者は疲れやすく、四肢が冷えやすく、尿の量が多かったり少なかったりと安定せず、口が渇く傾向があります。
高齢の人に用いることが多く、体力が低下し、顔色も優れず冷えを伴うような患者さんに対し効果を発揮します。また、おへそから下の部分の力がないような状況の時に使用するのがよいとされています。
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