「加味逍遙散」のリスクとは?副作用と初期症状を知ろう

- 加味逍遙散は婦人科三大処方の一つ
- 加味逍遙散はストレスを和らげ、血流を良くすることで効果を発揮する
- 加味逍遙散と他婦人科漢方薬の違い
- 加味逍遙散の服用に注意すべき人
- 加味逍遙散の注意すべき副作用と初期症状
- 生薬「サンシシ(山梔子)」について
最近では、さまざまな治療の選択肢として漢方薬が注目されており、特に婦人科系の不調や疾患の改善に強みを持っています。加味逍遙散(かみしょうようさん)はその代表的な処方の一つで、不定愁訴(ふていしゅうそ)や更年期障害に幅広く適応されます。本記事では、加味逍遙散の構成や適応に加え、特に注意すべき副作用について詳しく解説していきます。
「加味逍遙散」の構成と効果・効能とは?
「加味逍遙散」は婦人科でよく処方される漢方薬の一つです。基本処方である「逍遥散」に、二味の生薬(サンシシ、ボタンピ)が加わった10種類の生薬から構成されています。
“逍遥(しょうよう)”は、いったりきたりする、ぶらつくという意味で、この漢方薬が、訴えの多い症状やまとまりのない神経症状に広く使われることから、その名がついたといわれています。
【24】ツムラ加味逍遙散エキス顆粒(医療用) ※添付文書より
<効能又は効果>
体質虚弱な婦人で肩がこり、疲れやすく、精神不安などの精神神経症状、ときに便秘の傾向のある次の諸症:
冷え症、虚弱体質、月経不順、月経困難、更年期障害、血の道症
漢方では「肝」が気や血の流れ、情緒を調整するとされ、乱れると憂うつやイライラを招きます。
加味逍遙散は、肝の失調を整えるサイコ、血を補い緊張を和らげるシャクヤク、血を補い巡らせるトウキ、熱を冷ますハッカを中心に、神経を鎮めるサンシシ、血と熱の滞りを除くボタンピ、さらに胃腸を整える生薬(カンゾウ・ソウジュツ・ショウキョウ・ブクリョウ)を配合しています。
精神・身体両面の不調を改善し、婦人の不定愁訴や更年期障害によく用いられる漢方薬ですが、女性に限らず男性にも使用します。
更年期障害に対する作用については動物を使った実験で薬効が裏付けられており、臨床上では、生理周期や更年期に伴う精神神経症状に使われる点に特徴があります。
婦人科三大処方(加味逍遙散・当帰芍薬散・桂枝茯苓丸)の違いを理解する
加味逍遙散は、婦人科系の不調を幅広くカバーする漢方薬ですが、体質に合わないと効果が出にくかったり、かえって症状が悪化したりすることもあります。
特に、加味逍遙散・当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)・桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)の婦人科三大処方はいずれもシャクヤクとブクリョウを生薬に含み、更年期障害や月経不順・月経困難症への適応がありますが、それぞれ適した体質が異なります。適切な服薬指導に繋げるため、これらの違いをしっかり押さえておきましょう。
<加味逍遙散>
向く人:ストレスを感じやすく、イライラ・不安定・不眠がある
特徴的な生薬:サイコ、ハッカ、サンシシ(ストレス発散・熱を冷ます)
その他の適応例:虚弱体質・不眠症
<当帰芍薬散>
向く人:冷え性で疲れやすく、むくみやすい
特徴的な生薬:タクシャ(水分代謝を改善)
その他の適応例:妊娠中のむくみ・不妊症
<桂枝茯苓丸>
向く人:血の巡りが悪く、肩こりやシミができやすい
特徴的な生薬:トウニン(血流改善)
その他の適応例:子宮内膜炎・痔疾患・打撲症
「加味逍遙散」の注意すべき初期症状とは?
加味逍遙散の重大な副作用のうち、代表的なものに腸間膜静脈硬化症(MP)があります。