薬剤師が押さえるべき「小柴胡湯」の適応と服用上の注意点

- 小柴胡湯は少陽病の代表的な処方でサイコ(柴胡)を主薬とする柴胡剤の一つ
- 小柴胡湯は気の流れをよくし、上半身の炎症を抑えることで効果を発揮する
- 小柴胡湯の服用に注意すべき人
- 小柴胡湯の注意すべき副作用と初期症状
- 生薬「オウゴン(黄芩)」について
西洋医学的な治療の対象とならない、あるいは治療しても良くならない場合の選択肢として漢方薬は非常に有用であり、かぜ薬としてもさまざまな方剤が挙げられます。小柴胡湯(しょうさいことう)は「少陽病」の代表的な処方の一つで、慢性の気管支炎・肝炎など炎症性疾患に適応があります。本記事では、小柴胡湯の注意すべき副作用や服用上の注意点について解説していきます。
「小柴胡湯(しょうさいことう)」の構成と効果・効能とは?
サイコ(柴胡)、ハンゲ(半夏)、オウゴン(黄芩)、タイソウ(大棗)、ニンジン(人参)、カンゾウ(甘草)、ショウキョウ(生姜)の7種より構成されておりサイコを主薬としています。
- ニンジン/カンゾウ:脾の働きを高め気の産生を助けて抵抗力を強くする
- タイソウ/ショウキョウ:胃の働きを高めて気の産生を助ける
- サイコ:少陽経の流れをよくする
- オウゴン:発熱した胆や肝、上半身を冷やし炎症を抑える
- ハンゲ/ショウキョウ:上昇する胃の気を抑えて悪心や嘔吐を解消する
- ハンゲ:肺気の上昇を抑えて咳や痰を解消する
かぜを発症してから5日程度経過した(「麻黄湯」や「葛根湯」の適用が過ぎた)、いわゆるこじらせたときに用いられます。食欲がないなどの胃腸症状を伴うことが多く、特に口に苦みを感じる人に適しています。
かぜをこじらせてしまった場合、ウイルスが起こした炎症を抑える働きと、消耗した体の機能を回復させる働きの両方が必要になります。小柴胡湯は、炎症を抑えるとともに、胃腸機能を整え、微熱や吐き気を伴うこじらせたかぜを改善します。
市販薬には以下のように記載があります。
ツムラ漢方小柴胡湯エキス顆粒(第2類医薬品)
体力中等度で、ときに脇腹(腹)からみぞおちあたりにかけて苦しく、食欲不振や口の苦みがあり、舌の白苔がつくものの次の諸症:食欲不振、はきけ、胃炎、胃痛、胃腸虚弱、疲労感、かぜの後期の諸症状
また医療用には「慢性肝炎における肝機能障害の改善」の適応もあります。
「小柴胡湯(しょうさいことう)」はなぜ注意しなくてはいけないのか
小柴胡湯は市販薬としても広く流通し、店頭やインターネットなどでも手軽に購入できるようになりました。
しかし、治療薬や病態によっては禁忌あるいは併用注意な場合があり、該当する購入者が長引くかぜだからといって安易に服用することで重大な副作用を発現させるリスクがあります。
市販用の漢方製剤は第2類のものがほとんどであるため、薬剤師だけではなく登録販売者にも適切に販売するスキルが要求されます。
「小柴胡湯(しょうさいことう)」の注意すべき副作用の初期症状とは?
小柴胡湯の重大な副作用のうち、注意をしなければならないものに「間質性肺炎」があります。