ASTとALTは肝機能評価だけ?検査値を読むポイント
肝機能を評価するASTとALTは、肝炎の急性・慢性の識別や肝臓以外の疾患の手がかりとなります。
薬剤師として副作用や患者の不安を見逃さないため、検査値の読み解き方を押さえましょう。
ASTとALTとは?それぞれの違いと注目ポイント
AST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)とALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)は、肝細胞障害を示す酵素として知られています。それぞれ以下の特徴があります。
AST
肝臓をはじめ、心筋、骨格筋、赤血球などさまざまな細胞に分布している酵素です。
肝臓以外の病変でも上昇するため、特異性は低いと言えます。半減期は約5~20時間
と短いのが特徴です。
ALT
主に肝臓に分布するため、肝細胞特異的な酵素とされています。肝臓障害に特有の指
標として注目されます。
半減期は約40~50時間とASTよりも長いのが特徴です。
症例検討:ASTとALTが高い場合、薬剤が原因か?
ケース:
68歳の女性。心不全と甲状腺機能低下症の既往があり、以下の検査値が示されました
- AST:51U/L
- ALT:72U/L
患者さんは甲状腺機能低下症治療薬「レボチロキシン」を2年以上服用していますが、処方変更はありません。
主治医から「肝機能の数値が少し高いので、血液検査の間隔を短くしましょう」と指示され、不安を感じています。
雑誌で「薬が劇症肝炎を引き起こす可能性がある」と読んだこともあり、レボチロキシンが原因ではないかと相談を受けました。