副作用の鑑別・早期発見に欠かせない「検査値」の読み方・活かし方

更新日: 2024年12月30日 薬剤師ロクガツ

ASTとALTは肝機能評価だけ?検査値を読むポイント

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肝機能を評価するASTとALTは、肝炎の急性・慢性の識別や肝臓以外の疾患の手がかりとなります。
薬剤師として副作用や患者の不安を見逃さないため、検査値の読み解き方を押さえましょう。

ASTとALTとは?それぞれの違いと注目ポイント

AST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)とALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)は、肝細胞障害を示す酵素として知られています。それぞれ以下の特徴があります。

AST

肝臓をはじめ、心筋、骨格筋、赤血球などさまざまな細胞に分布している酵素です。
肝臓以外の病変でも上昇するため、特異性は低いと言えます。半減期は約5~20時間
と短いのが特徴です。

ALT

主に肝臓に分布するため、肝細胞特異的な酵素とされています。肝臓障害に特有の指
標として注目されます。
半減期は約40~50時間とASTよりも長いのが特徴です。

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症例検討:ASTとALTが高い場合、薬剤が原因か?

ケース:
68歳の女性。心不全と甲状腺機能低下症の既往があり、以下の検査値が示されました

  • AST:51U/L
  • ALT:72U/L

患者さんは甲状腺機能低下症治療薬「レボチロキシン」を2年以上服用していますが、処方変更はありません。

主治医から「肝機能の数値が少し高いので、血液検査の間隔を短くしましょう」と指示され、不安を感じています。

雑誌で「薬が劇症肝炎を引き起こす可能性がある」と読んだこともあり、レボチロキシンが原因ではないかと相談を受けました。

ASTとALTが高い場合の処方監査と考え方

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薬剤師ロクガツ
やくざいしろくがつ

誤解や偏見を生みやすい複雑な生理学や薬理学を、イラストを使って分かりやすく発信しています。多くの方が「不要な選択」を避けられるようにサポートするため、現在は中医学も学んでおり、西洋医学と中医学の両方の視点から、根本的な解決策を総合的にお伝えできるよう努めています。

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