キクオの薬局見聞録~薬剤師のリアルを届けます!!~

更新日: 2020年10月23日 キクオ

調剤薬局で働く 現役薬剤師のキクオ が、日々薬局で繰り広げられる薬剤師のリアルな日常をお届けします。

薬剤師業界の教育体制について!病院と調剤薬局の違いを比較!

薬剤師業界の教育体制について!病院と調剤薬局の違いを比較!の画像1

こんにちは!薬剤師ブロガーのキクオです。
誰かに何かを教えるって難しいですよね。今回は薬剤師の教育体制についてです。新人薬剤師や薬学生は、病院と薬局で教える内容の違いが気になる方もいるのではないでしょうか。
それぞれの違いをキクオの経験から語ります!それでは、いきましょう!

SNSで薬剤師業界の教育制度について質問をしてみた!

先日、キクオはTwitterでこんな質問をしてみました。↓

SNSで薬剤師業界の教育制度について質問をしてみた!の画像1

有効回答105票のうち教育係や教育制度があると回答した方は約44%。ないと回答した方は約56%という結果になりました。もちろんひとつの参考情報として見て下さい。意外と教育制度がない職場もあるようですね。
また、以下のようなコメントもいただきました。ありがとうございます。

「入社して3年間は面倒見係の先輩が1人いました」
―所属店舗とは別の店舗の先輩が、定期面談をしてくれるようです。所属店舗では言いだしにくいことも話せそうですね。

「教育担当はいなかったけど一緒にいろいろと体験をしてくれた先輩がいた」
―おもに、「やってはいけないこと」を中心に、実際の薬剤を使って体験しながら学ばせてくれたようです。

 ほかにキクオが注目したコメントは「患者さんへの電話対応や疑義照会、投薬の模擬練習」がある職場です。模擬練習をすると教える薬剤師も、改めて日常業務を振り返ることができ、双方にとって、充実した練習ができそうですね!
(@kikuo1005,2020/5/19,より)

「会社に入ったら自分から仕事を覚えるのが当たり前だろ!仕事は盗むもの!」
「なんのために実務実習を半年間やっていたの?こっちも忙しいのだから!真面目にやってよ!」
過去にこーんな指導を受けてきたキクオだからこそ、教育指導に関しては優しくなれるのです。キクオが思うに職場の先輩は仕事だけでなく、メンタル面でも支えになっていると感じます。見放すのでなくて、一緒になって考えてくれる先輩薬剤師がいるだけで、頑張れるなぁと、しみじみ思いますね。

病院薬剤師にある「家族制度」とは?

私が勤めていた病院には「家族制度」という伝統的な教育制度が存在していました。家族制度とは、新人薬剤師と入職おおよそ5年目の先輩がペアになり、先輩薬剤師は「親」のように、薬学的指導だけでなく、職場での振る舞い方やマナーまで包括的に面倒を見るといった制度になります。
キクオが新人薬剤師のときには、先輩から病院内の案内をしてもらい「あの看護長さんには注意してねー」という注意喚起や、夜勤に挑む心構え、仕事の姿勢などさまざまなことを教えてもらったのでした。 
自分が2年目、3年目になった時には「後輩(子供)がほしい~」なんて思っていたこともありました。誰でもちょっとは先輩ヅラしてみたいですもんね(笑)。
月日が流れ、そんなキクオにも後輩ができ、教育をする親の立場になりました。その病院では明確に何を教えるという指針がなかったので、比較的自由に教育や指導を実施していました。
例えば、業務後「今日やった混注業務の手技を復習しよー!」と先輩が声を掛けるのも良いです。主に、「今日はどんな人と一緒に仕事をした?どうだった?」と周りとのかかわりや業務内容を本人の言葉で話してもらい、その日の振り返りを行うことが多かったです。そうすると、例えば、注射の払い出し時間帯におかしい点を発見するといった細かいことに気付けます。新人薬剤師さんからは、薬を受け取りに来る事務員さんや看護師さんへの対応方法など、具体的な質問をされました。

ほかにも

  • 頻繁に調剤する薬の場所と注意点
  • 薬のことで困ったときに見る資料の探し方
  • 電話対応、疑義照会の仕方
  • 各種機械の操作説明
  • 先輩や上司に対するマナー
  • 一緒に働くキーパーソン

こういった事柄を教えることが多かったです。社会人としてのマナーを踏まえた指導を心掛けていました。

病院薬剤師の「家族制度」には以下のメリットが挙げられます。

  • 決まった先輩に質問をすることでより親密な関係になれる
  • 教える側も病院のシステムや業務に関する復習ができる

自身が新人薬剤師の頃は、年末年始を病院で過ごすシフトになっていたので、対応をしたことがない薬の扱いは、親である先輩に聞きやすく安心できました。

ほかにも、病院では新人薬剤師向けに疾患とその薬物治療の勉強会を開催することもありました。講師は病棟担当の薬剤師やその病院の勤務医を招いて行っていました。

調剤薬局の教育はマニュアルで行われる

次に、私が現在勤めている薬局の教育制度を紹介します。すべての薬局に当てはまる訳ではありませんのでご注意ください。
病院薬剤師のときは、新人薬剤師が「困ったことが発生しそうになったら」それぞれ担当の先輩薬剤師に質問し、先輩が各々回答していましたが、現在の薬局では原則、マニュアルに沿って教えるスタイルになっています。
調剤の指導は「よく処方される薬のリスト」を先輩薬剤師が作成して教育を開始します。後発品があるものに関しては、わかりやすいように目印を付けたり、実際の過去処方せんを新人薬剤師に見せたりしながら、薬剤リストの説明をします。過去に調剤ミスをした事例も参考に紹介しながら、調剤に関する指導も行います。

キクオはマニュアルに書かれていない工夫を加えて、教えることもあります。
例えば、薬学生実習では、薬剤師国家試験対策で勉強した内容をヒアリングしてから、調剤薬局で使える教材を探します。薬の保管方法や温度、劇薬毒薬などですね。その中で薬学生が興味を持つ内容を見つけるようにしています。
調剤薬局では、教える側がマニュアルに沿えば誰でも平等に指導ができる点がメリットです。しかしながら、教育者のやりがいは、マニュアルに記載されていることだけを指導することではないと思います。<
理解するスピード、興味や関心を持つ内容など、人によってさまざまです。教わる側も「わかった」「そうなんだ」と気付き、納得しないと、薬剤師としても、人としても、成長を実感することが難しいのでないでしょうか。

まとめ

キクオの勤務した病院では、指導者が各々のやり方で、薬学と社会人としてのマナーを教えていました。現勤務先の調剤薬局では、その会社のルールや規約を、原則マニュアルに沿って教えています。
キクオは「薬剤師こそ教育者であれ」と思っています。なぜなら、誰かに教えることは自分も勉強して知識をアップデートしなければいけません。薬剤師って一生勉強する職業です。
規模の大小はありますが、薬学や人間性を伝える側になれるチャンスが薬剤師という職業には多く存在するとキクオは思っています!みなさんが、この記事を見て、薬剤師の教育に目覚めてくれたらうれしく思います。それでは、また!

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キクオ
現役薬剤師ブロガー

薬学部をストレートで卒業後、新卒で入社した職場で社会の洗礼を受ける。周りから「人が変わった」と言われるも、心配いらないと、謎の強がりを見せる。その後、頭皮を気にする。
働き方と未来を考えて転職を決意。病院や薬局、派遣薬剤師を経験。今後は「個人の薬剤師がどう社会に貢献出来るか」に興味あり。
「どーせ仕事をするなら楽しく」をモットーに現職の調剤薬局で楽しく働いています。「薬剤師は日本中に浪漫を届けたい」をテーマに薬剤師・薬学生向けのメディアを運営しています!

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