外国人の服薬指導ってどうしてる?
外国人はしっかりと説明を聞いてくれる!?
キクオが働く薬局では、外国人は通訳ができる上司と一緒に来院したり、家族と一緒に薬局に入るケースが多いと感じています。
ウチの薬局の場合、「日本語がわかる?わからない?」と意思疎通をしてから服薬指導を行います。また、薬剤師の説明を親身になって聞いてくれる外国人が多い印象です。そして、今までに出会った外国人は、こちらの説明を途中でさえぎったり、他の患者さんに説明をしている時に横入りしてくることはまったくなかったですよ。
薬局あるあるかもしれませんが、外国人は基本的に1人で薬局を訪れることが少ないです。みんなのところはどう?
東南アジアでは塗り薬は珍しい?
冒頭にもあったように、私が働く薬局周辺にはが多く住んでいます。具体的にはタイ、インドネシアなどの東南アジア諸国で生まれた人々です。そういった場合、仕事仲間や年が近いお友達と一緒になって来局するケースが多いですね。
個人的な経験では、東南アジア人は自分で「用法用量を書く人」が多いと感じます。例えば、薬剤師の説明を解釈して、自分の母国語で薬袋に記載。ときに「ペン貸してくれない?」と言ってくる場合もありましたね。
また、私の職場では英語表記の薬情(薬剤情報提供文書)は渡していません。なぜなら、日本の上司と一緒に来ることがあるからです。薬剤師が付き添いの日本の上司に伝えられるので、こちらも安心をして日本語で服薬指導をしています(笑)。
他にも面白い発見があります。それが、塗り薬に関してです。
東南アジア人は、薬を身体に塗るのって抵抗があるのでしょうか。
- 塗り方は?
- 1日2回っていつ塗るの?
と何度も確認してきます。
まるで、子どものために受診したママやおじいちゃん、おばあちゃんが気にするように、若い働き盛りの東南アジア人は塗り薬を気にする傾向にありましたよ!塗り薬って珍しいのかな?
中国人にも日本語とつたない英語で服薬指導
「どうやってこの薬局知ったの?」。住んでるエリアが薬局と近くないのに、お友達と一緒にやってくるのが、中国人です。もちろん1人で受診をして薬をもらいに来るケースもあります。
中国人も薬の説明を聞いてくれます。ただ、一度、「家に残薬がある。この薬はいらない。先生に言ってくれないか?」と言われたことがあります。もちろん残薬の調節は薬剤師の大切なお仕事ですよね。(残薬の量がわからないから、薬を一緒に持ってきておくれよ~)とキクオは心の中でツッコミました。
まぁでもね、それがクレームに繋がったのは一度もありません。
私は金銭を気にする患者さんも経験しているので、ジェネリックを提案する時にお金の差額はこれくらいですよーと念入りに伝えています。
中国人の服薬指導に困ったことはありません。正直、こちらはバリバリの日本語で話します(笑)。たまに適宜英語の単語を使って説明することも!
例えば、「アフターブレイクファスト!ランチ、ディナー!」なんて(笑)。向こうは、わかったわかったという顔をすることもありますが、私は日本語とつたない英語で攻めた服薬指導にトライしています!
服薬指導でスマホの翻訳アプリを使う!?
一番難しいなと感じるのがヨーロッパ系の患者さん。なぜならカタコトの英語で説明をしても「???」なんて顔をされますし、日本語のヒアリングがあまり上手でないケースがあるからです。
私は、真っ白な紙を用意してイラストで説明することもありましたね。そのとき、たまたま他の患者さんもいませんでしたし、お互いに絵を書き合っているので、まるでイラストを勝負しているかのようでした(笑)。
あるとき対応をしたスペイン人の患者さんは実に印象的でした。服薬指導の際に彼が翻訳アプリを差し出してくれたのです。向こうはスペイン語を、私は日本語をスマホに喋ります。自動変換でそれぞれの言語を翻訳して、お互いの母国語で聞き取れるのですね。きっとその人はよく使っているのでしょう、私よりも操作に慣れていた様子。
「抗生物質ですか?」「何か飲み合わせで注意することは?」とスマホから聞こえたのでした。
ちょうどニューキノロン系抗生剤が出ていたので、私は「カルシウム!牛乳!」とスマホに説明をします。そのとき、キクオはスマホ越しに「ぎゅう↑にゅう~↓」となぜか日本語を英語っぽく言ってしまったのでした。とっても恥ずかしい(笑)。横で見ていた事務さんに笑われました。
最終奥義!ジェスチャーを交えて!
「アンチバイオ、OK?」「イエース、イエース。」「サンキュー!OK!」。
お腹が痛いかを聞きたい時にはお腹に手を添えて「イテテテテ」。
頭が痛いかを聞きたい時には頭に手を添えて「オーノー!」。
(※ただし、国によってはジェスチャーの意味が違う場合があります。)
まぁ、身体を使えば、どんな人にでも意思疎通はできると信じています(笑)。これは学校でも勉強しない内容です。どうせやるなら大げさにやりましょうよ。
まぁ、身体を使えば、どんな人にでも意思疎通はできると信じています(笑)。これは学校でも勉強しない内容です。どうせやるなら大げさにやりましょうよ。
言語は大切ですが、時にその人の必死さや情熱はそれを凌駕すると思っています。
伝えるだけでなく「あなたをしっかり守ります。薬のことなら任せてね。僕らは薬剤師であなたの飲んでいる薬のことを説明して安全を守りたいんだ」とアピールしてみましょう。そうすると言語なんて小さな問題だと感じられるはずです。錠剤の大きさや液体を飲むジェスチャーをぜひしてみてください。
みなさんの薬局には外国人対応の服薬指導マニュアルがあるのでしょうか?
服薬指導はコミュニケーションの延長だと思っていますし、「マニュアル通りにしないと」と思えば思うほど失敗するキクオなのです。外国人だからって説明を省略したり、躊躇するのは違います。体験をして思ったのは、海外の人はあまり辛そうな顔をしたり、不安な雰囲気を薬局で出していないかもしれないと思います。これはあくまでも個人の経験なので一概にはいえません。英語、中国語、スペイン語など言語の壁が立ちはだかりますが、きちんと目を見て挨拶をしたり、話す前に笑顔を大切にするのがイイなと思いましたよ。「第一印象でこの人に話したい!」という雰囲気作りをトライしてみて下さいね。今回はこの辺で!それでは、また!