管理薬剤師は割に合わない?実際に体験したキクオの悩みとは?
いつから管理薬剤師は存在する?
1960年、薬事法が施行され、医薬品の製造業者について「管理薬剤師」の配置義務が課されました。この管理薬剤師は現在のものと違い、製造業なので製造管理、品質管理、薬学的な視点で医薬品を管理する業務でした。
しかし現代における管理薬剤師は薬局やドラッグストアなど医療現場の責任者というイメージがあります。また、薬局店舗のリーダーの役割が強く、医薬品の管理だけでなく人的マネジメントにも関わっている印象があります。私も学生時代はそう思っていました。
2014年に管理薬剤師の規定が変更された
みなさんはこのニュースをご存じですか?
『管理薬剤師に実務経験5年-法令遵守の手引き作成』
実は2014年に厚生省が通知をした「薬局の求められる機能とあるべき姿」に管理薬剤師は薬局業務の5年以上の経験や同様の研修が必要との規定が示されています。なお必要な能力および経験を有する薬剤師を確保できないのであれば、薬局を新規に開設するべきではないとされています。
具体的な「必要な能力及び経験」は以下2点になります。
- 薬剤師認定制度認証機構に基づく認定薬剤師
- 薬局における実務経験が少なくとも5年以上
また、ややこしいのが薬局長、店長、支店長などの役職の名前が薬局で使われているケースです。管理薬剤師と名称を一致させないためにも、これらの名称を付けるべきではないとしています。
管理薬剤師になりたがらない薬剤師は多い!?
管理という言葉は薬剤師にとってプレッシャーになることもあります。プレイヤー気質の薬剤師はマネジメントが苦手な方もいるでしょう。薬剤師さんとお話をすると、環境が変わることに対してストレスがかかることが多いと感じます。その1つが管理薬剤師になることで、クレーム対応の責任者やシフトの管理、人数が多い店舗であれば人間関係のケアまでみなければなりません。なかには人材に困り、2、3年目の若手薬剤師が店舗を任せられるなんてことも…。
そう考えると、積極的に管理薬剤師になりたがらない人がいるのも理解できます。
「管理薬剤師を見ていて思うのは仕事が増えること」
「管理になっても給料は少ししか変わらない」
このように、管理薬剤師とは仕事量に対して割に合わないと感じてしまうポジションになりつつあるのかなと思います。
キクオが管理薬剤師になって悩んだこと
私の場合は調剤薬局の事務との人間関係に悩みました。上手く連携が取れない時期があり、仕事を依頼するも露骨に嫌な顔をされて話が進まないなんてこともありましたね。そのときは「自分が悪いんだ、自分がもっと優しく接しないとダメかも」と自責の念を抱きました。マネジメントは難しいものです…。逆に、事務同士で喧嘩が勃発し、それを抑えたり話を一人ずつ聞くこともありました。時に涙して「あの事務さんとは一緒に働きたくない!」ということもありました…。職場の人間関係は、思い通りになることの方がレアですよね。そうなる前に解決策を見つけるべきでした。
ビジョンを共有し、スタッフと一緒にやっていこう
もちろんすべての薬剤師が管理薬剤師に対してネガティブなわけではありません。私は管理薬剤師になってみて、患者さんが事務と会話をしたり、交流を持つためにはどうしたらいいのかを考えました。
また、皮膚科の門前薬局であったので、皮膚科を受診した患者さんはどんな悩みがあるのだろうと管理薬剤師として考えて行動をしてみました。考えるだけではいけません。ビジョンの共有をして、目指すゴールと小さな目標の設定、一緒にやっていこうという姿勢を常に見せてきました。
相手を動かすのではなくて、自分から動くことです。具体的にはPOPは一緒になってアイデアを出しています。最近ではアイデア出しにオズボーンのチェックリストを用いてやりがいを少しずつ見つけています。with(一緒に)を目指し、ビジョンをスタッフと話していきましょう!管理薬剤師を経験することは「成長」という言葉がピッタリだと個人的には思いますね!
管理薬剤師は自己成長を感じることができる役職です。経験に勝るものはないと思っています。たくさんの失敗は次に繋がりますし、痛みを知っている方は相手に優しくなれるはず!今後、管理薬剤師になりたがらない方もいるかもしれませんが、この記事を読んで少しでもチャレンジをしてくれる方が増えたらうれしいです。すべての薬剤師に活力を!それでは、また!
参考URL
管理薬剤師等の責務の内容について(厚生労働省)
薬剤師の将来ビジョン(日本薬剤師会)