これからの病院薬剤師と卒後研修制度の義務化について
実務実習で経験する病院薬剤師の人気はいかに?
現在キクオは薬剤師の転職や働き方支援をする会社を経営しています。その業務で薬学生の話を聞く限り、病院薬剤師は一定の人気があるといえます。特に実務実習の影響が学生の印象に大きく関与していることもわかりました。
例えば病院内がハードモードの場合です。実習担当の病院薬剤師は、病棟兼務であったり、院内の仕事をこなしながら学生を指導していくのです。思い通りにいかないと、ついつい声を荒げてしまう、予習をしてこない学生に対して雷を落とてしまうなどなどがあります…。
この場合、学生にとっては初めての「職場」が病院なんですよね。
学生を神のように扱え!という訳ではないのですが、学生がなるべく主体的に実習できるような環境整備は大切だと私は考えます。もちろん、学生側にも問題があるケースもあり、すべての病院薬剤師が悪いとはいいません。
逆にしっかりと時間を確保して「病院実習がすごく充実していた!」という薬学生もいます。その子に聞いてみると「調剤薬局希望だったけど、その病院で働きたいと思った」と答えていて、一学生のキャリアを大きく決定付けるポイントになるのです。
また、学生さんは口コミや実習先の情報を学内で会話しますので、悪い噂や病院の良し悪しは意外と広まります。現役病院薬剤師は配慮した方がよいでしょう。
病院薬剤師の給料はもっと上がってもいい!?
次に病院薬剤師のお給料に関してです。これについては医療職給料表(二) を見てみましょう!
医療職給料表(二)とは国家公務員のうち、病院や療養所、診療所に勤務する薬剤師や栄養士、その他の職員に適用される給料表です。薬剤師はその中の「医療職2級15俸」になり、表を見ると初任給は211,200円となります。等級数が上がればお給料も増えます。どのくらいになるのか1つの指標としてぜひ参考にしてください。
6年間の学生生活をして実質の給料が文系大学の4年生と同じくらいと感じる方もいるかもしれませんよね。お給料がすべてではないのですが、初任給だけで比べてしまうと調剤薬局やドラッグストアより、病院薬剤師は低く扱われていると思うかもしれません。
病院は黒字であるところが少ないと耳にすることがあります。コロナ禍の現在、必死で働いている病院薬剤師も多いので、労働に見合った給料はもらうべきだと個人的には感じています。
あなたは『卒後研修制度義務化』を知っている?
2020年のある日、こんなニュースが入ってきました…。
薬剤師の卒後臨床研修が議論の焦点に急浮上している。きっかけは、厚生労働省の「薬剤師の養成および資質向上等に関する検討会」で、委員からは法制化を求める意見が相次いでいる。同検討会は、薬剤師の教育から薬科大学のあり方まで幅広く議論するものだが、わずか数回で卒後臨床研修の義務化に向けた流れが作られつつある。薬事日報「卒後臨床研修の議論は慎重に」より引用
今までは薬学部を卒業したら自由に就職先を決めてOKでした。しかし、今後は大学を卒業しても病院への臨床研修が義務化になる可能性があります。みなさんはどう思いますか?
一部の大学病院はレジデント制度を導入しています。また、臨床だけでなく研究にも力を入れている病院もありますね。
研修先からお金が出るかどうかもポイントだと思うのです。予算を参加者が病院に渡して研修を受けるようなことにはならないでしょう…。
まだまだこの卒後研修義務化は確定ではないにしろ、薬学生のこれからのキャリアにも大きな影響を与えるかもしれません。この話題は今後とも大変興味深くチェックしたいと思います!
卒後研修制度義務化に対しての薬剤師、薬学生からの声
調剤薬局やドラッグストア志望の薬学生からすると、病院の『卒後研修制度義務化』はどう映るのでしょうか? 6年間も大学を通って仮に2年間の病院研修をするとストレートで進んでも若くて26歳。奨学金の返済も気になります。果たして現場の意見は反映されているのでしょうか。SNSではいろんな意見を垣間見ることができました。
ただでさえ薬学部6年間は長いのに、その後研修の義務化に対してネガティブな意見が多いように感じます。薬剤師・キクオのInstagramでも卒後研修の投稿をすると、以下のようにコメントが多く寄せられたのでした。見てみましょう。
これからの病院薬剤師には専門分野が必要!?
病院薬剤師のこれからをキクオが予測してみます。大きくてネームバリューがある病院は毎年人員の確保がなされるので、安定しているかもしれません。しかし、地方にある中小規模の病院は難しいですね。薬剤師を育てる知識や経験があっても「教える時間」が足りない中小病院が多いでしょう。
『卒後研修制度の義務化』を提案した厚労省の検討委員は薬学部がない県や人口が減少気味のエリアなど加味しているのでしょうか。
これから生き残る薬剤師像も考えてみます。現在はドラッグストアへの就職が人気であると感じます。どんな仕事も大変ですし、それを否定する訳ではありません。
私の勝手な意見ではありますが、薬剤師の中でも希少性を意識してほしいと思います。大きなマスの中で活躍できる人は本当に実力があります。病院薬剤師や専門分野の中で活躍する光が見えると仕事もやりがいを見つけられると感じます。
人と違うことを考えてトライしてみる。
少しでもよいので、薬剤師としての得意分野を見つけてはどうでしょう。
そんな病院薬剤師も悪くない、いや、私はカッコイイとすら思います。
病院薬剤師は一定の需要がありながら、給料が他の職種と比べると低い点がデメリット。さらに、卒後研修先が病院で必須になるなら、学生や病院薬剤師からは不安の声も出るかもしれません。新しいことをするには批判はつきものです。「あらためて病院薬剤師はカッコイイかも。やりがいあるじゃん」という発信を強化するべきなのではないでしょうか?普遍的な薬剤師になるのではなく、少しくらい尖ってもいい。自分の強みは?に対して即答できる病院薬剤師を目指すと将来楽しい薬剤師ライフを過ごせると思います!体だけでなく心も健康でいたい。今回はこの辺で!それでは、また!