コロナ禍の派遣薬剤師の時給は低下中!?派遣切りの体験談を聞いてみた!
コロナ禍で契約更新の終わりを告げられる薬剤師が増加
いつからだろう「薬剤師っていつでもどこでも働けるよね」って言われなくなったのは…。そんな風になってからも「大丈夫、大丈夫」とわたしは思っていました。
でもね、愛知県で人材紹介の仕事をするようになって気が付きました。地元の薬局や全国の薬剤師のお友達に話を聞く限り、「人口が多い都市部では、すでに薬剤師が飽和状態になっている」と…。
一例を挙げましょう。ある薬剤師は派遣として大手企業にずっと勤めていました。しかし、コロナの影響で処方せん枚数が減少し「派遣薬剤師さんがいなくても現場は回る」となったのです。現場の人数が足りているなら至極当然な流れですよね。派遣はなかなか立場が守られません。
「いつもお世話になっていたけど、次回からはごめんね」
派遣薬剤師に対するそんな声掛けがポツポツと発生し、派遣の仲間内の連絡網にも少しずつ派遣切りの話題が広がっていったのです。
また、あるパート薬剤師さんは「勤務時間数を減らしてくれないか?」と会社から言われたそうです。もちろん勤務時間をゼロにするわけではなかったのですが、「コロナが落ち着いたらまた元通りになるよ」という言葉が会社からありました。
「毎月の支出のバランスが崩れてしまう…」
彼女は転職をしたいと考えましたが、受け入れる他の薬局はありませんでした。
キクオの友達の薬剤師も更新で「痛烈な宣告」を受ける
これは私のお友達の話です。彼は薄々とこうなる状況を感じていました。コロナ禍で契約更新の際「時給を下げ、時間数も減らす」という痛烈な宣告を受けたのです。
彼は、全国どこでもいけるタイプの薬剤師。彼の強みは多く時間数が入れることでした。また、たくさんの店舗で実践経験もあり、改善点や導線などのチェックポイントなど彼なりの「気付き」もありました。
今までは勤務先からの評価もよく、契約更新では時給が上がるほど、会社を満足させる働き方をしてきました。ところが今回は、時給が3000円代へダウン、時間数も1日8時間の週5勤務から1日8時間の週3勤務へと減る意向であることを知らされたのです。
「コスパよく働く」
それが派遣薬剤師の良いところで、彼にとってもそうでした。
しかしながらもう「薬剤師がコスパよく働ける時代」は終焉を迎えているかもしれません。今まで高時給で働いてきた彼は残酷な現実を受け入れつつあります。
その後、彼はその職場を去りました。
40代の派遣薬剤師は雇用されなくなる!?
実際に職場を去った彼に話を聞いてみました。「気持ち的にはどう?」と。
彼は「いや、時給が下がって他県に行くのであれば働かない」と答えました。
焦っていない様子でしたし、そこに確固たる意思があるのがわかりました。そもそも派遣で働く人はそうなることを前提に準備をしているのだと思いました。
実際にこの記事を書いているときにも、派遣薬剤師の求人を探せば、求人自体があるのは安心材料です。でも、自分だったらどういう選択をするのか悩みますね。
また、知り合いの薬局オーナーから聞いた話です。
「まだ30代はいいよ。でも40代になると厳しいね」
これも痛いほどわかります。現実問題40代の薬剤師を雇用するメリットはあるのか?実際に若い薬剤師を募集する薬局も多いのです。男性女性関わらず、派遣の方はキャリアを確保するべきだと思います。
ずっと人材の供給に困っていた薬剤師の世界ですが、コロナ禍が引き金となり、大きな変化を迎えています。
派遣薬剤師求人の時給相場にも変化あり
派遣薬剤師の時給の相場はどう変化しているのでしょう。例えば東京周辺、関東地方では時給2200円~2700円のレンジでは求人件数が少なくなっています。都心ではなく、地方で高時給の4000円を超える求人も、少なくなっている印象で、3000円以下の求人も多くなってきています。
私の地元愛知県ではパート薬剤師の時給の相場が2300円ほどです。派遣薬剤師の求人は本当に減少しており、時給も2800円前後となっています。
今から約10年前の求人では、時給5000円の地方求人もあったり、時給4000円の求人も繁忙期にはありました。もちろん探せば4000円代の求人は見つかるのですが、非常に少なくなっているといえるでしょう。今後、相場が以前の高給に戻るのかは誰にもわかりませんが、時給の低下をどこかで受け入れる必要があります。
今後、派遣薬剤師はどうなる?
今後の派遣薬剤師について占ってみます。あくまでもキクオの個人的な予想です。「ニーズはまだあるが、時給3000円で頭打ちになる」と私は思います。もちろん都心の求人はほぼゼロに近くなるでしょう。急募の求人でたまに4000円クラスの求人が出る程度になると感じています。
今までは好きなところに住んで比較的自由な時間に働けた派遣薬剤師ですが、今後は
- 冬場の繁忙期
- 地方と僻地のみ
の働き方になる可能性はあると思います。
これから先、約6万件の薬局を半分にするという流れに本当になったとき、果たして派遣薬剤師がパート、正社員としての雇用を生み出すのでしょうか。
キクオは仕事柄、若手薬剤師から「派遣薬剤師にチャレンジしてみたいけど、実際どうなのですか?」という質問をいただきます。答えは「どんなチャレンジをしたい?」と返しています。派遣薬剤師の将来を考えたとき、患者さんに最適な医療を提供できているか、薬剤師として公衆衛生に寄与できているかが価値の1つです。派遣でどんなチャレンジをするのかは自分自身です。キクオが知る派遣薬剤師の現状ならお伝えすることができます。それを感じてどう動くのかはあなたです。
これからも薬局業界の動き方をチェックしていきます!今回はこの辺で!それでは、また!
参考資料:
2021年1-8月の「調剤薬局」の倒産は22件(前年同期比83.3%増)に達し、2004年の調査開始以来、年間最多だった2017年(17件)を大幅に上回った。22件のうち、コロナ関連倒産は4件(構成比18.1%)で、今後さらにコロナ関連倒産が増加しそうだ。