キクオの薬局見聞録~薬剤師のリアルを届けます!!~

更新日: 2019年7月10日 キクオ

調剤薬局で働く 現役薬剤師のキクオ が、日々薬局で繰り広げられる薬剤師のリアルな日常をお届けします。

体験者が語る「一人薬剤師」のメリット・デメリット

休めないけどやってよかった!体験者が語る一人薬剤師あるあるの画像

今回は、薬局店舗を薬剤師1人で管理する「一人薬剤師」について語っていきます。調剤薬局に勤めて驚いた出来事が、全国の薬局に薬剤師が1名しかいない店舗もあるということです。
私も一人薬剤師の経験者であり、ためになったことや苦労したこともありました!
そのメリット、デメリットを自身の体験談ベースで紹介していきます。
それではいってみましょう!

「一人薬剤師」とはどういうこと?

 「一人薬剤師」というのは、薬局内に薬剤師が1人の状態で現場をまわしていることを意味します。薬剤師同士の会話の中でよく使われませんか?

「え、お前の薬局一人薬剤師が多いの?」
「一人薬剤師の店舗に異動か~」
と、職場の忙しさを推測するために、薬剤師同士の会話の中で出てくる用語でもあります(あるある)。

実際に一人薬剤師の用語を広辞苑から調べてみました(暇かよ)。がしかし、「一人薬剤師」という単語は記載されていませんでした。
一人薬剤師は薬局業界が独自に作り出した用語と言えるかもしれませんね。

 一人薬剤師の種類は以下の2パターンがあります。

  • 医療事務さんもいない状態で、個人で薬局を切り盛りしている「真の一人薬剤師」のパターン
  • 薬局内には薬剤師が1人だけになり、他のスタッフは在籍している「なんちゃって一人薬剤師」のパターン

 薬局を1人だけで現場をまわすワンオペか、薬剤師が1人で他のスタッフがいるのかどうかで大変さも異なります。

一人薬剤師のメリットは?

 薬局の業務全てを1人でこなせる点が一人薬剤師のメリットとなります。処方せん受付から調剤、監査、会計はもちろんの事、店内掃除、薬の相談や書類の提出まですべてを1人で行います。
薬局のマネジメントは荒療治になりますが、店舗をまわすことができるようになるには適した働き方と言えます。

「優先順位を自分の頭で考える」ことはどんな仕事にも共通する内容になりますね!

 また、一人薬剤師で働く環境では、人間関係の接点が少なくなります。自分のペースで仕事をしたい薬剤師にとっては相性が良い働き方と呼べるでしょう!複数の薬剤師が在籍する薬局では、人的なマネジメントは必須です。人間関係がわずらわしいと感じる薬剤師にとっては肌に合う働き方ですね!

一人薬剤師のデメリットは?

 デメリットの1つ目は、有給休暇を取得しにくいことです。実際に私は有給休暇が使えない時期もありました。

 特にマンパワーギリギリの薬局では、高い確率で有給休暇の取得が難しいので注意して下さい!ちなみに友人の薬剤師に一人薬剤師であると伝えると「ちゃんと休めてる?」と心配してもらえることが多いです。ありがとうございます。

 2つ目は人との会話をするキッカケが減少して、寂しくなってしまうことです。悩みがあってもすぐに吐き出すことができませんし、すべての問題が自分の責任のように感じてしまうことがあるでしょう。1人を愛する薬剤師であれば問題はありませんが、チームで1つの目標に向かって医療を提供したい薬剤師にとっては楽しく働けないかもしれません。

 そうなると…患者さんとたくさん話したい欲が出てきますね!

 ちなみに私は一人薬剤師時代の時に寂しすぎてテレビに向かって独り言をつぶやいていました…(笑)。急に患者さんが来院されると恥ずかしかった思い出がよみがえります。

一人薬剤師の経験者が体験談を語る!

 私にとって一人薬剤師はやって良かったと思える貴重な経験でした。

 いざ一人薬剤師を経験すると基本的にすべて自分の考えで仕事ができる反面、絶対に薬を間違えてはいけないプレッシャーもありました。特に安全面に関しては人一倍、気を使ったと思っています。

 あるとき「服薬指導の時間がもっと欲しいな」と思うことがありました。
と、いうのも優先順位を考えた結果、どうしても患者さんファーストで話をしっかり聞けていない場合もあったからです。
「患者さんとしっかりと時間を作るためにはどうすれば良いか?」
という目標を設定して、薬局内の動線を変更し、事務仕事における入力方法の無駄を省き、スマートに調剤出来るシステムを考案し、薬局内をどれだけ効率化出来るのかを考えました。

 有給休暇はあまり使用できない環境でしたが、この「自分の頭で考える薬局作り」ができたことは非常に大きな経験だったと感じています。

 一人薬剤師を苦痛に感じる方もいるかもしれませんが、私の性には合っていましたし、イキイキと働くことができた職場でした。

ここまで読んでいただきまして、ありがとうございます!一人薬剤師に関してのまとめです。

  • 医療事務さんがいる、いないで忙しさが異なる
  • メリットは薬局内のことをなんでもできる
  • デメリットは環境によっては休みにくい

一人薬剤師で大切なことは、薬剤師として安全に医療を提供することだと思っています。忙しい環境でも、安全で正確な医療を提供できるよう、初心を忘れずにいたいと思いました。少しでも一人薬剤師を経験する方の力になれば幸いです。それでは、また!

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キクオ
現役薬剤師ブロガー

薬学部をストレートで卒業後、新卒で入社した職場で社会の洗礼を受ける。周りから「人が変わった」と言われるも、心配いらないと、謎の強がりを見せる。その後、頭皮を気にする。
働き方と未来を考えて転職を決意。病院や薬局、派遣薬剤師を経験。今後は「個人の薬剤師がどう社会に貢献出来るか」に興味あり。
「どーせ仕事をするなら楽しく」をモットーに現職の調剤薬局で楽しく働いています。「薬剤師は日本中に浪漫を届けたい」をテーマに薬剤師・薬学生向けのメディアを運営しています!

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