てんかんに禁忌の抗ヒスタミン薬は?ケトチフェン等5剤の機序と疑義照会
てんかん患者に薬剤を処方・調剤する際には、「てんかんに禁忌」とされている薬剤を把握しておくことが重要です。しかし、禁忌薬を単に暗記するだけでは、処方変更や疑義照会には十分に対応できません。
てんかんに対して禁忌となる薬剤には、神経細胞の興奮性を高めたり、痙攣閾値を低下させたりすることで、発作を誘発・悪化させる可能性があるものがあります。
一方で、同じ薬効群でも、てんかん患者に対する注意の程度が異なる薬剤もあります。
そこで今回は、代表的な禁忌薬について「なぜ禁忌なのか」という理由に注目し、薬剤ごとの特徴や服薬指導・疑義照会での対応を整理します。
てんかん禁忌薬一覧と禁忌の理由は?
| 一般名(商品名) | 主な適応 | てんかんに禁忌である理由(機序) |
|---|---|---|
| ケトチフェン (ザジテン) |
アレルギー性疾患 | 中枢のヒスタミンH1受容体遮断作用により、痙攣閾値を低下させる可能性があるため。 |
| ピロカルピン (サラジェン) |
口腔乾燥症状の改善 | コリン作動性神経を興奮させることによりてんかん発作を誘発するおそれがあるため |
| ベタネコール (ベサコリン) |
排尿困難など | コリン作動薬。てんかん発作を誘発するおそれがあるため(因果関係は明確でない) |
| 炭酸リチウム (リーマス) |
躁病および躁うつ病の躁状態 | 「てんかん等の脳波異常のある患者」が禁忌。脳波異常を増悪させる可能性があるため |
| マプロチリン (ルジオミール) |
うつ病・うつ状態 | ノルアドレナリン再取り込み阻害作用等により、痙攣閾値を低下させ、発作を誘発するおそれがあるため |
てんかん患者に禁忌となる理由を深掘り解説
①抗ヒスタミン薬:なぜケトチフェンはてんかんに禁忌なのか?
アレルギー疾患では抗ヒスタミン薬が頻繁に使用されますが、てんかん患者では薬剤ごとの違いに注意が必要です。
ケトチフェンは、中枢神経系でのH1受容体遮断作用が、発作の誘発・増悪に関与する可能性が報告されています1)。ケトチフェン投与後の発作や脳波異常、動物実験での痙攣閾値低下なども報告されており2)、添付文書上も、てんかん又はその既往歴のある患者に禁忌とされています。
一方、すべての抗ヒスタミン薬がてんかん患者に禁忌というわけではありません。
そのため、抗ヒスタミン薬が処方された場合には、一律に禁忌と判断するのではなく、薬剤ごとの禁忌・注意事項を確認することが重要です。