【心不全患者からの質問】ACE阻害薬からエンレストへ切り替える理由とは?
「エンレスト(サクビトリル・バルサルタン)」は2020年に発売された比較的新しい薬です。
今回のコラムでは、ACE阻害薬/ARBからエンレストへ切り替える理由や、切り替える際の注意点、切り替え後のフォローについて詳しく解説します。
そもそも、エンレスト(サクビトリル・バルサルタン)ってどんな薬?特徴を紹介
エンレストは、アンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬(ARNI)と呼ばれる新しいタイプの薬剤です。
ネプリライシンを阻害すると、血管拡張作用、利尿作用、RAAS抑制作用、交感神経抑制作用、心肥大抑制作用、抗線維化作用、及びアルドステロン分泌抑制作用を有するナトリウム利尿ペプチドの作用亢進に繋がります。
AT1受容体に拮抗すると、血管収縮、腎ナトリウム・体液貯留、心筋肥大、及び心血管リモデリング異常に対する抑制作用をもたらします。
エンレストは、この二つの作用が一緒に働くことで効果を発揮するARNI(アーニー)に分類される薬です。
効果不十分の場合、ACE阻害薬/ARBの切り替えは推奨されている!
LVEF(左室駆出率)の低下した心不全 のことをHFrEF(heart failure with reduced ejection fraction: ヘフレフ)といいます。
2021年に公開された心不全診療ガイドラインのフォーカスアップデート版では、ACE阻害薬/ARB+β遮断薬+MRAの薬物療法をHFrEFに対する基本治療薬としており、効果が不十分な場合にはACE阻害薬/ARBをARNIへ切り替えることが推奨されています。