3分でわかる!薬剤師ひゃくさんの「この薬、説明できる?」

更新日: 2025年9月1日 ひゃくさん

患者から質問に答えよう!「SGLT2阻害薬を飲んで腎機能が低下したのはなぜ?」

患者から質問に答えよう!「SGLT2阻害薬を飲んで腎機能が低下したのはなぜ?」のメイン画像 説明できる?SGLT2阻害薬で腎機能低下が起こるのはなぜ?

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SGLT2阻害薬で腎機能が下がってしまう理由についてわかりやすく解説

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SGLT2阻害薬は腎保護効果がある薬剤ですが、服用開始後まもなく eGFRが下がることがあります。今回のコラムでは、SGLT2阻害薬による腎機能低下について詳しく説明します。

SGLT2阻害薬ってどんな薬?作用機序は?

SGLT2阻害薬は腎臓の近位尿細管にあるSGLT2を阻害することで糖の再吸収を抑制し血糖値を低下させる薬

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SGLT2阻害薬は近位尿細管にあるSGLT2をブロックし、糖を尿に出して血糖値を下げます。

血糖降下作用だけでなく、心保護効果や腎保護効果も期待でき、ダパグリフロジン(フォシーガ)やエンパグリフロジン(ジャディアンス)は慢性心不全や慢性腎臓病でも適応があります。

しかし、SGLT2阻害薬を飲み始めて間もなく腎機能が低下することがあります。詳しく見ていきましょう。

一時的な腎機能低下「イニシャルディップ」とは?

SGLT2阻害薬の投与初期にはGFR(糸球体ろ過量)が低下し、この現象をイニシャルディップと呼ぶ

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投与初期にeGFRが下がることをイニシャルディップ(イニシャルドロップ)と呼びます。平均 -4mL/min/1.73m2ほど下がると報告されており、多くが一時的なものです。

そのため、腎機能が悪くなったからと言って自己判断で中止しないように患者さんに説明することが重要となってきます。 

なぜSGLT2阻害薬で腎機能が一時的に低下するのか?

SGLT2阻害薬でGFRが一時的に下がるのは、腎機能の悪化ではなく腎臓の負担が軽くなった証

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SGLT2阻害薬は近位尿細管でナトリウムとブドウ糖の再吸収を止めるため、ナトリウムが遠位尿細管の緻密斑に多く届きます。

緻密斑は過剰なろ過は不要と判断して、輸入細動脈を収縮させます。その結果、糸球体内圧と GFR が一時的に低下します。これがイニシャルディップの機序として考えられています。

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病院勤務の中堅薬剤師インフルエンサー。「自分が疑問に思ったことを共有すれば、薬剤師や看護師に有益な情報発信ができるのでは?」との思いで始めたInstagramのフォロワー数は、いまや14万人超。薬に関する「なぜ?」「どうして?」を掘り下げつつ、新人薬剤師でも理解しやすい内容で薬の知識を発信中。

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