患者から質問に答えよう!「SGLT2阻害薬を飲んで腎機能が低下したのはなぜ?」



SGLT2阻害薬は腎保護効果がある薬剤ですが、服用開始後まもなく eGFRが下がることがあります。今回のコラムでは、SGLT2阻害薬による腎機能低下について詳しく説明します。
SGLT2阻害薬ってどんな薬?作用機序は?

SGLT2阻害薬は近位尿細管にあるSGLT2をブロックし、糖を尿に出して血糖値を下げます。
血糖降下作用だけでなく、心保護効果や腎保護効果も期待でき、ダパグリフロジン(フォシーガ)やエンパグリフロジン(ジャディアンス)は慢性心不全や慢性腎臓病でも適応があります。
しかし、SGLT2阻害薬を飲み始めて間もなく腎機能が低下することがあります。詳しく見ていきましょう。
一時的な腎機能低下「イニシャルディップ」とは?

投与初期にeGFRが下がることをイニシャルディップ(イニシャルドロップ)と呼びます。平均 -4mL/min/1.73m2ほど下がると報告されており、多くが一時的なものです。
そのため、腎機能が悪くなったからと言って自己判断で中止しないように患者さんに説明することが重要となってきます。
なぜSGLT2阻害薬で腎機能が一時的に低下するのか?

SGLT2阻害薬は近位尿細管でナトリウムとブドウ糖の再吸収を止めるため、ナトリウムが遠位尿細管の緻密斑に多く届きます。
緻密斑は過剰なろ過は不要と判断して、輸入細動脈を収縮させます。その結果、糸球体内圧と GFR が一時的に低下します。これがイニシャルディップの機序として考えられています。