透析患者の服薬指導「フォゼベル(テナパノル)と下剤の併用は禁忌⁉」
「フォゼベル(テナパノル)」は、新しい作用機序の「リン吸収阻害薬」です。
透析患者さんにフォゼベル(テナパノル)が追加されたとき、同時に下剤が中止・減量されていることに気づいたことはありませんか?
今回のコラムでは、フォゼベル(テナパノル)と下剤の関係について詳しく解説します。
そもそも、「フォゼベル(テナパノル)」ってどんな薬なの?
「フォゼベル(テナパノル)」は、腸管上皮細胞の頂端膜に発現するNHE3(ナトリウム/プロトン交換輸送体3)を阻害する薬です。
NHE3が阻害されると細胞内のpHが低下し、腸管上皮細胞の隙間(傍細胞経路)を通るリンの透過性が低下します。
つまりフォゼベル(テナパノル)は、腸管からのリンの吸収そのものをブロックするという、まったく新しい仕組みの高リン血症治療薬なんです。
既存の「リン吸着薬」と「フォゼベル(テナパノル)」の違いは?
従来のリン吸着薬(「カルタン」、「ホスレノール」、「キックリン」など)は、消化管の中でリンと結合し、便と一緒に体外へ排出する仕組みでした。「リンを捕まえて出す」イメージです。
これに対し「フォゼベル(テナパノル)」は「リンの入口をブロックする」薬であり、機序がまったく異なります。
そして興味深いのは、消化器系の副作用が逆だということ。従来のリン吸着薬は便秘が多いのに対し、フォゼベル(テナパノル)は下痢が主な副作用なんです。
なぜ「フォゼベル(テナパノル)」の服用で下痢が起こるの?
「フォゼベル(テナパノル)」の服用でNHE3(ナトリウム/プロトン交換輸送体3)を阻害すると、リンだけでなくナトリウムの吸収も阻害されます。
腸管内にナトリウムと水分がとどまることで、下痢や軟便が起こりやすくなります。
添付文書に記載されている下痢の発現頻度は61.3%。フォゼベル(テナパノル)の下痢は薬理作用そのものに由来する副作用であり、リン吸収抑制と表裏一体の関係です。
透析患者に下剤が必要な理由とは?