【薬剤師のための服薬指導例】ステロイド自己中断がダメな納得の理由とは?
慢性的にステロイドを内服している患者さんから「飲み忘れた日があったけど、大丈夫かな?」「少しずつ自分で減らしてもいい?」と聞かれたこと、ありませんか?
「プレドニン」、「リンデロン」、「メドロール」など、ステロイド内服薬は膠原病から呼吸器疾患まで幅広く使われていますが、「急にやめてはいけない」のは共通のルールです。でも、その理由を患者さんにきちんと説明できるでしょうか?
ステロイドを急にやめるとなぜ危険なのでしょうか。今回は、薬剤師が現場ですぐに使えるわかりやすい患者さんへの説明の仕方や、服薬指導のポイントを詳しく解説します。
内因性ステロイドホルモン「コルチゾール」の働きとは?
私たちの体には、副腎皮質から分泌される「コルチゾール」と呼ばれる内因性ステロイドホルモンが存在しています。コルチゾールは糖代謝・血圧維持・抗炎症作用・ストレス応答など、生きていくうえで欠かせない多彩な役割を担っているんです。
その分泌は、視床下部(CRH)→下垂体(ACTH)→副腎皮質というHPA軸(視床下部‐下垂体‐副腎系)のフィードバック制御によって、精密にコントロールされています。
ステロイド内服薬は、この内因性コルチゾールと同じような働きを、薬として外から補うものになっています。
ステロイド内服薬を急にやめると体調を崩すってホント?知っておきたい離脱症状と副作用
ステロイドを外から継続的に投与すると、体は「もうつくらなくていい」と判断してCRHとACTHの分泌を抑制します。副腎皮質のコルチゾール産生が減り、長期になると副腎皮質そのものが萎縮してしまいます。
この状態でステロイドを急にやめると、副腎皮質はすぐにはコルチゾールをつくれず、不足状態に陥ります。これを「グルココルチコイド誘発性副腎不全(GIAI: Glucocorticoid-Induced Adrenal Insufficiency)」と呼び、倦怠感・食欲不振・血圧低下・低血糖・めまいなどが出ます。
一方、混同しやすい別の病態が「ステロイド離脱症候群(GWS: Glucocorticoid Withdrawal Syndrome)」は漸減中に、高用量への耐性・依存から関節痛・筋肉痛・倦怠感などが出る病態です。
GIAIとGWSは症状が重なって、実臨床では区別が難しい場面も少なくありません。減量・中止時にはどちらも起こりうるという前提で、特にGIAIは副腎クリーゼに進展するリスクが高いため、その症状を医療従事者・患者さん双方が押さえておくことが大切です。