3分でわかる!薬剤師ひゃくさんの「この薬、説明できる?」

更新日: 2026年7月7日 ひゃくさん

インスリンのしこりで吸収にムラ?服薬指導に活かすローテーションの根拠

3分で納得!インスリンを「同じ場所に打ち続ける」とダメな本当の理由のメイン画像

患者から質問「インスリンの打つ場所を変える理由は?」

3分で納得!インスリンを「同じ場所に打ち続ける」とダメな本当の理由の画像1

画像を拡大する


3分で納得!インスリンを「同じ場所に打ち続ける」とダメな本当の理由の画像2

画像を拡大する

「インスリンは2〜3cmずらしてローテーションしましょう」というのが指導の基本ですが、打つ場所を変えることは知っていても、なぜ変えなければならないのか意外と知らないって薬剤師さんも多いと思います。

今回は、インスリンを同じ場所に打ち続けるとダメな理由についてわかりやすく解説していきます。

【一覧表】インスリン製剤の一覧・分類表

作用区分 代表的な商品名(製剤例) 一般名(成分名) 特徴・主な役割
超速効型 ノボラピッド インスリン アスパルト 食直前に注射し、追加分泌(食後の血糖上昇)を抑える。
ヒューマログ インスリン リスプロ
アピドラ インスリン グルリジン
持効型 トレシーバ インスリン デグルデク 1日1〜2回の注射でほぼ平坦に作用し、基礎分泌を補う。
ランタス インスリン グラルギン
レベミル インスリン デテミル
混合型

(超速効型+中間型など)
ノボラピッド30・50ミックス インスリン アスパルト 混合製剤 追加分泌と基礎分泌の両方を1本の製剤で補う。
ヒューマログミックス25・50 インスリン リスプロ 混合製剤
配合溶解

(超速効型+持効型)
ライゾデグ インスリン デグルデク/インスリン アスパルト 持効型と超速効型を配合。1日1〜2回、主食の直前に注射する。
速効型 ノボリンR ヒトインスリン 食前30分に注射する。医療機関での点滴(静注)にも使われる。
ヒューマリンR
中間型 ノボリンN ヒトインスリン(イソフェン) 白濁している製剤。作用がじわじわと半日〜1日近く続く。
ヒューマリンN

※各薬剤には、先行バイオ医薬品のほか、バイオ後続品(BS)や、より吸収を速めた次世代型(ルムジェブやフィアスプなど)も存在します

インスリン製剤の添付文書で、基本的な打ち方を確認しよう

インスリン製剤の添付文書のルール

画像を拡大する

まずはインスリン製剤の添付文書を見てみましょう。

「重要な基本的注意」には、注射箇所は前回から少なくとも2〜3cm離すこと、そして腫瘤や硬結が認められた箇所への注射は避けること、と明記されています。

このように明記されているのは、実は2020年に厚生労働省が各インスリン製剤の「使用上の注意」を改訂するように指示した経緯があります。では、なぜそこまで注意が必要なのでしょうか。 

インスリンでできるしこり「リポハイパートロフィー」と「インスリンボール」とは?

インスリンでできる2種のしこり「リポハイパートロフィー」と「インスリンボール」

画像を拡大する

同じ場所へのインスリン注射を繰り返すと、その部位の皮下に「しこり」ができてきます。

このしこりには性質の違う2つの種類があります。1つは皮下脂肪が肥大した「リポハイパートロフィー」。やわらかいしこりで、1型糖尿病の患者さんの約半数にみられるとも報告される、頻度の高い合併症です。

もう1つが「インスリンボール」。インスリンそのものがアミロイドというタンパク質に変性して沈着したもので、触れると硬い腫瘤になります。

インスリンボールの方が吸収への影響が大きく、報告では正常な部位の約3分の1しか吸収されなかった例もあるんです。

とはいえ、リポハイパートロフィーとインスリンボールを硬さだけで見分けるのは、現場でも難しいことがあります。

打つ場所に硬さやしこりに気づいたら、自己判断で打ち続けないよう患者さんに伝えるとともに、私たち薬剤師から主治医に情報共有し、必要に応じて評価や受診につなげましょう。

インスリン注射を「しこり」に打つとどうなるか?

すべてのコラムを読むにはm3.com に会員登録(無料)が必要です

あなたに直接非公開求人、オファーが届く!薬キャリスカウト
ひゃくさんの画像

ひゃくさん
ひゃくさん

病院勤務の中堅薬剤師インフルエンサー。「自分が疑問に思ったことを共有すれば、薬剤師や看護師に有益な情報発信ができるのでは?」との思いで始めたInstagramのフォロワー数は、いまや14万人超。薬に関する「なぜ?」「どうして?」を掘り下げつつ、新人薬剤師でも理解しやすい内容で薬の知識を発信中。

キーワード一覧

3分でわかる!薬剤師ひゃくさんの「この薬、説明できる?」

この記事の関連記事

この記事に関連するクイズ

アクセス数ランキング

新着一覧

28万人以上の薬剤師が登録する日本最大級の医療従事者専用サイト。会員登録は【無料】です。

薬剤師がm3.comに登録するメリットの画像

m3.com会員としてログインする

m3.comすべてのサービス・機能をご利用いただくには、m3.com会員登録が必要です。

注目のキーワード

医薬品情報・DI 調剤報酬改定 薬物療法・作用機序 服薬指導 医療過誤・ヒヤリハット 年収・待遇 OTC医薬品 OTC類似薬 医療クイズ 選定療養