ヒヤリハット!イントラリポス混注はNG?側管投与を安全に行うルート設計
看護師から質問「イントラリポスは側管から投与して大丈夫?」
高カロリー輸液(TPN)を行う患者さんに、エネルギー源として「イントラリポス(脂肪乳剤)」が処方されることはよくあります。
そんなとき、看護師さんから「イントラリポスって、側管から入れていいんですか?」と聞かれて、その場で根拠まで答えられるでしょうか。
「他の輸液と混ぜてはいけないと聞くけれど、なぜだろう?」と、あらためて問われると迷ってしまう場面かもしれません。
今回のコラムでは、イントラリポス(脂肪乳剤)の投与経路について、「なぜ直接混ぜてはいけないのか」という理由から、側管投与の正しい方法まで、看護師さんにそのまま説明できる形でわかりやすく解説していきます。
なぜ構造が重要?「イントラリポス(脂肪乳剤)」の乳化特性と投与管理方法
「イントラリポス(脂肪乳剤)」は、大豆油を主成分とする脂肪を点滴で補うための輸液です。
糖質よりも少ない容量で多くのエネルギーを補給できるうえ、体内で合成できない必須脂肪酸を供給できるという特徴があります。
脂肪はそのままでは水に溶けないため、中性脂肪のかたまりを卵黄由来のレシチン(リン脂質)の膜で包み、水になじむ微粒子にして安定させています。これを「乳化」といいます。
この微粒子の構造こそが、投与方法を考えるうえで重要なカギになります。
「イントラリポス(脂肪乳剤)」をTPN液に直接混注してはダメな理由
「イントラリポス(脂肪乳剤)」の微粒子は、表面がマイナスに帯電しているため、粒子どうしが反発し合って均一に分散した状態を保っています。
ところが、高カロリー輸液(TPN)に含まれる電解質、特にカルシウムやマグネシウムなどの2価の陽イオンが加わると、この表面の電荷が打ち消されてしまいます。すると粒子どうしの反発がなくなって凝集し、やがて合一(粗大化)が進みます。
粗大化した脂肪の粒子が5μmを超えるほど大きくなると、肺の毛細血管に詰まり、肺塞栓などを起こす危険があります。だからこそ、イントラリポス(脂肪乳剤)をTPN液に直接混注してはいけないのです。