【患者から質問】「なぜ下痢止めが出ない?」ロペラミド禁忌を3分解説
患者から質問「ロペラミド(ロペミン)」を使ったらダメな下痢があるの?
「前にもらった下痢止め(止瀉薬)、今回は出せないって言われたんですけど」。
患者さんからこんな風に聞かれたことはありませんか?
下痢止めを使わない方がいい下痢があることは知っていても、なぜダメなのかを患者さんに説明するとなると、意外と言葉に詰まってしまいますよね。今回のコラムでは、下痢止めを使ってはいけない下痢とその理由について詳しく解説します。
「ロペラミド(ロペミン)」はどんな下痢止め薬?
「ロペラミド(ロペミン)」は、腸管の神経叢に作用して下痢を止める薬(止瀉薬)です。効能・効果は「下痢症」で、成人には1日1〜2mgを1〜2回に分割して経口投与します。
止瀉作用は2つあります。1つは蠕動抑制で、腸壁内のコリン作動性ニューロンの機能の抑制と、アセチルコリンやプロスタグランジンの放出の抑制が関与していると考えられています。
もう1つが抗分泌作用で、腸管の中へ出ていく水やナトリウムの動きを吸収の方向へ逆転させます。腸の動きを抑えて通過時間を延ばしながら、水分を引き戻して便を固めるわけです。
臨床試験1,288例での改善率は76%、急性の下痢に限ると89%と報告されており、よく効く薬です。
だからこそ、まず考えたいのは「どの下痢になら使っていいのか」という点になります。
「ロペラミド(ロペミン)」でなぜ下痢を止めてはダメなの?
なぜ、下痢を止めるのがダメな場合があるのでしょうか。
下痢は、体が病原体や毒素を外へ押し出そうとしている反応でもあるからです。蠕動を抑えて通過時間を延ばす作用は、感染性の下痢では原因となる菌や毒素を腸の中に留める方向に働いてしまいます。
添付文書にもこの点がはっきり書かれています。出血性大腸炎の患者と、抗生物質の投与に伴う偽膜性大腸炎の患者が禁忌とされている理由は、いずれも「症状の悪化、治療期間の延長を来すおそれがある」ためです。
腸管出血性大腸菌(O157等)では、その先に溶血性尿毒症症候群(HUS)があります。
「JAID/JSC感染症治療ガイドライン2015(腸管感染症)」は、感染者全体の5〜10%がHUSをきたし、そのうち約10%は死亡または永久的な腎不全に至ると報告したうえで、止痢薬はHUSの発症リスクを高めるとの報告があるため、できる限り使用しないとしています。
なお、腸管感染症について学会が公開している疾患別のガイドラインは、この2015年版が最新です。
「ロペラミド(ロペミン)」の4つの禁忌とは?
「ロペラミド(ロペミン)」の禁忌は4項目です。
①出血性大腸炎の患者
②抗生物質の投与に伴う偽膜性大腸炎の患者
③低出生体重児・新生児及び6ヵ月未満の乳児
④本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
低出生体重児・新生児及び6ヵ月未満の乳児が禁忌である理由は前の2つとは別で、過量投与により呼吸抑制、全身性痙攣、昏睡等の重篤な副作用の報告があるためです。
重大な副作用にはイレウスと巨大結腸が挙げられています。腸の動きを止める薬なので、止まりすぎれば当然そちらへ振れます。
重要な基本的注意にも、便秘が発現した場合は投与を中止することと記載されているので、漫然と飲み続けないよう伝えましょう。
眠気やめまいがあらわれることがあるため、自動車の運転や危険を伴う作業を避ける指導も必要です。