更新日: 2022年1月27日
学校法人医学アカデミー 薬学ゼミナール事業部
塩化水素(気体)のH原子とCl原子の間の結合として正しいのは?
物理
単位に関する記述のうち、正しいのはどれか。1つ選べ。
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1 mは1×108 nmである。
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1 kgは1×106μgである。
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1 mg/kgは10 ppmである。
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1 %は1×104 ppmである。
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1 nmol/100 mLは1×103 pmol/Lである。
回答・解説
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1 誤。n(ナノ)は10-9を表す接頭語であるため、1 m=1×109×10-9 m=1×109 nmとなる。
2 誤。k(キロ)は103、μ(マイクロ)は10-6を表す接頭語であるため、1 kg=1×103 g=1×103×106×10-6 g=1×109μgとなる。
3 誤。m(ミリ)は10-3、k(キロ)は103を表す接頭語であり、ppm(parts per million)は百万分率(10-6)であるため、1 mg/kg=1×10-3 g/103 g=1×10-6=1 ppmとなる。
4 正。%は百分率(10-2)、ppmは百万分率(10-6)であるため、1%=1×10-2=1×10-2×106×10-6=1×104 ppmとなる。
5 誤。n(ナノ)は10-9、m(ミリ)は10-3、p(ピコ)は10-12を表す接頭語であるため、1 nmol/100 mL=1×10-9 mol/(100×10-3)L=1×10-8 mol/L=1×104×10-12 mol/L=1×104 pmol/Lとなる。
医薬品の分析法バリデーションにおいて試料中に共存すると考えられる物質の存在下で、分析対象物を正確に測定する能力を示すパラメーターはどれか。1つ選べ。
回答・解説
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1 誤。検出限界(感度)とは、試料に含まれる分析対象物の検出可能な最低の量又は濃度のことである。
2 誤。真度(正確さ)とは、分析法で得られる測定値の偏りの程度のことで、真の値と測定値の総平均との差で表される。
3 誤。精度(精密さ、再現性)とは、均質な検体から採取した複数の試料を繰り返し分析して得られる一連の測定値が、互いに一致する程度のことである。
4 誤。直線性とは、分析対象物の量又は濃度に対して直線関係に測定値を与える分析法の能力のことである。
5 正。特異性(選択性)とは、試料中に共存すると考えられる物質の存在下で、分析対象物を正確に測定する能力のことで、分析法の識別能力を表す。
塩化水素(気体)のH原子とCl原子の間の結合として正しいのはどれか。1つ選べ。
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共有結合
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イオン結合
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水素結合
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金属結合
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疎水結合
回答・解説
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1 正。共有結合は、原子のもつ電子(又は電子対)の軌道が互いに重なり合い、新しくできる分子軌道に共有電子対が入った安定な結合である。塩化水素(気体)は、H原子とCl原子が電子対を共有して共有結合を形成する。
2 誤。イオン結合は、陽イオンと陰イオンが静電的引力で引き合って生じる結合である。NaClのように電気陰性度が小さく陽イオンになりやすい金属元素と、電気陰性度が大きく陰イオンになりやすい非金属元素との間に生じることが多い。
3 誤。水素結合は、電気陰性度が非常に大きいフッ素原子(F)、酸素原子(O)、窒素原子(N)などに直接結合し、部分的正電荷(δ+)を帯びた水素原子と、他の分子又は分子内の部分的負電荷(δ-)を帯びたF、O、Nなどの原子間に働く引力的な結合である。
4 誤。金属結合は、金属原子の核の正電荷と自由電子の負電荷との間に静電的引力が生じることにより形成される結合である。
5 誤。疎水結合は、水溶液中に疎水性分子が存在すると、その疎水性分子の表面から水和水が排除され、見かけ上水を避けて集まろうとし、疎水性分子間に弱い引力が働いているように見える結合である。
イオン間にはたらくクーロン力の特徴として誤っているのはどれか。1つ選べ。
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媒質の比誘電率に反比例する
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イオン間の距離に反比例する
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イオンのもつ電荷の大きさに比例する
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同じ符号の電荷をもつイオン間では斥力となる
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真空中で最も強くなる
回答・解説
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クーロン力Fは、結晶中のイオンのように+に荷電した粒子と、-に荷電した粒子との間に働く力である。電荷Q、Q′をもつ2つの粒子がある距離rで離れているとき、Fは以下の式で表され、媒質の誘電率εや距離rの2乗に反比例する(クーロンの法則)。
1 正。媒質の比誘電率εrは真空の誘電率ε0に対する媒質の誘電率εの比であり、以下の式で表される。クーロン力は媒質のεに反比例するため、媒質のεrとも反比例の関係にある。
2 誤。クーロン力は、イオン間の距離の2乗に反比例する。一方、イオン間の距離に反比例するのは、クーロンポテンシャルエネルギーである。クーロンポテンシャルエネルギーは、一方の電荷を無限に離れた位置から距離rのところまで移動させるのに必要なエネルギーである。
3 正。クーロン力は、イオンのもつ電荷の大きさに比例する。
4 正。クーロン力は、同じ符号の電荷をもつイオン間ではF>0となり、斥力(反発力)として働くが、異なる符号の電荷をもつイオン間ではF<0となり、引力として働く。
5 正。真空の誘電率は、水などの真空以外の媒質の誘電率よりも小さいため、クーロン力は真空中で最も強くなる。
化学
下線部で示した化合物のうち、塩素原子の酸化数が+1なのはどれか。1つ選べ。
(a)次亜塩素酸ナトリウムは漂白剤として用いられる化合物の1つである。その水溶液に(b)塩酸を加えると(c)塩化ナトリウムを生じると同時に有毒な(d)塩素ガスを発生する。また、次亜塩素酸ナトリウムを40~50℃で保存すると、塩化ナトリウム及び爆発性をもつ(e)塩素酸ナトリウムを生じる。
回答・解説
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1. a
酸化数は一般に、H原子が+1、O原子が-2(金属水素化物や過酸化物を除く)、1族元素が+1、2族元素が+2である。また、分子における酸化数の総和は0であり、単体の酸化数も0である
1 正。次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)における塩素原子の酸化数は+1である。
NaClO:(+1)+(+1)+(-2)=0
2 誤。塩酸は塩化水素(HCl)の水溶液であり、塩素原子の酸化数は-1である。
HCl:(+1)+(-1)=0
3 誤。塩化ナトリウム(NaCl)における塩素原子の酸化数は-1である。
NaCl:(+1)+(-1)=0
4 誤。塩素ガス(Cl2)における塩素原子の酸化数は0である。
5 誤。塩素酸ナトリウム(NaClO3)における塩素原子の酸化数は+5である。
NaClO3:(+1)+(+5)+(-2)×3=0
ショウガの根茎に含まれる辛味成分はどれか。1つ選べ。。
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カプサイシン
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[6]-ギンゲロール
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α-サンショオール
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シンナムアルデヒド
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ピペリン
回答・解説
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1 誤。カプサイシン(capsaicin)は、ナス科植物トウガラシの果実に含まれる辛味成分である。
2 正。[6]-ギンゲロール([6]-gingerol)は、ショウガ科植物ショウガの根茎に含まれる辛味成分である。
3 誤。α-サンショオール(α-sanshool)は、ミカン科植物サンショウの成熟した果皮に含まれる辛味成分である。
4 誤。シンナムアルデヒド(cinnamaldehyde)は、クスノキ科植物Cinnamomum cassiaの樹皮又は周皮の一部を除いた樹皮に含まれる精油成分である。
5 誤。ピペリン(piperine)は、コショウ科植物コショウの果実に含まれる辛味成分である。
亜鉛イオンは、生体内においてルイス酸として重要な役割を果たしている。亜鉛がとりやすい酸化数はどれか。1つ選べ。
回答・解説
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亜鉛は、生体内において、タンパク質やペプチドのアミド結合の加水分解を触媒する金属プロテアーゼの活性中心金属イオン(Zn2+)として機能する。単原子イオンの酸化数はイオンの電荷に等しいため、亜鉛がとりやすい酸化数は+2である。なお、亜鉛イオン(Zn2+)は、ルイス酸として水分子を活性化することで、加水分解反応を促進する。
pKa値が最も小さいカルボン酸はどれか。1つ選べ。
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CH3CO2H
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F-CH2CO2H
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ClーCH2CO2H
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BrーCH2CO2H
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IーCH2CO2H
回答・解説
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一般に、共役塩基の負電荷が分散され安定なほど、もとの酸の酸性が強い。酢酸誘導体において、ハロゲンは電子求引基として働くため、共役塩基の負電荷を分散する。また、電気陰性度が大きいハロゲンが結合したものほど共役塩基の負電荷をより分散する。電気陰性度の大きさは、フッ素>塩素>臭素>ヨウ素であるため、酸性の強さは、フルオロ酢酸(選択肢2)>クロロ酢酸(選択肢3)>ブロモ酢酸(選択肢4)>ヨード酢酸(選択肢5)>酢酸(選択肢1)となる。また、酸性が強いほどpKa値が小さいため、pKa値が最も小さいカルボン酸は、フルオロ酢酸(選択肢2)である。
生物
副腎皮質の束状層から分泌されるホルモンはどれか。1つ選べ。
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コルチゾール
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アルドステロン
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テストステロン
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ノルアドレナリン
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アドレナリン
回答・解説
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副腎は主に皮質と髄質から構成され、副腎皮質はさらに球状層、束状層、網状層に分けられる。副腎皮質の各層及び髄質はいずれも内分泌腺として機能し、球状層からは鉱質コルチコイド(アルドステロンなど)、束状層からは糖質コルチコイド(コルチゾールなど)、網状層からは活性の弱い男性ホルモン(デヒドロエピアンドロステロンなど)が分泌される。また、副腎髄質からは交感神経の刺激により、アミン・アミノ酸系ホルモンであるアドレナリンやノルアドレナリンが分泌される。なお、テストステロンは、主に精巣の間質細胞(ライディッヒ細胞)から分泌される男性ホルモンである。
真菌に関する記述として、正しいのはどれか。1つ選べ。
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原核生物である
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芽胞を形成する
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細胞壁の主成分はセルロースである
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コレステロールを合成する
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80Sリボソームを有する
回答・解説
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1 誤。真菌はカビ、酵母、キノコの総称であり、真核生物に分類される。なお、真核生物には真菌以外に動物、植物、原虫などが分類され、細菌やシアノバクテリアは原核生物に分類される。
2 誤。真菌は芽胞を形成しない。芽胞を形成するのは、主にBacillus属(セレウス菌、炭疽菌)とClostridium属(破傷風菌、ボツリヌス菌など)に属する細菌である。
3 誤。真菌細胞壁の主成分はβ-1,3-D-グルカン、キチンなどである。なお、植物の細胞壁の成分は、一般にセルロースなどであり、原核生物に分類される細菌の細胞壁の主成分は、一般にペプチドグリカンである。
4 誤。一般に、真菌は細胞膜成分として、エルゴステロールを合成する。一方、動物細胞は細胞膜成分として、コレステロールを合成する。
5 正。真菌などの真核生物を構成する真核細胞は、タンパク質合成の場として80S(40S+60S)リボソームを有する。一方、原核生物を構成する原核細胞は、70S(30S+50S)リボソームを有する。
胚性幹細胞(ES細胞)の樹立に用いられるのはどれか。1つ選べ。
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精子
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原始卵胞
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造血幹細胞
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皮膚の線維芽細胞
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初期胚の内部細胞塊
回答・解説
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1 胚性幹細胞(embryonic stem cell:ES細胞)は、哺乳動物の初期胚(胚盤胞)の内部細胞塊から樹立した細胞株であり、神経細胞や心筋細胞などのさまざまな細胞に分化することができる。受精卵が卵割を繰り返すことで形成された初期胚の内部には、多分化能を有する細胞を含む内部細胞塊が存在し、これがES細胞の樹立に用いられる。ES細胞は、多能性細胞に分化する能力を有するが、初期胚を用いることによる倫理的な問題や、非自己由来の細胞を移植に用いることによる拒絶反応などが課題である。
主たる発症機序がⅣ型アレルギーに分類されるのはどれか。1つ選べ。
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スギ花粉症
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アトピー性皮膚炎
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薬剤性溶血性貧血
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接触性皮膚炎
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糸球体腎炎
回答・解説
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1 誤。スギ花粉症の主たる発症機序は、Ⅰ型アレルギーに分類される。Ⅰ型アレルギーは、肥満細胞などの細胞膜上に存在するFcε受容体に結合した複数のIgEに抗原が結合し、架橋が形成(クロスリンク)され、肥満細胞などからヒスタミンやロイコトリエンが放出されることで引き起こされる。
2 誤。アトピー性皮膚炎の主たる発症機序は、Ⅰ型アレルギーに分類される。アトピー性皮膚炎の発症には、IgEによるアレルギー反応及び皮膚のバリア機能障害などが関与していると考えられる。
3 誤。薬剤性溶血性貧血の主たる発症機序は、Ⅱ型アレルギーに分類される。Ⅱ型アレルギーは、細胞表面物質に結合した特異抗体(主にIgG)が補体や免疫担当細胞による細胞傷害を誘導することで引き起こされる。
4 正。接触性皮膚炎の主たる発症機序は、Ⅳ型アレルギーに分類される。Ⅳ型アレルギーは、一般に抗体が関与せず、抗原により活性化されたT細胞を中心とした細胞性免疫により引き起こされる。
5 誤。糸球体腎炎の主たる発症機序は、Ⅲ型アレルギーに分類される。Ⅲ型アレルギーは、主に免疫複合体が組織に沈着し、組織傷害を誘導することで引き起こされる。
※問題・解答・解説は、薬剤師国家試験対策予備校の薬学ゼミナールより提供しています。
本クイズの内容は2022年1月作成時点のものであり,ご覧いただいた時点で最新情報ではない可能性がございます。
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