更新日: 2022年2月8日
学校法人医学アカデミー 薬学ゼミナール事業部
ラベタロールが反射性頻脈の発生を抑える機序は?
薬理
ラベタロールが反射性頻脈の発生を抑える機序はどれか。1つ選べ。
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アドレナリンα1受容体遮断
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アドレナリンβ1受容体遮断
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アドレナリンβ2受容体遮断
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アドレナリンα2受容体刺激
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アドレナリンβ2受容体刺激
回答・解説
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ラベタロールは、α1,β受容体遮断薬であり、α1受容体の遮断による血管拡張作用、β1受容体の遮断による心機能低下作用を示し、血圧を下降させる。また、本剤は、心筋のβ1受容体遮断作用を有しているため、血圧低下により発生する圧受容器反射に伴う交感神経機能亢進(反射性頻脈)を抑制することができる。
運動神経終末からのアセチルコリンの遊離を非可逆的に阻害して骨格筋弛緩作用を示すのはどれか。1つ選べ。
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ロクロニウム
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スキサメトニウム
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ダントロレン
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A型ボツリヌス毒素
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チザニジン
回答・解説
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1 誤。ロクロニウムは、神経筋接合部終板のNM受容体においてアセチルコリンと競合的に拮抗し、筋弛緩作用を示す。
2 誤。スキサメトニウムは、神経筋接合部終板のNM受容体に対してアゴニスト活性を示し、持続的脱分極を起こすことにより筋弛緩作用を示す。
3 誤。ダントロレンは、筋小胞体膜のリアノジン受容体に結合し、筋小胞体からのCa2+の遊離を抑制することにより筋弛緩作用を示す。
4 正。A型ボツリヌス毒素は、運動神経終末に取り込まれてアセチルコリンの遊離を非可逆的に阻害し、筋弛緩作用を示す。
5 誤。チザニジンは、中枢内のα2受容体を刺激し、主に脊髄の多シナプス反射を抑制して筋弛緩作用を示す。
中枢神経でオピオイドμ受容体を遮断して、モルヒネが引き起こす呼吸抑制を改善するのはどれか。1つ選べ。
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ドキサプラム
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ナルデメジン
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ナロキソン
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ナルフラフィン
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フルマゼニル
回答・解説
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1 誤。ドキサプラムは、末梢性呼吸興奮薬であり、主に頸動脈及び大動脈の化学受容器を介して間接的に呼吸中枢を興奮させることにより、呼吸興奮作用を示す。
2 誤。ナルデメジンは、末梢性μ受容体遮断薬であり、消化管に存在するμ受容体を遮断するため、オピオイド誘発性便秘症を改善する。
3 正。ナロキソンは、中枢性μ受容体遮断薬であり、μ受容体において麻薬性鎮痛薬の作用を競合的に拮抗するため、麻薬による呼吸抑制ならびに覚醒遅延の改善に用いられる。
4 誤。ナルフラフィンは、選択的κ受容体作動薬であり、κ受容体の活性化を介して止痒作用を示すため、透析患者における瘙痒症の改善(既存治療で効果不十分な場合に限る)などに用いられる。
5 誤。フルマゼニルは、ベンゾジアゼピン(BZ)受容体遮断薬であり、BZ系薬による鎮静の解除及び呼吸抑制の改善に用いられる。
レボドパ含有製剤で治療中のパーキンソン病における wearing-off 現象を改善させるアデノシンA2A受容体遮断薬はどれか。1つ選べ。
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アポモルヒネ
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アマンタジン
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ブロモクリプチン
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イストラデフィリン
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ロチゴチン
回答・解説
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1 誤。アポモルヒネは、非麦角アルカロイド誘導体のD1様(D1、D5)及びD2様(D2、D3、D4)受容体作動薬であり、線条体においてこれらの受容体を刺激することでパーキンソン病における運動機能障害に対して改善効果を示すため、パーキンソン病におけるオフ症状を改善する。
2 誤。アマンタジンは、ドパミン作動性神経からのドパミン遊離促進作用、ドパミン作動性神経へのドパミン再取り込み抑制作用及びドパミン合成促進作用などにより、ドパミン作動性神経を活性化し、抗パーキンソン病作用を示す。
3 誤。ブロモクリプチンは、麦角アルカロイド誘導体のD2受容体刺激薬であり、中枢内のD2受容体を直接刺激し、抗パーキンソン病作用を示す。
4 正。イストラデフィリンは、A2A受容体遮断薬であり、線条体と淡蒼球においてA2A受容体を遮断し、ドパミン作動性神経の変性・脱落によるGABA作動性神経の過剰興奮を抑制する。その結果、アンバランスになった神経のシグナル伝達を正常に近づけ、レボドパ含有製剤で治療中のパーキンソン病におけるwearing-off現象を改善する。
5 誤。ロチゴチンは、非麦角アルカロイド誘導体のドパミン受容体刺激薬であり、黒質-線条体系のドパミン作動性神経のシナプス後膜のD2受容体を刺激し、抗パーキンソン病作用を示す。
薬剤
以下の剤形のうち、薬物の肝初回通過効果を回避するのに最も適しているのはどれか。1つ選べ。
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経口徐放錠
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口腔内崩壊錠
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腸溶錠
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経口ゼリー剤
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坐剤
回答・解説
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1. 坐剤
非経口投与により吸収された薬物は、一般に門脈を経由せず直接体循環に流入するため、肝初回通過効果を回避できる。したがって、非経口投与はバイオアベイラビリティが低い薬物、胃酸で不活性化される薬物などで有効な投与方法と考えられる。坐剤による直腸への投与では、薬物は主に直腸下部より直接大静脈に移行するため肝臓を通過することなく全身系へ分布する。そのため、直腸下部からの吸収では、肝初回通過効果を回避できる。
なお、経口徐放錠、口腔内崩壊錠、腸溶錠、経口ゼリー剤は経口投与する製剤であり、主に小腸から吸収されるため、薬物が肝初回通過効果を受けやすい。
腸肝循環するのはどれか。1つ選べ。
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アルベカシン
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イソニアジド
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エナラプリル
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オセルタミビル
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モルヒネ
回答・解説
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胆汁中に排泄された物質が、小腸より再び吸収されることを腸肝循環という。
1 誤。アルベカシンは、主に腎臓より排泄されるため、腸肝循環を受けにくい。
2 誤。イソニアジドは、大部分は肝臓でアセチル化され、1-acetyl-2-isonicotinylhydrazineとなった後、さらに代謝され、1,2-diacetylhydrazine及びacetylhydrazineとなり腎臓より排泄される。したがって、腸肝循環を受けにくい。
3 誤。エナラプリルは、主に腎臓より排泄されるため、腸肝循環を受けにくい。
4 誤。オセルタミビルは、未変化体及び活性体ともに主に腎臓より排泄されるため、腸肝循環を受けにくい。
5 正。モルヒネはグルクロン酸抱合体として胆汁中に排泄され、腸管の腸内細菌による脱抱合を受けてモルヒネとなり再吸収(腸肝循環)される。腸肝循環を受ける薬物として、他にインドメタシンやプラバスタチンがある。
ある薬物の体内動態に線形性が成り立つとき、静脈投与後の平均滞留時間が4.0h、経口投与後の平均滞留時間が6.0hであった。平均吸収時間(h)はどれか。1つ選べ。
回答・解説
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平均吸収時間(MAT)は、経口投与後の平均滞留時間(MRTpo)と静脈内投与後の平均滞留時間(MRTiv)の差として求めることができる(MAT=MRTpo-MRTiv)。
したがって、MAT=6.0 h-4.0 h=2.0 hとなる。
皮膚に適用する製剤のうち、水中油型又は油中水型に乳化した半固形の製剤はどれか。1つ選べ。
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軟膏剤
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クリーム剤
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ゲル剤
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ローション剤
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リニメント剤
回答・解説
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1 誤。軟膏剤は、皮膚に塗布する、有効成分を基剤に溶解又は分散させた半固形の製剤である。なお、軟膏剤に用いる基剤は油脂性又は水溶性の基剤である。
2 正。クリーム剤は、皮膚に塗布する、水中油型又は油中水型に乳化した半固形の製剤である。
水中油型の基剤として親水クリームなどがあり、油中水型の基剤として吸水クリームや加水ラノリンなどがある。
3 誤。ゲル剤は、皮膚に塗布するゲル状の製剤である。
4 誤。ローション剤は、有効成分を水性の液に溶解又は乳化もしくは微細に分散させた外用液剤である。
5 誤。リニメント剤は、皮膚にすり込んで用いる液状又は泥状の外用液剤である。
治療
血中間接ビリルビン値が血中直接ビリルビン値に比べて優位に上昇する疾患はどれか。1つ選べ。
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肝硬変
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アルコール性肝障害
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溶血性貧血
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胆石症
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膵頭部がん
回答・解説
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ビリルビンはヘモグロビン内のヘムの最終代謝産物であり、間接ビリルビンと直接ビリルビンが存在する。間接ビリルビンはヘムから分解された直後のものであり、脂溶性が高く、肝臓においてグルクロン酸抱合を受け、水溶性の直接ビリルビンとなって胆汁中に排泄される。溶血性貧血では、間接優位の高ビリルビン血症やハプトグロビン値の低下を認め、胆石症や膵頭部がんなどでは、総胆管の閉塞により直接優位の高ビリルビン血症を生じる。肝硬変やアルコール性肝障害では肝内胆汁うっ滞を生じることなどにより直接優位の高ビリルビン血症を生じる。
遅発性ジスキネジアの典型的な症状はどれか。1つ選べ。
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高熱
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手指関節のこわばり
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無意識に口をもぐもぐさせる
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筋肉痛
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じっと座っていられない
回答・解説
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ジスキネジアとは、自分では止められない、又は止めてもすぐに出現する不随意運動をまとめた呼び名である。遅発性ジスキネジアは、さまざまな医薬品使用時に出現することがあり、主に抗精神病薬などを長期間使用していると出現しやすい。認められる症状として、繰り返し唇をすぼめる、舌を左右に動かす、口をもぐもぐさせる、口を突き出す、歯を食いしばる、目を閉じるとなかなか開かずにしわを寄せている、勝手に手が動いてしまう、手に力が入って抜けない、足が動いたり突っ張ったりで歩きにくい、などがある。
パーキンソン様症状はどれか。1つ選べ。
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口渇
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立ちくらみ
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小刻み歩行
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体重増加
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勃起障害
回答・解説
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パーキンソン病と同様の症状を呈する病態の総称をパーキンソニズム(パーキンソン症候群)といい、それによって起こる症状をパーキンソン様症状という。パーキンソン様症状には、すくみ足などの無動・寡動や安静時振戦、筋強剛、小刻み歩行などの姿勢反射障害といった運動症状がある。
続発性副甲状腺機能低下症の治療に用いられるのはどれか。1つ選べ。
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アルファカルシドール
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エルカトニン
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チアマゾール
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ブロモクリプチン塩酸塩
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プレドニゾロン
回答・解説
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副甲状腺機能低下症は、副甲状腺ホルモン(PTH)の作用不足により低カルシウム血症と高リン血症をきたす疾患である。PTH分泌不全による特発性(先天性、自己免疫性に副甲状腺機能が低下)や続発性(頸部の手術や放射線照射により副甲状腺機能が低下)、腎臓や骨のPTH不応性による偽性副甲状腺機能低下症に分類される。
続発性副甲状腺機能低下症に対する治療は、低カルシウム血症を改善し、テタニー、しびれ、筋力低下などの臨床症状の発現を防ぐことが目標となる。治療薬として、アルファカルシドールなどの活性型ビタミンD3製剤やグルコン酸カルシウム水和物などのカルシウム製剤が用いられる
※問題・解答・解説は、薬剤師国家試験対策予備校の薬学ゼミナールより提供しています。
本クイズの内容は2022年1月作成時点のものであり,ご覧いただいた時点で最新情報ではない可能性がございます。
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