亜鉛欠乏症について知ろう!①原因は?どんな症状?
体内では作ることのできない必須微量元素である「亜鉛」。欠乏してしまう原因や症状についてまとめました。長くなってしまったので、亜鉛を補充するための薬剤などについては、次回になります!
亜鉛欠乏と評価される血清亜鉛の数値は?
血清亜鉛の基準値は80~130 μg/dLが適切とされています。これよりやや少ない60~80 μg/dL未満は「潜在性亜鉛欠乏」と評価され、さらに少なくなった60 μg/dL未満が「亜鉛欠乏」と評価されます。
なお、亜鉛は日内変動や食事の影響を受けるため、早朝空腹時の測定が推奨されています。
亜鉛欠乏の原因は?
亜鉛が欠乏する要因には、摂取量不足や吸収不全、排泄増加、需要増加があります。
まず、摂取量不足については、食事摂取基準での推奨量と比較して、国民の平均摂取量が少ないと報告されています。特に、亜鉛の必要量が多くなる妊婦・授乳婦においては、推奨量が妊婦10mg /日・授乳婦12mg/日に対して、平均摂取量が妊婦7.7mg /日・授乳婦8.0mg/日と少なくなっています。
また、亜鉛が欠乏する疾患として慢性肝炎や肝硬変などの肝障害、炎症性腸疾患、糖尿病、ネフローゼ症候群、腎不全などがあります。
さらに、キレート形成する薬剤を長期で服用していると、体内の亜鉛と結合して尿中排泄されるので、亜鉛欠乏へと繋がる場合があります。
亜鉛欠乏症の診断基準は?
診断では臨床症状と検査値などが基準となっています。
①決められた臨床症状か血清アルカリホスファターゼ低値の1つ以上が見られること(症状については後述します)
②その症状の原因となる他の疾患が否定されること
③血清亜鉛値が低値
上記の①〜③が満たされるとき亜鉛補充の適応となります。その上で、亜鉛補充をして症状が改善したときに、亜鉛欠乏症と診断されます。