疥癬治療について。イベルメクチンやスミスリンローションの使い方は?
とても小さなダニによって、夜眠れないほどの痒みを引き起こすこともある疥癬。どのような疾患なのか、治療薬には何が使われるのかまとめました。
ヒゼンダニが引き起こす皮膚の感染症・疥癬とは?
疥癬とは、ヒゼンダニが人の皮膚に入り込むことで起こる皮膚の感染症です。
ヒゼンダニは掌や指の間、手首、肘、脇、アキレス腱部などに疥癬トンネルと呼ばれる穴を掘って卵を産みます。そして約2週間で成虫になり人の皮膚表面を歩き回るようになり、皮膚の接触により人から人へ感染します。
ヒゼンダニにとって人の体温はとても過ごしやすく、50度以上の環境に10分以上いると死にます。
逆に温度が低くても動きが鈍り、16度以下の環境では動けなくなってしまいます。また、乾燥にも弱いため、皮膚から離れてからは2~3時間しか生きられません。
通常疥癬と角化型疥癬の初期症状や潜伏期間
疥癬には通常疥癬と角化型疥癬があります。それぞれダニの数や潜伏期間が異なるのでみてみましょう。
・通常疥癬
ダニの数は少なく感染力も弱いタイプです。そのため、短時間の接触では感染しにくく、長時間の接触が主です。感染直後は症状がなく、1~2ヵ月の潜伏期間ののちに強い痒みや湿疹、小豆大のしこりなどが見られます。
この痒みは夜間に強くなって、睡眠に影響することもあります。また、頭や顔に現れることはほとんどありません。
・角化型疥癬
100万~200万匹もの多くのヒゼンダニによるもので、主に免疫が低下している方にみられるタイプです。
数が多いため感染力が非常に強く、僅かな接触や寝具、衣類などを介しての感染もあります。
また、数が多いことで潜伏期間は短く、4~5日で症状が現れます。主な症状は角質増殖で、痒みは見られない場合もあります。
疥癬の治療薬①内服薬イベルメクチン(ストロメクトール錠)
イベルメクチン(ストロメクトール錠)は、疥癬に対して内服薬で唯一適応のある薬です。ガイドラインにおいても、「行うよう強く推奨する」と評価されています。
体重により投与量が決められる薬で、原則として1回分で処方されます。その後1~2週間以内に鏡検で効果を判定し、必要な場合に2回目を投与します。
2週間経過すると成虫になった雌が新たな卵を産んでしまうため、2回目の投与は1週間後が推奨されています。
服用に当たっての注意点としては、①水で空腹時に服用すること ②瘙痒感が増悪する場合があること ③意識障害が現れることがあるため車の運転等の操作には注意すること などが挙げられます。